みどころ


歌舞伎座

歌舞伎座百二十年

吉例顔見世大歌舞伎

平成20年11月1日(土)~25日(火)


昼の部

一、通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)

 浪人の薩摩源五兵衛(仁左衛門)は、芸者の小万(時蔵)に入れ込んでいますが、実は小万には笹野屋三五郎(菊五郎)という夫がいます。一方、源五兵衛の家臣の六七八右衛門(歌昇)は主人の行状を心配していますが、当の源五兵衛は耳を貸しません。また源五兵衛の伯父の富森助右衛門(東蔵)は、甥のために百両を用立てますが、これを三五郎が、内びん虎蔵(團蔵)、お先の伊之助(錦之助)、ごろつき勘九郎(権十郎)たちと共謀して、源五兵衛から巻き上げるのでした。
 この恨みを晴らそうと源五兵衛は、三五郎のもとへ向かい、伊之助や芸者の菊野(梅枝)、廻しの幸八(友右衛門)らを殺害しますが、三五郎と小万はその難を逃れます。こうしてふたりは、小万の兄の弥助(左團次)が家主をしている四谷鬼横町の長屋へ逃げてきますが、その家へ三五郎の父の了心(田之助)が訪ねてきます。実は三五郎が源五兵衛から百両を巻き上げたのも、了心の旧主に用立てるためでした。
 やがて源五兵衛が三五郎夫婦の前に姿を現しますが、伊之助たちを殺害した咎で出石宅兵衛(翫雀)がこれを捕らえようとします。しかし八右衛門が主人の身替りとなり、これを見た源五兵衛は小万のことを諦めると告げて立ち去って行きます。実はこの言葉は三五郎夫婦を油断させる源五兵衛の謀で、再び源五兵衛が小万の前に現れると...。
 『忠臣蔵』と『五大力』の世界を綯い交ぜにした鶴屋南北の傑作を、顔見世興行にふさわしい豪華配役で上演します。


二、玩辞楼十二曲の内 廓文章(くるわぶんしょう)

 大坂新町の吉田屋に、勘当を受けて紙衣姿に零落した藤屋伊左衛門(藤十郎)がやって来るので、若い者の松吉(亀鶴)が追い払おうとします。主人の喜左衛門(我當)はこれをたしなめて、伊左衛門を招きいれると、女房のおきさ(秀太郎)と共に旧交をあたためます。
 やがて伊左衛門と二世を誓った傾城夕霧(魁春)が現れますが、伊左衛門は辛くあたるので、夕霧は伊左衛門を心配するあまり病になったことを明かします。ここへ伊左衛門の勘当が許された旨が告げられ、夕霧の身請けの金も運ばれるので、ふたりは喜び合うのでした。
 情緒纏綿とした和事の代表作を上演する注目の舞台です。



夜の部

一、菅原伝授手習鑑

 寺子屋を営む武部源蔵(梅玉)は、菅丞相の嫡子菅秀才(千之助)を救うために、寺子を身替りにすることを思いつきますが、与太郎(松江)のように山家育ちの子ばかりです。しかし今日寺入りした小太郎(玉太郎)は、人品もあって身替りにふさわしく、源蔵は妻の戸浪(魁春)にその決意を明かします。まもなく松王丸(仁左衛門)と春藤玄蕃(段四郎)が現れると、源蔵は小太郎の首を差し出しますが、首実検役の松王丸はその首を菅秀才の首と認めて、玄蕃と共に去って行きます。
 やがて小太郎の母の千代(藤十郎)が我が子を迎えに来るので、源蔵が千代を斬ろうとすると、千代は小太郎が身替りの役に立ったかと尋ねます。実は小太郎は松王丸と千代の子で、菅丞相の恩に報いるために、菅秀才の身替りとなるよう源蔵のもとへ差し向けられたのです。こうして松王丸は自らが救い出した園生の前(孝太郎)を招き入れると、一同で小太郎の冥福を祈るのでした。
 重厚な義太夫狂言を顔見世ならではの配役でお楽しみ頂きます。


二、新歌舞伎十八番の内 船弁慶(ふなべんけい)

 海路で西国を目指す源義経(富十郎)が、家臣(松江・種太郎・萬太郎・右近)と共に大物浦にやって来ると、武蔵坊弁慶(左團次)は、静御前を都へ帰すようにと進言します。義経はこれを受け入れ、静御前(菊五郎)を召し出すと、門出を祝う舞を舞わせて、その別れを惜しみます。
 そして出船の時刻となり、舟長三保太夫(芝翫)と、舟子(東蔵・歌六・團蔵)が立ち働きますが、海は大荒れとなります。やがて海上に平知盛の霊(菊五郎)が出現し、義経主従に襲いかかりますが、弁慶が一心不乱に祈ると、さしもの亡霊も退散するのでした。
 新歌舞伎十八番のひとつである名作舞踊を、豪華配役で上演する話題の一幕です。


三、三代目中村時蔵五十回忌追善狂言

  八重桐廓噺(やえぎりくるわばなし)

  嫗山姥
 かつて廓勤めをしていた八重桐(時蔵)は、ある館から自分の夫であった坂田蔵人の作った歌が聞こえて来るので、誰が歌うのかを確かめようと、腰元のお歌(歌昇)の手引きで館へ入ります。館の息女の沢瀉姫(梅枝)の前にいた煙草屋こそ坂田蔵人(梅玉)で、元夫にあてつけるように八重桐は、蔵人を巡って痴話喧嘩した折の様子を語って見せます。
 やがて蔵人は、八重桐を離縁したのも親の仇討ちをするためだったと明かしますが、八重桐は仇は蔵人の妹である白菊が討ったと語り、白菊(孝太郎)がその場へ姿を現します。これを恥じる蔵人は申し訳のために切腹し、その魂は八重桐の体内に宿ります。こうして怪力を得た八重桐は、沢瀉姫を奪いに来た太田十郎(錦之助)を見事に蹴散らすのでした。
 三世時蔵五十回忌追善にふさわしい義太夫狂言を、清新な顔ぶれで上演します。

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