歌舞伎座
歌舞伎座百二十年
初代松本白鸚二十七回忌追善
二月大歌舞伎
平成20年2月1日(金)~25日(月)
昼の部
一、小野道風青柳硯(おののとうふうあおやぎすずり)
柳ヶ池蛙飛の場 小野道風(梅玉)は柳に蛙が飛びつくのを見て、橘逸勢の謀反の企みが天下を揺るがす一大事に至ることを悟ります。そして独鈷の駄六(三津五郎)や逸勢の手下たちを蹴散らすと、道風は悠々とその場を立ち去って行くのでした。
小野道風の伝説の原拠となった作品ですが、本興行では昭和二十一年に初代吉右衛門が道風、初代白鸚が駄六を勤めて以来の上演となります。道風と駄六の相撲の手を取り入れた立廻りが眼目の作品をお楽しみ下さい。
二、菅原伝授手習鑑
車引(くるまびき)
菅丞相の舎人梅王丸(松緑)と、斎世親王の舎人桜丸(錦之助)の前に、互いの主人を追い落とした藤原時平の牛車が通りかかるので、ふたりは恨みを晴らそうと狼藉を働きます。これを時平の舎人松王丸(橋之助)が押し止めます。実は松王、梅王、桜丸の三人は、三つ子の兄弟でしたが、敵味方に別れて奉公をしているのでした。やがて牛車の中から藤原時平(歌六)が現れると、その威勢に梅王丸、桜丸も体をすくめてしまいます。
荒事の演技が堪能できる一幕を、清新な配役でご覧頂きます。
三、積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)
都に近い逢坂の関に庵を結び、亡き仁明天皇の菩提を弔っている良峯少将宗貞(染五郎)のもとへ、宗貞の恋人の小野小町姫(福助)がやって来るので、関守の関兵衛(吉右衛門)はふたりに馴れ染めを訊ね、三人で賑やかに踊ります。その拍子に関兵衛は、割符を落とすので、宗貞は関兵衛の素性を怪しみ、小町をその場から立ち去らせます。やがて夜も更け関兵衛の前に、傾城墨染(福助)が現れます。そして関兵衛は、墨染に廓の様子を語ってくれと所望し、賑やかに踊りだしますが...。
初代白鸚の当り役を吉右衛門が勤める、常磐津の大曲をご覧下さい。
四、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
祗園一力茶屋の場 大星由良之助(幸四郎)は、亡君・塩冶判官の仇討ちを決意したものの、祗園町で遊興に浸っています。そこでその真意を確かめようと、赤垣源蔵(友右衛門)、寺岡平右衛門(染五郎)をはじめ、敵方に内通する斧九太夫らがやって来ます。やがて由良之助が、嫡子力弥(高麗蔵)の届けた密書を読み始めると、二階から遊女のおかる(芝雀)がその内容を窺います。これを知った由良之助は、おかるを身請けすると偽って殺すことを決意します。
一方、平右衛門は妹のおかるとの再会を喜び、おかると話すうちに仇討ちのために苦慮する由良之助の真意を知るので、平右衛門はおかるを殺そうとします。これを由良之助は止めて、平右衛門が仇討ちの徒党に加わることを許し、密書を盗み読んだ九太夫を討つのでした。
白鸚襲名披露狂言でもあった所縁の作品をお楽しみ下さい。
夜の部
一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
工藤祐経(富十郎)が、小林朝比奈(歌昇)や大磯の虎(芝雀)、化粧坂少将(孝太郎)らと酒宴に興じているところへ、曽我十郎(橋之助)、五郎(三津五郎)兄弟が呼び出されます。実はふたりは工藤が十八年前に殺害した河津三郎の遺児で、五郎は工藤に迫りますが、十郎はこれを押し止めます。そして兄弟に盃を与えた工藤は、仇討ちの前に紛失した友切丸の探索こそ重要であると説いていると、そこへ兄弟の家臣鬼王新左衛門(東蔵)が友切丸を持って駆けつけます。こうして工藤は、富士の巻狩りの奉行職を果たした上で兄弟に討たれようと、富士の巻狩りの切手を与えるのでした。
豪華配役で華やかな祝祭劇をお楽しみ頂きます。
二、初代松本白鸚二十七回忌追善
口上(こうじょう)
幸四郎、染五郎の親子をはじめ、雀右衛門、吉右衛門、松緑と、白鸚ゆかりの人々が列座してその遺徳を偲び、追善口上を述べる一幕をお楽しみ下さい。
三、一谷嫩軍記
熊谷陣屋(くまがいじんや)
熊谷直実(幸四郎)が自らの陣屋へ戻ってくると堤軍次(松緑)と、国元にいるはずの妻の相模(芝翫)が出迎えるので、不機嫌な様子となります。熊谷が一子小次郎の働きを語り始めるところへ、敦盛の母である藤の方(魁春)が現れて熊谷に斬りかかります。熊谷はこれを組み伏せると、藤の方に敦盛の最期の様子を物語ってみせます。
まもなく熊谷の陣屋に源義経(梅玉)がやって来て、敦盛の首実検が始まりますが、首桶にあったのはなんと小次郎の首。実は義経は、後白河法皇の子である敦盛を救うように、熊谷にそれとなく命じていたのでした。そして義経は、石屋の弥陀六(段四郎)を平宗清と見顕すと、匿っていた敦盛を宗清に預けるのでした。やがて熊谷が義経の前に進み出て、兜を脱ぐと...。
初代白鸚が当り役にした熊谷を幸四郎が勤め、追善興行にふさわしい配役で、義太夫狂言の名作をお楽しみ頂きます。
四、新歌舞伎十八番の内
春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
今日は江戸城の年中行事である鏡曳きが行われ、その余興のために小姓の弥生(染五郎)が将軍の前へと引き出されます。そして弥生が様々な踊りを見せるうちに、獅子の精が弥生に乗り移ってしまいます。やがて獅子の精が出現して、豪快な獅子の狂いを見せるのでした。
染五郎が本興行で初めて勤める『鏡獅子』をご期待下さい。
