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吉右衛門が語る「秀山祭九月大歌舞伎」

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 9月2日(水)から始まる歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」について、出演の中村吉右衛門が出演演目と秀山祭への思いを語りました。

待望の上演『競伊勢物語』
 昼の部の切『競伊勢物語』は、「はでくらべ」として上演されることもありますが、今回は吉右衛門の実父、初世松本白鸚の上演時(昭和31年11月歌舞伎座)と同じく「だてくらべいせものがたり」として上演します。白鸚はこの役で昭和31年度芸術祭賞も受賞しており、「それだけ打ち込んだ作品。汚してはいけないという責任感でいっぱいです」と、上演に意欲を見せます。今回は紀有常生誕1200年の節目の上演です。

 「実父は初代の舞台にも出て(昭和10年10月明治座、銅羅の鐃八役)、見ていると思うので、その白鸚の残っている音声を参考に、せりふ、間、また、動きもだいたい想像できますのでそれらを再構築し、人形浄瑠璃や写真を手掛かりにしていいものに仕上げたいと思っております」。上演回数は少ないですが、話が次々と展開して「歌舞伎らしい、わかりやすい話で、お客様も飽きない芝居ではないでしょうか」と言います。

吉右衛門が語る「秀山祭九月大歌舞伎」

伊勢物語の雅な世界に描き出す波瀾の物語
 吉右衛門の勤める紀有常は、訳あって実の娘の信夫を預けている小由(こよし)のもとを訪れます。実は、娘として育てているご落胤の井筒姫の身替りに、信夫夫婦の首を取ろうとしてのことだったのですが、「義理と忠義で子を殺す、その苦しさ、悲しさ、悲惨さ。それを雅な中で見せるのがこの芝居の眼目」と、吉右衛門。都から来た旧知の公家を、はったい茶でもてなす婆さんとのやりとり――。悲惨な現実を悲惨に見せず、ひなびた里に都の雅を感じさせながら描き出します。

 小由は再演の東蔵、信夫は菊之助。「菊之助君の信夫が死の直前に琴を弾き、そこに東蔵さんの砧の合の手が入る。私は、こういう芝居はある程度楽しみながらしたほうがいいと思いますので、もちろん舞台上で緊張はしておりますけれど、太棹との掛け合いで本当に歌舞伎らしいところですから、聴くのを今から楽しみにしております」。

 序幕では、信夫と豆四郎(染五郎)の夫婦の色模様で物語の発端を見せます。「色気をもった二人ですので、楽しんでいただけるでしょう。また、大詰の早替りではお客様に肩の力を抜いていただけますし、美しい冠位の姿も出てまいります」と趣向もたっぷり。尾形光琳の「燕子花(かきつばた)図屏風」をはじめ、さまざまな芸術に影響を与えた『伊勢物語』の優美で雅な世界を背景にした物語、「決して難しいものではなく、いい芝居だと思います」と、作品へのひとかたならぬ思いを込めて語りました。

受けの芝居で見せる『伽羅先代萩』の仁木弾正
 夜の部は歌舞伎座新開場後初めて、秀山祭としても初めてとなる『伽羅先代萩』の通し上演で、吉右衛門は仁木弾正を演じます。「実父のを見て覚え、(二世)松緑の叔父に教わりました」。「対決・刃傷」の場は「細川勝元が立つか立たないかは仁木しだい。仁木が受ければ受けるほど、勝元が立ちますが、それには仁木の大きさも見せないといけないので難しい」。勝元は染五郎が勤めます。「勝元の突っ込みをしっかり受ける芝居をいたします」と、最後は元気な笑い声を聞かせました。

 「まだ私は、初代の手がけた役の4分の1もやっていないくらい、初代は芸域の広い人でした」。初代中村吉右衛門の芸、素晴らしさを少しでも感じてもらえたらと始めた秀山祭も今年で10年目、「10年ひと昔と言いますが、これからも続けていきたい」と、思いも新たに9月を迎えます。

 歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」は、9月2日(水)より26日(土)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹にて販売中です。

2015年08月12日

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