歌舞伎座
團菊祭五月大歌舞伎
平成19年5月1日(火)~25日(金)
昼の部
一、泥棒と若殿(どろぼうとわかとの)
大聖寺の領主松平大炊頭の次男成信(三津五郎)は、悪家老の陰謀により、廃屋同然の御殿に幽閉されています。そこへ押し入ったのは、泥棒の伝九郎(松緑)。盗むものが何もないばかりか、食事にも事欠くこの家の主の有り様を見て気の毒になった伝九郎は、逆に成信の身の回りの世話をしはじめます。悲運の若殿と人のいい泥棒の間に芽生える、おかしくも温かい心の絆。山本周五郎の滑稽小説を劇化した喜劇で、歌舞伎座では久しぶりの上演となります。
二、天覧歌舞伎百二十年記念
歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
都落ちを余儀なくされた源義経(梅玉)と家来の武蔵坊弁慶(團十郎)ら一行は、山伏姿に変装して安宅の関を通り抜けようとします。関守の富樫左衛門(菊五郎)はその正体を見破りますが、主人を守ろうとする弁慶の命がけの振る舞いに心打たれ、通過を許可します。明治二十(一八八七)年、九代目團十郎らの尽力で初めて天覧歌舞伎が実現してから、今年で百二十年。歌舞伎が国を代表する舞台芸術として広く認められる推進力となった慶事を記念して、同じ演目を現代の菊五郎、團十郎により上演します。
三、与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
木更津海岸見染の場源氏店の場
木更津界隈の顔役である赤間源左衛門の愛妾お富(菊之助)と、大店伊豆屋の若旦那与三郎(海老蔵)は、浜辺で互いに一目惚れします(「木更津海岸見染」)。逢瀬を重ねる二人の仲を知った赤間により、与三郎は瀕死の重傷を負い、お富は身投げをしたところを和泉屋多左衛門(左團次)に救われました。それから三年。今は多左衛門の囲われ者となっているお富のもとに、時折たかりに来る蝙蝠安(市蔵)が、相棒をつれて訪れます。頬被りで傷だらけの顔を隠したその男こそ、与三郎でした(「源氏店」)。運命の出会いから「しがねえ恋の情が仇」の名せりふでおなじみの再会まで。海老蔵と菊之助の清冽な美しさに引き込まれることでしょう。
四、女伊達(おんなだて)
吉原仲の町に颯爽と現れたのは、女伊達木崎のお駒(芝翫)。淀川の千蔵(翫雀)と男伊達の中之嶋鳴平(門之助)も太刀打ちできない勇ましさは、まるで助六を女性にしたかのようです。メリハリの利いた長唄舞踊で、芝翫が江戸の粋を伝えます。
夜の部
一、十七世市村羽左衛門七回忌追善狂言
女暫(おんなしばらく)
権力をふるう蒲冠者範頼(彦三郎)は、轟坊震斎(松緑)、女鯰若菜(菊之助)、猪俣平六(團蔵)、江田源三(亀三郎)ら家来を連れて宴を開いてます。木曽義仲の遺児の清水冠者義高(権十郎)やその許嫁の紅梅姫(亀寿)ら忠義に厚い家臣たちが、その暴挙を諫めると、範頼は成田五郎(海老蔵)らに命じて、義高一行を成敗しようとします。そこへ「しばらーく」の声を掛けて現れたのは、義仲の愛妾巴御前(萬次郎)です。大がかりな扮装をした荒事師による祝祭劇『暫』の女性版。超人ぶりを発揮した後、女方の素に戻って舞台番(三津五郎)を前に恥じらうのは、『女暫』ならではの趣向です。『暫』に縁の深かった十七代目羽左衛門の七回忌にあたり、橘屋の総力を結集してご覧いただきます。二、上 雨の五郎(あめのごろう)
雨の中、父の敵討ちを控えた曽我五郎(松緑)が向かうのは、馴染みの傾城・化粧坂の少将が待つ大磯の廓。少将からの恋文を手に艶やかなしぐさを見せながら、キリッと力強い男の表情に戻る五郎。猛者の色香を見せるところがユニークな長唄舞踊を、松緑が爽やかに踊ります。下 三ツ面子守(みつめんこもり)
赤ん坊を背に駆け出して来たのは、あどけなさの残る子守の少女(三津五郎)。おかめ、恵比寿、ひょっとこのお面を付け替え踊っては、赤ん坊をあやします。面をつけ替えるタイミングが次第に速くなる中、三人の人物を瞬時に踊りわける高い技術が求められる常磐津舞踊。踊り巧者の三津五郎に、期待が膨らみます。
三、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)
め組の喧嘩
品川島崎楼より神明末社裏まで
品川の遊郭島崎楼。座敷を隣り合わせていた相撲取り四ツ車大八(團十郎)と鳶の藤松(松緑)たちの間で喧嘩が始まり、め組の頭の辰五郎(菊五郎)が止めに入ります。が、内心おさまらない辰五郎は、尾花屋のおくら(田之助)に送られてきた四ツ車を待ち伏せて襲い、通りかかった鳶の親方喜三郎(梅玉)ともども、闇の中で探り合いとなります。数日後、辰五郎の女房お仲(時蔵)の心配が的中し、今度は芝神明の芝居小屋で喧嘩が勃発。四ツ車や弟分の九竜山(海老蔵)対辰五郎や亀右衛門(團蔵)、長次郎(権十郎)らが一触即発状態になり、芝居小屋座元の喜太郎(左團次)が仲裁に入ります。「火事と喧嘩は江戸の華」の言葉通り、喧嘩に命を賭ける江戸っ子の心意気を描いた人気作。菊五郎劇団ならではのいなせで小気味よい鳶たちの活躍を、どうかお見逃しなく。






