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市川右近が語る「壽新春大歌舞伎」と襲名披露

市川右近が語る「壽新春大歌舞伎」と襲名披露

 2017年1月3日(火)から始まる新橋演舞場「壽新春大歌舞伎」で、三代目市川右團次を襲名する市川右近が、公演と襲名への思いを語りました。

右團次ゆかりのケレンが詰まった『雙生隅田川』

 昭和51(1976)年10月新橋演舞場で、猿翁(当時、三代目猿之助)が約250年ぶりに復活上演した『雙生隅田川』。今回は23年ぶり4度目の上演です。「大詰に、『これよりご覧いただくのは、初代、二代目右團次さんが得意とされていた鯉つかみの場面でございます』、と劇中口上が入ります。通し狂言で襲名というのも珍しいですが、その終わりに襲名披露演目の『鯉つかみ』が入る、面白い劇構成だなと思います」。これまでの再演でも猿翁の役に合わせて毎回、場割を変えてきましたが、「今度は、よりそぎ落とされ、筋がすごくわかりやすくなっています」。

 

市川右近が語る「壽新春大歌舞伎」と襲名披露

 演じる猿島惣太、七郎天狗は「師匠(猿翁)のエネルギッシュな姿を拝見しておりますので、それらを勤めるのがうれしい」と笑顔を見せ、「惣太は過去にやったことのない役柄、何か発見があればいいなと。天狗は躍動的にできればと思います。奴軍介は前回勤めたのが(平成6年7月歌舞伎座)短いバージョンでしたので、今回は本水もあり、掘り下げてやらせていただきたい」と、意気込みました。

 

二代目市川右近は早替りと三人宙乗りを

 この日は二代目市川右近として初舞台を踏む、息子の武田タケルも出席しました。6月の歌舞伎座『義経千本桜』の安徳帝で初お目見得を果たしたばかりですが、秋に行われた襲名を祝う会で披露したという「口上」でご挨拶。抑揚のついた立派な口上に、思わず取材陣からも拍手が起こりました。1月の演舞場の客席が喝采に包まれるのも間違いありません。

 

市川右近が語る「壽新春大歌舞伎」と襲名披露

 初舞台となる『雙生隅田川』では梅若丸と松若丸の2役を勤め、父の惣太との立廻りだけでなく、早替りあり、父の七郎天狗、猿之助の班女御前との三人宙乗りありと、大変な活躍の場が用意されています。これは、昭和60(1985)年10月歌舞伎座で猿翁、菊五郎と一緒に三人宙乗りを見せた猿之助(当時、亀治郎)と同じ。「今回、(補綴の)石川耕士さんにご工夫していただきました。6歳児には負担が大きいですが、芝居が好きなようですので…」と、タケルに温かなまなざしを向けました。

 

 すでに始まっている稽古は、「ちょっと楽しい」とタケルは父を見ながらにっこり。「せりふと動き、彼なりに芝居をしている実感があるのではないでしょうか」と、右近が捕捉しましたが、「高いところは平気だけれど、宙乗りは怖い」には父も少々困り顔。「戦隊ものが好きで、“武器好き”。家では突っ張り棒を長刀のように回し、一人で“シャドウ立廻り”をしています」と、どうやら今は宙乗りよりは立廻りのほうが好きなようです。

 

屋号が変わるからこそ澤瀉屋の精神を

 夜の部では襲名披露「口上」に続き、『錣引(しころびき)』で右近は景清を演じます。5年前、46年ぶりに日生劇場で上演されましたが、今回は襲名披露狂言として「さらに派手な形に再構築しているところです。花道を六方で引っ込んだり、居所変わり(幕や廻り舞台を使わず、大道具の仕掛けで場面を転換)したり…」、と期待をふくらませました。切狂言の『黒塚』には、阿闍梨祐慶で出演します。

 

 昭和47(1972)年6月南座で初舞台を勤めた折、「師匠のなさった『四の切』『黒塚』に憧れて」入門。「24歳のとき、子供歌舞伎鑑賞教室で初めて『四の切』を、平成22(2010)年には新橋演舞場と大阪の新歌舞伎座の柿葺落で、『黒塚』を上演させていただきました」。スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』では、「ヤマトタケルに憧れて蝦夷に同行するヘタルベ、まさに師匠に憧れて東京に出てきた私と同じ思いの少年の役」で初演(昭和61年2月新橋演舞場)の舞台に出演、後にヤマトタケルを演じた右近。

 

 狐忠信、安達原の鬼女、そしてヤマトタケル。「3役をさせていただけたことは感無量。すべての夢がかなった」という右近が、右團次と名が変わり、屋号が高嶋屋に変わっても、「変わるからこそ、師匠から学んだ澤瀉屋の創造の理念や精神を歌舞伎界に広く浸透させていくのが、自分の役目だという気がしております」と、あらためて強い決意のほどを語りました。右近のその心は猿之助四十八撰の内『雙生隅田川』、そして『錣引』『黒塚』という形で、さっそく1月の演舞場の舞台に現れます。 

 新橋演舞場「壽新春大歌舞伎」は2017年1月3日(火)から27日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹にて販売中です。

 

市川右近が語る「壽新春大歌舞伎」と襲名披露

※澤瀉屋の「瀉」のつくりは、正しくは“わかんむり”です。

※高嶋屋の「高」は正しくは“はしご高”です。

2016年12月05日

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