公演情報詳細
中村橋之助改め 八代目 中村芝翫 襲名披露中村国生改め 四代目中村橋之助中村宗生改め 三代目中村福之助 襲名披露中村宜生改め 四代目中村歌之助 | ||
六月博多座大歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2017年6月2日(金)~26日(月)
劇場:博多座
- 博多座「六月博多座大歌舞伎」幕見券のご案内
- 「六月博多座大歌舞伎」で初日と襲名を祝う鏡開き
- イヤホンガイド「博多座六月大歌舞伎」特別放送のお知らせ
- 芝翫、橋之助、福之助、歌之助が博多へ船乗り込み
- 中村獅童 休演のお詫びと配役変更のお知らせ
- 5月29日「六月博多座大歌舞伎」船乗り込みのお知らせ
- 芝翫、橋之助、福之助、歌之助「六月博多座大歌舞伎太宰府天満宮お練り」で精進を誓う
- 橋之助、八代目中村芝翫襲名披露を発表
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演目と配役
昼の部
菅原伝授手習鑑
一、車引(くるまびき)
松王丸 梅王丸 桜丸 杉王丸 金棒引藤内 藤原時平公 | 橋之助改め芝翫 ※ 国生改め橋之助 宗生改め福之助 宜生改め歌之助 橘太郎 権十郎 |
二、藤娘(ふじむすめ)
藤の精 | 菊之助 |
彦山権現誓助剱
三、毛谷村(けやむら)
毛谷村六助 お園 微塵弾正実は京極内匠 杣斧右衛門 お幸 | 菊五郎 時蔵 権十郎 團蔵 東蔵 |
河竹黙阿弥 作
天衣紛上野初花
四、河内山(こうちやま)
質見世より玄関先まで
河内山宗俊 高木小左衛門 近習頭宮崎数馬 腰元浪路 後家おまき 番頭伝右衛門 和泉屋清兵衛 北村大膳 松江出雲守 | 橋之助改め芝翫 鴈治郎 宗生改め福之助 宜生改め歌之助 芝喜松改め梅花 橘太郎 権十郎 團蔵 梅玉 |
夜の部
近松門左衛門 作
一、信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまがっせん)
輝虎配膳
長尾輝虎 お勝 唐衣 直江山城守 越路 | 梅玉 菊之助 児太郎 鴈治郎 ※ 魁春 |
橋之助改め芝翫 国生改め橋之助 宗生改め福之助 宜生改め歌之助 幹部俳優出演 |
河竹黙阿弥 原作より
今井豊茂 脚本
三、祝勢揃壽連獅子(せいぞろいことぶきれんじし)
狂言師後に親獅子の精 狂言師後に仔獅子の精 狂言師後に仔獅子の精 狂言師後に仔獅子の精 萬年坊 長楽坊 慶雲阿闍梨 昌光上人 文殊菩薩 | 橋之助改め芝翫 国生改め橋之助 宗生改め福之助 宜生改め歌之助 松江 亀鶴 時蔵 梅玉 藤十郎 |
一堺漁人 作
今井豊茂 補綴・演出
四、幸助餅(こうすけもち)
大黒屋幸助 関取雷五良吉 妹お袖 女房おきみ 叔父五左衛門 帳場平兵衛 三ツ扇屋女将お柳 | 鴈治郎 亀鶴 ※ 児太郎 橘太郎 ※ 寿治郎 松江 魁春 |
みどころ
昼の部
一、車引(くるまびき)
藤原時平の陰謀で太宰府に流された主人菅丞相に仕える梅王丸と斎世親王に仕える桜丸は、京の吉田神社の社頭で参詣帰りの時平を襲いますが、時平の舎人である松王丸に阻まれ、牛車から現れた時平に睨まれ、たじろぎます。松王丸に免じて、二人はいったん許されますが、三兄弟は遺恨を残したまま別れます。
歌舞伎の様式美にあふれる一幕です。三つ子の兄弟の役はそれぞれに隈取し、松王は二本隈で元禄見得を見せ、梅王は筋隈で刀を三本差す荒事、桜丸はむきみという柔らかな隈で和事で演じます。時平は怪異な公家荒れ、杉王丸は若々しい前髪の舎人で、多彩な役柄がそろい、敵味方に別れた三つ子の、牛車を引き合う争いや、花道を飛び六法で引っ込む梅王の勇壮さも必見です。
二、藤娘(ふじむすめ)
長唄の舞踊のなかでも人気の高い作品です。今を盛りと咲き誇る藤の花房が絡む松の大木の前に、藤の枝を担ぎ、塗り笠をかぶった娘姿の藤の精が現れ、近江八景の風景を詠み込んだ、つれない男心を踊ってみせます。さらに、しっとりと酔態を見せる趣向で恋の切なさを語ると、松尽くしの軽快な踊りを披露します。いつしか夕暮れて、雁の声がして山がかすみ、娘も姿を消して行くのでした。
