公演情報詳細
吉例顔見世大歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2017年11月1日(水)~25日(土)
劇場:歌舞伎座
演目と配役
昼の部
湧昇水鯉滝
一、鯉つかみ(こいつかみ)
市川染五郎本水にて立廻り相勤め申し候
滝窓志賀之助実は鯉の精/滝窓志賀之助 小桜姫 奴浮平 堅田刑部 篠村妻呉竹 篠村次郎公光 | 染五郎 児太郎 廣太郎 吉之丞 高麗蔵 友右衛門 |
二、奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)
環宮明御殿の場 |
安倍貞任 袖萩 安倍宗任 八幡太郎義家 平傔仗直方 浜夕 | 吉右衛門 雀右衛門 又五郎 錦之助 歌六 東蔵 |
河竹黙阿弥 作
三、雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)
直侍
浄瑠璃「忍逢春雪解」
片岡直次郎 三千歳 亭主仁八 女房おかよ 寮番喜兵衛 暗闇の丑松 按摩丈賀 | 菊五郎 時蔵 家橘 齊入 秀調 團蔵 東蔵 |
夜の部
一、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
五段目 六段目 | 山崎街道鉄砲渡しの場 同 二つ玉の場 与市兵衛内勘平腹切の場 |
早野勘平 女房おかる 斧定九郎 千崎弥五郎 判人源六 母おかや 不破数右衛門 一文字屋お才 | 仁左衛門 孝太郎 染五郎 彦三郎 松之助 吉弥 彌十郎 秀太郎 |
恋飛脚大和往来
二、新口村(にのくちむら)
亀屋忠兵衛 傾城梅川 孫右衛門 | 藤十郎 扇雀 歌六 |
真山青果 作
真山美保 演出
元禄忠臣蔵
三、大石最後の一日(おおいしさいごのいちにち)
大石内蔵助 磯貝十郎左衛門 おみの 細川内記 吉田忠左衛門 赤埴源蔵 片岡源五右衛門 久永内記 堀内伝右衛門 荒木十左衛門 | 幸四郎 染五郎 児太郎 金太郎 錦吾 桂三 由次郎 友右衛門 彌十郎 仁左衛門 |
みどころ
昼の部
一、鯉つかみ(こいつかみ)
本水を用い繰り広げられる鯉の精との大立廻り
釣家の息女小桜姫は、許婚で重宝の龍神丸を探す旅に出た滝窓志賀之助を待ち焦がれています。ある日、蛍狩りの最中に志賀之助が姫の前に姿を現し、二人は館へ戻り奥へと入ります。時同じくして館に現れたのは龍神丸を持参した志賀之助。出迎えた家老の篠村次郎は二人の志賀之助に困惑しますが、刀は真の龍神丸。そこへ関白家の御使者堅田刑部がやってきて、姫を召し出すよう迫りますが、龍神丸を持つ志賀之助がその悪巧みを暴き成敗します。すると奥座敷の障子には姫と鯉の影。実は、奥にいる志賀之助は偽物で、琵琶湖に古くから住む鯉の精が化けた姿だったのです。志賀之助は琵琶の大滝で鯉の精と格闘し、見事に退治するのでした。
歌舞伎ならではのケレンが楽しめる舞台をご覧いただきます。
二、奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)
丸本物の醍醐味あふれる重厚な名作
源義家が奥州安倍氏の反乱を平定した後のこと。皇弟環宮(たまきのみや)が行方不明となり、その咎から平傔仗直方(たいらのけんじょうなおかた)に切腹の命が下されます。そこへ父の難儀を知った娘の袖萩が、盲目で袖乞いの身を顧みず駆けつけます。しかし直方は、安倍貞任と駆落ち妻となり、瞽女(ごぜ)に零落した娘の対面を許しません。袖萩は不孝を詫びる祭文を語り、父母へ許しを乞います。そこへ現れたのは義家の命を狙う貞任の弟宗任。宗任から直方を殺すよう促された袖萩は、思い余って自害します。やがて直方は環宮不明の責から切腹、上使の桂中納言は直方の死を見届けて立ち去ろうとしますが、義家がこれを安倍貞任と見破ります。そして義家と貞任は、戦場での再会を約束して別れるのでした。
