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玉三郎が『幽玄』博多、京都公演を前に語る

玉三郎が『幽玄』博多、京都公演を前に語る

 「坂東玉三郎×鼓童 特別公演『幽玄』」 左より、石塚 充(太鼓芸能集団 鼓童)、坂東玉三郎

 9月2日(土)から博多座、9月21日(木)からはロームシアター京都で行われる「坂東玉三郎×鼓童 特別公演『幽玄』」に向け、演出・出演の玉三郎と、出演者を代表して太鼓芸能集団 鼓童の石塚 充が語りました。

 5月から6月、東京、新潟、名古屋での公演が盛況のうちに終わり、待ちに待った博多、京都公演がいよいよ9月から始まります。「大きな作品でございますが、こんなに上演させていただくことができ、本当にありがたい」と、玉三郎があらためて秋に向けて心境を述べました。

 

難易度の高い演奏に挑戦 

 鼓童からの「日本的なものをやりたい」という要望に応えるため、「歌舞伎よりも様式的な能楽から音楽的なものを学び、一幕では“幽玄”というくくりで能楽の題材『羽衣』を大きくとり上げました。二幕は『道成寺』と『石橋』を題材としており、歌舞伎的といえるかもしれません」。一幕は、「楽器の数を少なくし、一つの楽器でどれくらい表現できるか」に挑みましたが、奏者の一人である石塚は、「僕たちは修行と呼んでいました。ひたすら締め太鼓をたたき、謡(うたい)をうたう、今までにないくらい苦しい時間でした」と明かしました。

 

 16人が舞台に一列に並び、「一斉に撥(ばち)を細かくそろえていく。音色をさまざまに変えても、一様にそろっていないと、端のほうまで全員が理解してやっていかないと、その音色が出ません。また、できてからも数日たつと、初めにつくったものが削れていってしまいます。しかも、お能で四拍子(笛、小鼓、大鼓、太鼓)が2時間なりやっているのを、締め太鼓だけで50分ですから、どう雰囲気を変えていくか…、難易度は高いですよね」と、一幕の特徴を語る玉三郎は、指導に当たった専門家らに感謝しました。

 

玉三郎が『幽玄』博多、京都公演を前に語る

五人の圧巻の毛振りで華やかに

 二幕は、「さまざまなものが入って一つの幽玄の世界とさせていただきました。『道成寺』で味をつけ、大きな劇場の雰囲気の中で最後を飾るには、『石橋』の毛振りで華やかなものにしたいと、私も一緒にやりました」。花柳流五世宗家家元の花柳壽輔と花柳流の舞踊家、鼓童からも二人が出て、総勢五人の獅子の毛振りは圧巻です。玉三郎は久しぶりの毛振りでしたが、練習すれば体は慣れてくると笑顔を見せました。

 

 玉三郎の演出は、「1から10のうち、1をつくっていて突然、10を思いついて、やってみてと言ったり、7、8、9と進んだところで1が変わったり…」、パズルを自在に動かすように自由に進んでいくそうです。一つずつ順を追って完成させていく方法では、「そこから動けなくなってしまう」。佐渡に通い、鼓童とともに過ごした17年がなければ、また、そういったつくり方がわかった人たちでなければ、この『幽玄』はできなかったと玉三郎は振り返り、石塚も「自由な発想ができるようになった」と続けました。

 

作品が自分の身から離れたとき、お客様が感じる世界が“幽玄”であればいい

 「幽玄でございます、と舞台に出てくるわけではありません。滞りなく時間や空間が過ぎたことによって、お客様のなかに幽玄がある…かどうか、それは私たちにはわかりません。私たちはひたすら和やかに、滞りなくやり通すしかないのです。終わったとき、ご見物が何か持って帰っていただくものがあったとしたら、それが幽玄ということだと思います」。玉三郎は、「皆様が思っていらっしゃる“幽玄”の語意が、なんとなく去来する劇場空間の時間であればいい」と、演出としての意図を話しました。

 

玉三郎が『幽玄』博多、京都公演を前に語る

 メロディーのある楽器なら、奏者も幽玄を感じるかもしれないが、太鼓はそうはいかない、「演じ手は、やっているときは技術者としての時間が過ぎていくだけ」と、玉三郎は表現しました。さらに石塚は、「お能では一声で人間界でないところへリンクする、その一声を出すのが想像以上に苦しかった。鼓童は人の感情に寄り添うように、より人間らしいほうへ向かうことが多かったのですが、お能の音楽は人間であることをそぎ落とすというか、これまで膨らませてきた自分というものを、そぎ落とさなければなりませんでした」と語り、今回の『幽玄』が、鼓童としてまったく新たな挑戦だったことをうかがわせました。

 

 一方、玉三郎は、「自分が都会派の自然好きだと再確認しました」。佐渡の自然に体が馴染んでいく自分がいて、都会の劇場で仕事をする自分もいる、その振り幅のなかでこそ、「開演時間に何をお客様に提供すべきか再発見できる」と言います。そうしてつくり上げられたのが、この『幽玄』。「今までにないくらい難易度が高く、やりがいのある素晴らしい作品に仕上がっています。9月はより磨きのかかった、パワーアップした舞台をお届けできれば」と、石塚も秋に向けて意気込みを見せました。

 

「坂東玉三郎×鼓童 特別公演『幽玄』」公演情報 2017年7月7日(金)チケット発売

【TV】7月1日(土)21:00 BSジャパン「鼓童×坂東玉三郎 魂の音、彼方へ」

公式サイトはこちら

 

2017年06月26日

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