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歌舞伎美人サロン<四、新作>

歌舞伎美人サロン<四、新作>

 3月22日に歌舞伎囃子方・田中流家元の田中傳左衛門さんをゲストに招き開催しました「第2回歌舞伎美人サロン」。和やかなサロンの様子を数回に分けてご紹介しています。
今回は<四、新作>です。


 このパンフレットは、昨年野田秀樹さんがロンドンで上演した「ダイバー」というお芝居のものです。私が作調しました。野田さんとは『愛陀姫』など新作歌舞伎でもご一緒しますが、歌舞伎に限らず新作の音楽がどのように創られていくのかをお話しましょう。

 作調する際にまず心がけることは、とにかく最初に台本を読み込むということです。そこで、この作者がどういうお芝居を作りたいのか、意図はなにかを読み解きます。それから作者や演出家の方々と打合せをしますが、いまの演出家の方々は、"昔からこういう場面にはこういう音があります"といった技術的な対応ではなかなか納得されません。かといって決して奇をてらったものが求められているわけではありません。「ダイバー」は英語劇ですが、論法としては古典と同じような考え方で作調していきました。今夏、日本語版にも作調でお呼び頂いているので楽しみです。

 『愛陀姫』の場合は、当初からヴェルディのアイーダを邦楽器にアレンジして使う前提での相談で、さすがに困りました(笑)。野田さんのお芝居はセリフの言葉自体が音楽でもあるので、余計な音は付けずに、初めからポイントだけを決めて音を入れていきます。また野田さんの意向としてお芝居をスピードアップさせたいということでしたので、三味線の音を出来るだけ取りセリフや動きがスピードアップするような方法をとりました。歌舞伎役者の方々は、どうしても三味線の合方が鳴るとセリフが落ち着いて来る場合があるので、この方法は効果があったと思っています。

 実際の音を考えるのは、実は出たとこ勝負の場合が多いんです。自分の前にズラッと楽器を並べ、本を読み込み、演出家と打合せをして稽古を見て・・・「あ、これだ!」と思いついたものが名シーンの一つになったりします。とくに野田さんや串田和美さんの作品は、出たとこ勝負で出来た物を固めて一度崩す、そしてまた固めて崩す・・・砂の城を作ってはそれを崩してまた作る、そういった作業を繰り返して作品を練り上げていきます。おかげで、新作を手がけさせていただくごとに、色々な方法を学ぶことが出来、良い経験になっています。

【関連ページ】
歌舞伎美人サロン<三、附帳>
歌舞伎美人サロン<二、演奏>
歌舞伎美人サロン<一、鼓>

歌舞伎美人サロン<四、新作>

2009年07月02日

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