豪快な演技がみどころの時代物の傑作をご堪能いただきます。
三、雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち) 直侍
江戸情緒あふれる小悪党と傾城の色模様を描いた傑作
春がまだ浅い雪の夜の入谷の蕎麦屋。悪事を働き、追われる身の御家人くずれの直次郎は、恋仲の三千歳を療治する按摩の丈賀に出会います。その後、直次郎は三千歳のもとへ向かい、道中で悪党仲間の丑松と遭遇、二人は互いの無事を祈り別れますが、丑松は直次郎を訴人することを決意します。直次郎は三千歳が療養している大口屋の寮へとやってきて、二人は束の間の逢瀬を楽しみますが、その場へ捕手が踏み込み、直次郎は三千歳を残し、一人落ち延びていくのでした。
小粋なお尋ね者を描く黙阿弥の世話物の名作をお楽しみいただきます。
夜の部
一、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
様式美と洗練された演出で描く男の悲劇
塩冶判官は高師直に刃傷に及び切腹、家名は断絶となります。主君の一大事に居合わせず、その責から猟師となった早野勘平は、同志の千崎弥五郎と主君の仇討ちの資金調達を約束します。一方、おかるの父与市兵衛は夜道で斧定九郎に襲われ命を落とし、勘平の仇討ち資金としておかるを身売りして用立てた金を奪われます。しかし、定九郎は猪を狙った勘平の銃弾を受け絶命。勘平はその金を抜き取り逃げ去ります。翌日、おかるを引き取りにきたお才の話から、昨晩撃ち殺したのが与市兵衛だと思い込んだ勘平は、不破数右衛門と千崎弥五郎、姑のおかやに詰問され、不忠を悔いて腹を切ります。しかし、定九郎が真犯人であったことが判明、勘平は仇討ちの血判に名を連ねることを許されると、安堵して息絶えるのでした。
義太夫狂言三大名作の一つとされる舞台をご堪能いただきます。
二、新口村(にのくちむら)
哀感漂う味わい深い上方狂言の名作
大坂淡路町飛脚問屋の忠兵衛は、遊女梅川を身請けするために商売の金に手を付け、追われる身となります。死を覚悟した忠兵衛は梅川とともに生まれ故郷の大和の新口村に落ち延びます。そこへ父孫右衛門が通りかかりますが、罪人ゆえ身を隠す忠兵衛。孫右衛門は、雪道で転んだ自分を助けた梅川が忠兵衛の連れだと気付くと、親の目の届かぬところで捕まってほしいと涙ながらに願います。そこへ追手が迫り、二人は孫右衛門との別れを惜しみながら雪の中を去っていくのでした。
男女の悲恋と親子の情愛を描いた上方和事をご覧いただきます。
三、大石最後の一日(おおいしさいごのいちにち)
赤穂浪士の最後の姿を描く史劇の傑作
赤穂浪士47名は吉良邸に討ち入り、主君の仇を討ち本懐を遂げます。御使役堀内伝右衛門は、細川家にお預けの身となっている大石内蔵助に一人の小姓を引き合わせます。内蔵助は小姓が女だと見抜くと、それは浪士の磯貝十郎左衛門の許婚のおみのでした。結納当日に討ち入りのため姿を消した磯貝の思いを知るために、男装し必死の思いで屋敷を訪れたのです。内蔵助の計らいにより磯貝との再会を果たしたおみのは、磯貝の自分への思いを知ります。その後、屋敷に現れた上使が浪士に切腹を命じます。吉良家の家名断絶を聞き満足した内蔵助は、威儀を正して切腹の場へ歩むのでした。
初一念を貫く浪士を描く新歌舞伎の名作をお楽しみください。
続きを読む