公演情報詳細
二月花形歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2018年2月2日(金)~25日(日)
劇場:博多座
- 博多座「二月花形歌舞伎」大入りを願う豆まき神事
- お練りで博多の皆さんにお目見得、博多座「二月花形歌舞伎」
- 博多座「二月花形歌舞伎」出演者「豆まき神事」参加のお知らせ
- 29日、博多座「二月花形歌舞伎」お練りのお知らせ
- 博多座「二月花形歌舞伎」幕見席のご案内
※12日(月・祝)は「着物の日」。無料着付けサービスの詳細はこちら
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演目と配役
昼の部
指宿大城 作(明治百年記念演劇脚本)
田中喜三 脚色
福田善之 演出
一、磯異人館(いそいじんかん)
岡野精之介 五代才助 琉璃 岡野周三郎 加代 ハリソン 松岡十太夫 | 中村 橋之助 尾上 松也 中村 児太郎 中村 福之助 中村 鶴松 片岡 亀蔵 市川 門之助 |
四世鶴屋南北 作
渥美清太郎 改訂
今井豊茂 補綴
於染久松色読販
二、お染の七役(おそめのななやく)
浄瑠璃「心中翌の噂」
油屋娘お染 丁稚久松 許嫁お光 後家貞昌 奥女中竹川 芸者小糸 土手のお六 鬼門の喜兵衛 石津久之進 佐々木源八 船頭長吉 油屋多三郎/女猿廻しお作 千寿姫 成田大膳 奴三平 腰元お勝 庵崎久作 山家屋清兵衛 | 中村 七之助 中村 勘九郎 尾上 松也 坂東 新悟 中村 児太郎 中村 橋之助 中村 福之助 中村 鶴松 片岡 亀蔵 中村 扇雀 |
夜の部
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
渡海屋
大物浦
渡海屋銀平実は新中納言知盛 源義経 相模五郎 入江丹蔵 武蔵坊弁慶 女房お柳実は典侍の局 | 尾上 松也 中村 七之助 中村 勘九郎 中村 橋之助 片岡 亀蔵 中村 扇雀 |
三島由紀夫 作
二世藤間勘祖 演出・振付
二、鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)
鰯賣猿源氏 傾城蛍火実は丹鶴城の姫 博労六郎左衛門 傾城薄雲 傾城春雨 傾城錦木 庭男実は薮熊次郎太 海老名なあみだぶつ 亭主 | 中村 勘九郎 中村 七之助 尾上 松也 坂東 新悟 中村 児太郎 中村 鶴松 中村 橋之助 片岡 亀蔵 市川 門之助 |
みどころ
昼の部
一、磯異人館(いそいじんかん)
九州を舞台にしたご当地芝居。幕末の薩摩藩、薩摩切子を製作するガラス職人の若者、岡野精之介が運命に翻弄され、悲劇に向かっていく姿を描く。博多座では、平成23(2011)年3月に九州新幹線全線開業記念として上演され、好評を博した作品である。
薩摩藩士がイギリス人を殺傷した生麦事件から少し時を経た慶応年間、英国の援助のもと、殖産興業に勤める薩摩藩には集成館と名付けられた洋館の産業科学工場があった。ガラス方を勤める精之助は温厚な人柄で、桜島の噴火のような紅色の薩摩切子を創作したいという夢を抱いていた。
しかし、血気盛んな弟の周三郎が藩の作事奉行の息子を斬り、精之助と引かれ合っていた琉球国の王女・琉璃に、藩命で英国人技師との結婚話が持ち上がったことなどから、精之助の運命は次第に変貌していく…。
江戸から明治という激動の時代の狭間で、志をもって生きる若者たちの友情、絆、夢とその挫折や苦悩を描いた青春群像劇は清々しい印象を残す。
初演は昭和62(1987)年。毎日新聞社による明治百年記念演劇脚本の当選作の舞台化だった。平成19(2007)年に中村勘太郎(現 勘九郎)、中村七之助、尾上松也らによって再演され、今回は清新な顔ぶれでの上演。より深まった舞台に期待が高まる。
二、お染の七役(おそめのななやく)
江戸時代に大坂で実際に起きたお染と久松の心中事件をもとに、『東海道四谷怪談』などで知られる四世鶴屋南北が、舞台を大坂から江戸に移して描いた作品である。
