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vol.5 歌舞伎って記号?

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 人は見かけで判断できる?外見の記号から、キャラをチェック。
 たとえば似たような年ごろの女性3人。『怪異談牡丹燈籠(かいだんぼたんどうろう)』のお露、『梅雨小袖昔八丈』(『髪結新三』)のお熊、『妹背山婦女庭訓』のお三輪。皆、振り袖に、帯を「振り下げ」と呼ばれるスタイルで長く垂らした姿です。

○記号その1 「襟元」
 江戸時代後期、主に下町の女性は、襟の汚れ防止のため「掛け襟」という、黒繻子の布をかける習慣がありました。歌舞伎でも、掛け襟は町人女性の記号。お染とお三輪は、掛け襟をしていますが、お露にはありません。お露は武家の出身だからです。

○記号その2 「帯」
 帯はお露だけが織物の帯。お染とお三輪は染め帯。武家の女性は織帯が基本。黒繻子でアクセントをつけた染め帯は「昼夜帯」(短い帯)や「お染帯」(長い帯)と呼ばれ、掛け襟とのセットは、町人女性のシンボル。
 結び方も「角出し」というスタイルは、町人女性特有。お馴染の文庫結びは武家女房のスタイル。振り下げは未婚女性が結びますが、世話物では、ある程度裕福なお嬢様のシンボル(フツーの町娘は長く垂らさない)

○記号その3 「色」
 お三輪の衣装は「萌葱色」という緑色。この色を着る女性は田舎娘。『新版歌祭文』(『野崎村』)のお光も同系統。また「十六むさし」という、昔のゲームを図案化した柄も、田舎娘のお約束。

 記号から様々な情報を読み解ければ、あなたも立派な歌舞伎マニアです。


■辻 和子(イラスト・文)
恋するKABUKI フリーイラストレーターとして出版・広告を中心に活動中。
 エキゾチックな味わいが持ち味だが、子供の頃より観続けている歌舞伎の知識を生かした和風の作品も得意とする。
 現在東京新聞土曜夕刊にて、歌舞伎のイラストつきガイド「幕の内外」を連載中。
 著書にファッションチェックつき歌舞伎ガイド「恋するKABUKI」(実業之日本社刊)がある。