近江の大津絵から藤娘が抜け出した設定の舞踊でしたが、昭和になって六世尾上菊五郎が、藤の精が娘となって踊る演出に改めました。変化に富んだ艶麗な姿が魅力的な舞踊です。
三、毛谷村(けやむら)
豊前国彦山の麓で、百姓仕事の傍ら迷い子の弥三松の面倒をみている剣の達人六助は、武芸者の微塵弾正と出会い、親孝行がしたいという言葉を信じて仕官を決める剣術試合で勝ちを譲ります。ところが、六助を訪ねてきた許嫁お園や母お幸らの話から弾正の本名は京極内匠といい、六助の剣の師でお園の父吉岡一味斎を暗殺した敵とわかります。六助は一味斎の孫だと分かった弥三松を伴い、勇んで敵討ちに出立します。
太鼓で子供をあやす素朴で気の良い六助、女武道に優れていながらも娘の初々しさを見せるお園。魅力的な人物たちが描かれた、義太夫狂言ならではの面白さをご堪能ください。
四、河内山(こうちやま)
「江戸歌舞伎の大問屋」と呼ばれた河竹黙阿弥の作品です。お数寄屋坊主の河内山宗俊は、木刀を質に五十両貸せと訪ねた質店上州屋で、松江侯へ腰元奉公に出ている娘が、出雲守から妾になることを拒み、幽閉されたと知ります。お金欲しさに娘の救出を請け負った河内山は、上野寛永寺の使僧道海と偽って松江家に乗り込み、出雲守と談判のうえ腰元浪路を救い出します。帰りの玄関先で松江家重役の北村大膳に正体を見破られますが、悪びれもせず開き直って啖呵を切ります。家老の高木小左衛門の計らいもあって、河内山は出雲守を嘲笑いながら堂々と引き上げるのでした。
河内山の「悪に強きは善にもと、世のたとえにもいうとおり、親の嘆きが不憫さに」など七五調の名せりふや、大名を相手にびくともしない大胆不敵ぶりも痛快な一幕です。
夜の部
一、信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまがっせん) 輝虎配膳
近松門左衛門が上杉・武田合戦を描いた作品です。長尾輝虎(後の上杉謙信)は武田信玄の軍師山本勘助を味方にするため、臣下の直江山城守の妻唐衣が勘助の妹であることを利用し、勘助の母越路を招き寄せ、自ら配膳し接待をします。その思惑を察した越路が無礼を働くので、輝虎は怒って斬ろうとしますが、越路に付き添う勘助の妻で吃音のお勝は、琴を演奏し怒りを鎮めようと試みます。
越路は「三婆」と呼ばれる老女方の難役です。また、お勝が詫び言を琴を弾きながら唄うところは、女方の技巧を見せるお勝の見せ場となります。時代物らしい絢爛とした舞台に多彩な役柄が登場する義太夫狂言です。
新中村芝翫と長男の四代目中村橋之助、二男の三代目中村福之助、三男の四代目中村歌之助の親子四人が襲名のご挨拶を申し上げます。裃姿の俳優が列座して襲名を祝します。大歌舞伎らしい華やかな襲名を寿ぐ一幕です。
三、祝勢揃壽連獅子(せいぞろいことぶきれんじし)
文殊菩薩の住むという霊地清涼山の石橋では、自力で這い上がる者だけを助けるという霊獣の故事に従って、親が心を鬼にして子を谷底へ蹴落とす様子を、手獅子を携え現れた狂言師の親子が踊ってみせます。その後満開の牡丹の中、親獅子の精、仔獅子の精が現れ、豪放な狂いを見せ、勇壮な毛振りで舞い納めます。
能の「石橋」をもとにした長唄の舞踊の大曲です。今回は、襲名を祝し、新たな間狂言を書き加えての上演です。親子の深い情愛、芸の厳しい伝承が感動を呼びますが、この度は親子四人で踊る趣向となっています。
四、幸助餅(こうすけもち)
上方の人情喜劇です。米問屋の大将幸助は関取の雷(いかづち)五良吉をひいきにしすぎて身代を傾け、妹を身売りさせるほどお金に窮します。恩を忘れぬ雷は、小さな店を開き再起を図る幸助を見守り、わざと不人情を装って幸助の気持ちを害しますが、幸助を陰で助けています。その後誤解も解け、幸助本人の努力、雷らの温かい援助で餅屋を開き“幸助餅”と呼ばれる大阪の名物になり大団円を迎えます。
曾我廼家喜劇の創始者である曾我廼家五郎(筆名 一堺漁人)の原作を元に、歌舞伎俳優出身ならではの歌舞伎の手法を取り入れた、笑いのなかに思わずほろりとさせられる作品をお楽しみください。
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