質店油屋の娘、お染には、奉公人の久松という恋人がいるが、義母の貞昌は、山家屋清兵衛の縁談話を進めていた。久松はもとは武家の息子で、紛失した御家の名刀「牛王吉光(ごおうよしみつ)」と折紙(鑑定書)を探している。しかもお光という許嫁もいた。一方、お染の兄の多三郎は、芸者、小糸を身請けするため、店から「牛王吉光」の折紙を持ち出し、番頭の善六に金に換えさせようとする。しかし、善六には、あわよくば、店もお染も手に入れようという魂胆があった。
一方、久松の姉で奥女中の竹川は、刀を買い戻すための金の工面を、土手のお六に頼む。だが、お六の亭主、鬼門の喜兵衛は油屋から金をだまし取ろうと画策しており…。
お家騒動に若者たちの恋をからませながら、善人、悪人、さまざまな身分、職業の男女が入り乱れ、人間の欲望が渦巻く南北独自の世界が展開していく。何より、お染、久松、小糸、貞昌、土手のお六、お光、竹川という主要人物七人を早替りをまじえながら一人で演じ分けるのが眼目。なかでも、花道でのお染と久松の傘と菰(こも)を使った早替りなど、驚きの演出もみどころだ。
夜の部
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
渡海屋・大物浦
歌舞伎には源平の合戦を題材にした作品が数多い。なかでも、源氏によって滅ぼされた平家の栄枯盛衰と、源義経の悲運を縦糸に、世の無常、戦の悲劇、家族の情愛、そして人間の宿業を、壮大なスケールで描いた『義経千本桜』は時代物の大作として知られている。
同作は、人形浄瑠璃を歌舞伎に移した作品であり、『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』とともに、人間ドラマの深さ、文学性の高さなどから三大義太夫狂言とも呼ばれている。
『義経千本桜』には、平知盛、すし屋の権太、狐忠信という三人の主人公が登場するが、今回上演される「渡海屋・大物浦」は、平家の勇将、知盛の復讐の物語。史実では義経に壇ノ浦で敗れ、海のもくずと消えた知盛だが、作者は大胆かつ奇想天外なフィクションを仕掛けた。知盛は実は生きていて、大物浦(現在の兵庫県尼崎)で船宿の主、銀平になりすまし、女房お柳に化けた典侍の局らとともに義経を待ち伏せ、再び戦いを挑むという展開である。
海戦に向かう知盛が正体を顕す場面で、知盛は幽霊を装った白糸縅(しらいとおどし)の鎧を身につけ、自ら「桓武天皇九代の後胤(こういん)、平知盛幽霊なり」と名のる。その白い鎧が戦で血に染まり、衝撃的な最期を迎える。時代物の醍醐味と歌舞伎ならではの悲壮美が堪能できる傑作である。
二、鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)
三島由紀夫の作品である。三島は生涯に歌舞伎の脚本を7本書いた。『鰯賣戀曳網』は、そのうちの一作であり、初演は昭和29(1954)年。以来、三島の歌舞伎のなかで、最も上演回数の多い作品として知られている。耽美的な作風の多い三島作品では珍しく、お伽草子を原典に、ひと目惚れの恋をテーマにした、おおらかな喜劇である。
主人公は鰯売りの猿源氏。一目惚れをした相手は、都で一番と謳われる美しい遊女、蛍火。寝ても覚めても蛍火のことばかり思って、仕事も手につかない。しかし蛍火は大名の相手をする遊女。猿源氏がどんなに恋しても、近づける相手ではない。そんな息子の様子を心配した猿源氏の父親、海老名なあみだぶつは、猿源氏を大名に仕立て、蛍火のいる廓に向かわせる。大名にうまく化けおおせた猿源氏だが、蛍火の膝枕で寝るうち、寝言でつい、いつもの鰯を売るせりふを口走ってしまい…、という展開。
三島は、戦後を代表する名女方、六世中村歌右衛門にあてて蛍火を書いたそうで、初演では、猿源氏の十七世中村勘三郎との息の合ったやりとりがおおいに受けた。その後、猿源氏は、十八世中村勘三郎に、蛍火は坂東玉三郎に受け継がれ、現在では中村勘九郎と中村七之助が継承し、名コンビぶりを見せている。
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