玄冶店
げんやだな
『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』といえば、通称「お富与三郎」「切られ与三」として親しまれている人気演目です。とりわけおなじみの場面は「ご新造さんへ、おかみさんへ、お富さんへ。いやさお富久しぶりだなあ」の名せりふで知られる「源氏店(げんじだな)」の場ですが、元々は史実の「玄冶店(げんやだな)」に由来しています。
玄冶というのは三代将軍家光の時代に将軍お抱えの医者として名を馳せた岡本玄冶、その屋敷のあった所が玄冶店です。「冶(や)」の字を「治(じ)」に置き換えると「げんじ」となり、そこへ「源氏」という字を当てて芝居の舞台にしました。
とはいえ実際にあった有名な場所の上に言葉の響きが粋で、「玄冶店」はこのお芝居の代名詞ともなっています。
人形町三丁目交差点付近には「玄冶店跡」の史蹟碑が建てられ、その歴史を今日に伝えています。(K)
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