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團十郎が語る、博多座「九月博多座大歌舞伎」

團十郎が語る、博多座「九月博多座大歌舞伎」

 

 2023年9月1日(金)から始まる十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「九月博多座大歌舞伎」に出演する市川團十郎が、公演に向けての思いを語りました。

 

 昨年11月、12月の歌舞伎座、そして今年の3月の巡業を経て、9月に博多座での開催となる襲名披露興行。昼の部では八代目市川新之助初舞台として歌舞伎十八番の内『外郎売』が上演され、團十郎は同じく歌舞伎十八番の内『景清』に出演。夜の部では『襲名披露 口上』に加え、歌舞伎十八番の内『暫』で、鎌倉権五郎を勤めます。 

歌舞伎十八番を中心とした華やかな演目立て

 『外郎売』では新之助が、昨年11月に続き外郎売実は曽我五郎に挑みます。團十郎は、「9歳で一人で『外郎売』を勤めるのは、とても難しいことです。倅は(昨年11月の歌舞伎座で)大変な思いをしながらそれを乗り越えたわけですから、約9カ月ほど経って、今回は10歳で舞台に挑む彼を見るのが、私自身も楽しみです」と、笑顔を見せます。「お客様には、技術的なことよりも、のびのびと楽しく歌舞伎をやっている姿を喜んでいただけるのではないか」と、親心をのぞかせました。

 

 自身が出演する『景清』は、平成26(2014)年、團十郎が海老蔵時代に、景清を主人公として再構成した『壽三升景清』のなかのひと幕。「二代目團十郎は『雷神不動北山櫻』という演目をつくり、それが歌舞伎十八番『毛抜』『鳴神』『不動』の3演目に分かれました。私は逆の発想で、歌舞伎十八番『関羽』『鎌髭』『景清』『解脱』の4演目から『壽三升景清』という一つの芝居をつくり上げさせていただきました」と、作品の背景を説明します。

 

 「景清の隈取は最初、赤のなかに1本、青黛(せいたい)の青が入ります。これは四代目團十郎が、完全な正義というわけではなく、どこか闇がある景清の人間性を非常に深く追求したからで、そうした部分は演じていて面白さを感じています。また、後半ではその青い隈が赤く戻るのですが、そのように成就していく様というものが、『景清』のなかではみどころだと思います」と、作品の細部にも宿る眼目を語りました。

 

團十郎が語る、博多座「九月博多座大歌舞伎」

 

九州の皆様へお届けする襲名披露興行  

 『景清』では、津軽三味線奏者の上妻宏光が参加することも話題。「『景清』のエッセンスとして何か物足りなさを感じていたときに、上妻さんと出会いました。上妻さんとご一緒させていただいたことで、いろいろなものが見えてきましたし、舞台上で上妻さんの卓越した技術や世界観を体感しました」と初演時を振り返りながら、「今回も上妻さんが参加してくださることによって、『景清』の世界観が広がると思います。これはおそらく博多の方々もすぐに感じてくださると思いますので、ぜひ楽しんでいただきたいです」と、團十郎襲名後初の共演に期待を込めました。

 

 夜の部で上演される『暫』については、「博多座の客席2階のロビーには博多人形の“暫”があり、しかしこれまで博多座で上演がなかったとのことで、今回『暫』を上演できることを本当にうれしく思っています」と語ります。「勧善懲悪という言葉の語源はこの芝居のなかにあるのではないかというぐらい、本当にわかりやすくできています。“童の心を演ずる”という荒事の精神を追求しながら、大仰なことをやっていく。幕外の引っ込みもみどころです」と、作品の魅力を説明しました。

 

 最後に公演を心待ちにしてくださっている九州のお客様へ向けて、「九州には、巡業公演でも各地ほとんどすべてにうかがっておりますが、今回は博多座で公演させていただきます。ぜひ九州の方々は皆様博多座に足をお運びください」と呼びかけ、締めくくりました。

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團十郎が語る、博多座「九月博多座大歌舞伎」

 左より、王貞治福岡ソフトバンクホークス株式会社取締役会長、市川團十郎

 公演に先立ち、6月28日(水)には、團十郎が福岡PayPayドームでの福岡ソフトバンクホークス対東北楽天ゴールデンイーグルス戦のセレモニアルピッチに登場しました。“十三代目”にちなみ「13」の背番号と「DANJURO」の名前の入ったホークスのユニホームに身を包んだ團十郎は、グランドに向かう前に福岡ソフトバンクホークスの王貞治取締役会長に表敬訪問を行い、言葉を交わしました。

 

 

團十郎が語る、博多座「九月博多座大歌舞伎」

 福岡PayPayドームでのセレモニアルピッチに登場

 グラウンドでは成田屋の半纏を着たホークスのマスコットキャラクターが出迎え、客席では市川團十郎家の家紋である「三升」がデザインされた特製うちわを持った観客が見守りました。ホークスの嶺井捕手が構えるミットに力強く投げ込まれたボールは、ノーバウンドでストライク投球に。球場内は大きな歓声に包まれました。 その大役を終えマウンドから戻る團十郎に、グランドで見守っていた王会長から声をかけられる一場面も見られました。

 

 

 セレモニアルピッチ終了後には、「(自己採点は)80点くらいです。(球場の)中に入ると特別な世界があって、九州の皆様と少しの時間でしたが共有できてうれしかった」と語った團十郎。また王会長とお会いしたことについては、「長くお世話になっていまして、節目節目で支えていただきました。今日も心配で駆けつけてくださったようで、温かい方だなと思いました」と、笑顔と感謝を見せました。

 

團十郎が語る、博多座「九月博多座大歌舞伎」

 番外・櫛田神社の山笠「歌舞伎十八番『暫』」

 また7月1日(土)から7月15日(土)まで行われる博多祇園山笠では、市内14カ所に奉納される飾り山笠のうち、番外の櫛田神社、八番山笠の上川端通が『暫』『外郎売』『押戻し』を題材につくられ、博多の街は早くも来る襲名披露ムードに。團十郎は、「福岡の皆様が愛している山笠のお祭りで歌舞伎十八番がデザインされることは大変光栄なことで、ありがたく思っています」と、感謝を口にしました。  

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 博多座「九月博多座大歌舞伎」は、9月1日(金)から17日(日)までの公演。チケットは7月22日(土)から、博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで発売予定です。

2023/07/13