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獅童が語る、歌舞伎座 超歌舞伎 Powered by NTT『今昔饗宴千本桜』

獅童が語る、歌舞伎座『今昔饗宴千本桜』

 左より、初音ミク、小川陽喜、小川夏幹、中村獅童

 

 2023年12月3日(日)から始まる歌舞伎座「十二月大歌舞伎」第一部 超歌舞伎 Powered by NTT『今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)』に出演の中村獅童が、公演への思いを語りました。

 平成28(2016)年、古典歌舞伎とNTTの技術を始めとした最新テクノロジーが融合し、誕生した「超歌舞伎」。幕張メッセの「ニコニコ超会議2016」からスタートし、令和元(2019)年には南座に進出、昨年は博多座、御園座、新橋演舞場、南座と4座で公演が行われました。初演から8年目を迎えた今年、ついに歌舞伎座で上演されます。さらに、獅童の長男・小川陽喜も出演し、次男・小川夏幹(なつき)が初お目見得します。

 

獅童が語る、歌舞伎座『今昔饗宴千本桜』

 

超歌舞伎は「自分にとってのライフワーク」

 初めて「超歌舞伎」に出演したときから、「いずれは歌舞伎座でやって、この『超歌舞伎』という一つのジャンルを本物にしたいという思いが心のなかにあった」と、語る獅童。「念願かなって、今年ようやく、歌舞伎の本拠地である歌舞伎座で『超歌舞伎』をやらせていただけることになりました」と、喜びを表します。これまでの上演時にも会場を沸かせてきた「超高臨場感通信技術 Kirari!」による「分身の術」やデジタルツイン技術「Another Me®」による「獅童ツイン」など、NTTの最先端技術を用いた演出はもちろん、観客がペンライトを振る「超歌舞伎」ならではの光景も、歌舞伎座に初上陸となります。「今まで見たことのない風景を歌舞伎座でつくってみたい。我々がペンライトを大いに振って、お客様と一体となって盛り上がってきたことを、今回歌舞伎座でやるということに意味があると思っています」と、意気込みます。

 

 今回上演される演目は、初演のときと同じ『今昔饗宴千本桜』。歌舞伎の『義経千本桜』とボカロ曲「千本桜」を融合した作品です。「歌舞伎の醍醐味である踊り、立廻りなどがすべて盛り込まれているのが『超歌舞伎』で、一見奇抜なことをやりそうですが、我々がやっている演技法というのは古典歌舞伎に則ったもの」と説明。「今回は新たに<発端の場>が加わり、(中村)勘九郎さんと七之助さんにお出ましいただきます。(息子の)陽喜と夏幹は、クライマックスで二人一緒に花道で派手に見得をする演出もある」と、明かしました。共演の初音ミクについては、「尊敬しています。(初演の)2016年からどんどん踊りも上達して、陰での努力はそれはもう大変なものなのではないか」と感心した様子を見せ、「初演から観ていらっしゃる方は、ミクさんの踊りの進化を見ていただけたら」と、笑顔で話しました。

 

 「(今回の上演は)うれしいという思いが一番強いですが、やはり歌舞伎座で上演するには少し異質な演目ですので、そこは賛否両論のご意見があるだろうなと。ただ平均点を取ろうと思ってやっていませんし、伝統を守りつつ革新を追求するという中村獅童の生き方を貫き通したいです」と、熱い思いを口にします。また、「歌舞伎座での上演が今までやってきたことの集大成になれば」と、決意をにじませました。

 

獅童が語る、歌舞伎座『今昔饗宴千本桜』

 

チャレンジしていく精神

 今回の公演では、長男・陽喜が陽櫻丸/狐の精を勤め、次男・夏幹が夏櫻丸で初お目見得します。この日、獅童は「夏幹は生まれながらに、両手の小指が欠損している状態」ということを公表。「夏幹が自分と同じ道を歩みたいと言ってくれることは純粋にうれしかったのですが、世間にどう受け入れていただけるのか。親として葛藤がないと言えば嘘になります」 と、心の内を述べます。「悔しい、悲しいこともあれば、うれしいこともあるのが人生。彼にしかわからない悲しみをこれから味わうかもしれませんが、役者にとってそれは最大の武器。すごく強力なライバルが現れたと思っています」。

 

 「外国では“チャレンジド”という言い方があるそうですが、前を見つめてチャレンジしていく精神を僕も忘れたくはないですし、『超歌舞伎』を歌舞伎座でやるということは、僕自身のチャレンジでもありますので、自分に正直に、そして家族で手を取り合って前を見据えて生きていきたい」と、言葉に力を込めます。「夏幹は泣き虫でママっ子。先月、お化粧のお稽古をしたときは泣かずに、なんとかそのハードルは乗り越えることができました。(公演中は)最後までやり遂げてほしいと思いますし、今後も成長を温かく見守っていただけたら父親としてはこんなにうれしいことはないです」と、穏やかな口調で述べました。

 囲み取材では、陽喜と夏幹が登場。「小川夏幹です」と夏幹が恥ずかしそうに話すと、「超歌舞伎」のペンライトを手にしていた陽喜がすかさず、「萬屋!」の大向うの音声を流し、兄弟愛を感じさせる微笑ましい場面も。歌舞伎の「戦っているところ」が好きだという夏幹に、兄の陽喜は「立廻りを教えたい」と、頼もしい言葉をかけます。獅童は改めて、「お客様参加型の『超歌舞伎』。ペンライトを振りながら、お若い方からお年を召した方まで、幅広い方たちに観て、楽しんでいただいて、嫌なことを吹っ飛ばしてくれたらうれしく思います。歌舞伎座でお待ちしております!」と、締めくくりました。

 歌舞伎座「十二月大歌舞伎」は12月3日(日)から26日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

獅童が語る、歌舞伎座『今昔饗宴千本桜』

 左より、小川陽喜、小川夏幹、中村獅童

 

2023/11/17