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仁左衛門、南座「吉例顔見世興行」へ向けて

仁左衛門、南座「吉例顔見世興行」へ向けて

 

 12月5日(土)に開幕する南座「當る丑歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」に出演する片岡仁左衛門が、公演に向けての思いを語りました。

 今年の「吉例顔見世興行」は、新型コロナウイルス感染症対策のため、各公演は三部制となり、それぞれ2演目の狂言立て。公演期間も例年の約半分となることが決まりました。通常とは異なる上演形態ながらも仁左衛門は、「今年も顔見世を、京都で行えるということが感無量でございます」と喜び、「吉例顔見世興行」への特別な思いを語りました。

 

仁左衛門、南座「吉例顔見世興行」へ向けて

 

関西での大歌舞伎は、お正月以来

 今年に入り、関西では松竹座「壽初春大歌舞伎」の上演以来、歌舞伎公演の中止が続きました。松竹座「七月大歌舞伎」の中止が決まったころ、「さすがに12月の顔見世は大丈夫だろう」と思っていたという仁左衛門は、ここまでの制約を受けての開催となるとは思っていなかったと戸惑いながらも、歴史ある南座の顔見世興行はどうにか守りたかったと言います。

 

 「このような時期、一番にカットされるのが娯楽と言われていますが、大変な時期だからこそ、皆さんが気持ちを高揚させるためにも、娯楽は本当に大事なことだと思う」と話し、「辛い思いを忘れて、劇場へ来て楽しんでいただきたい」と言葉に力を込めました。

 

仁左衛門が伝えたい『熊谷陣屋』

 「演じていて非常に気持ちがのって、すんなりと入れる好きなお役」であるという熊谷次郎直実。伝えたいのは、「今薄れてきている主従の愛、肉親の愛、そして戦の裏で起こる虚しさ。戦っているところはかっこいいけれど、その陰の悲しさですよね」と神妙な面持ちで述べました。

 

 首実検の場面は何度やっても「体力的にも精神的にも、一番つらいところ」と語るのは、切った我が子の首が、敦盛の首に「違いない」と言われるまで、自分のしたことが正解かどうかわからない不安が続くためだと言います。もしも身代わりが表沙汰になれば子供にも、主君にも申し訳が立たない気持ちは、「出さないようにしています。ただ根本にはあるから、ご覧になる方でわかる方もいらっしゃるかもしれません」と舞台へ臨む思いをにじませました。

 

 一方で、直実が自ら手にかけた我が子の首を、母である相模に渡す場面では、仁左衛門は、首が入った箱を抱きしめながら相模に手渡し、父親としての強い思いを表します。「父(十三世片岡仁左衛門)がそうでしたし、好きでやっています。そのほうがお客様に親子の感情が伝わる」と考えてのことだと明かしました。

 

 『熊谷陣屋』で、孝太郎、千之助との三世代共演するのは今回が初めてです。稽古中、孫の千之助には、せりふや動き、お役の心の表現の仕方についてアドバイスをすることもあると、目を細めて語りました。

 

これまでにない顔見世興行

 三部制になり、開演時間が午前、午後、夕方とそれぞれに設定され、いずれの幕開きも若手の舞踊となったことは、「それぞれいい時間に始まり、みんなが活躍させてもらえる機会となる」と期待を寄せました。

 

 歌舞伎座「十月大歌舞伎」で久々に舞台に立った仁左衛門は「緊張はしなかったですね。稽古場に入るときの喜びが一番大きかった」と思い返し、お客様から拍手を受けて改めて「歌舞伎というのは、客席の力を借りて成り立っている」ことを感じたと言います。「このような興行形態は、南座の顔見世では、これまでないと思うんですけれども、だからこそ御足を運んでいただいて。そしてなかにはこの演目だけ観たいというお客様がいらっしゃる。そういうお客様にはもってこいの興行です」と笑顔で締めくくりました。

 京の年中行事「當る丑歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」は12月5日(土)から12月19日(土)までの公演。チケットは、11月15日(日)から、チケットWeb松竹チケットホン松竹で発売予定です。 

2020/11/02