ニュース

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

 

 2026年8月2日(日)、歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」の初日が幕を開けました。

【大きなサイズの舞台写真は、ページ下部でご覧いただけます】

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

前列左より、中村橋之助、尾上右近、坂東巳之助、中村七之助、松本幸四郎、中村勘九郎、中村歌昇、坂東新悟、中村米吉/後列左より、中村長三郎、中村勘太郎、中村歌之助、中村虎之介、中村福之助、中村玉太郎、市川染五郎、尾上辰之助

 歌舞伎座の夏の風物詩として親しまれてきた「八月納涼歌舞伎」。本年も三部制での上演です。初日の開場前、出演者17名がそろいの浴衣姿で歌舞伎座の正面玄関前に登場し、劇場前に集まったお客様の拍手や声援に、思い思いに手を振って応えました。そして登壇者を代表して、幸四郎、勘九郎、七之助、巳之助、尾上右近がご挨拶しました。

 

 幸四郎は、「恒例の、“八月納涼歌舞伎”の初日を迎えることができまして、このようにお集まりいただき本当にありがとうございます。朝早くからすごく暑いです。ただ、これに負けずに一丸となって熱いお芝居をおみせしたいと思っております」と、力強くご挨拶しました。出演者が手にする直筆のうちわは、公演期間中、歌舞伎座2階のロビーに展示されていますので、ご観劇の際はぜひご覧ください。また、ご観劇いただいたお客様にうちわが当たるキャンペーンも実施中。詳細はこちらをご確認ください。

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

 『怪談 牡丹燈籠』左より、坂東巳之助、尾上右近

 第一部は通し狂言『怪談 牡丹燈籠』。三遊亭円朝(幸四郎)が高座で語り進める演出のもと、物語は波乱に富んだ展開をみせます。萩原新三郎(染五郎)への恋ゆえ気鬱の病となったお露(辰之助)らと、お国(新悟)と深い仲の宮野辺源次郎(橋之助)の舟がすれ違い、物語の交錯する運命を感じさせます。やがて、焦がれ死にしたお露と乳母のお米が牡丹燈籠を携え新三郎のもとへやってきますが、その部屋を伴蔵(巳之助)が覗くと…。美しくも妖しげな二人の姿と、怪談物らしいゾクリとする演出に観客は息をのみます。「お札はがし」の場面では、幽霊に怯えながらも、自らの欲が浮き彫りとなる伴蔵とお峰(尾上右近)のやりとりに場内は笑いに包まれます。第一幕の幕切れでは、美しい幽霊のお露に憑り殺される新三郎の姿が印象的に描かれました。

 

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

 『怪談 牡丹燈籠』上:坂東巳之助/下:尾上右近

 1年後、幽霊から手に入れた100両を元手に大店の主となった伴蔵とお峰夫婦ですが、馬子久蔵(幸四郎/2役目)から、伴蔵がお国に入れあげている話を聞き、お峰は怒り心頭。夫婦仲に亀裂が走ったお峰と伴蔵の緊迫した駆け引きに観客も引き込まれます。一方、土手では、犯した罪を悔いる源次郎がお国と抱き合いながらも、突如として刀を抜き…。暗い舞台に、二人を囲むようにふわりと舞い飛ぶ蛍の光が印象的な場面です。そして暗雲立ち込め遠雷轟く幸手堤に、伴蔵とお峰がやって来ると…。本水の雨が降りしきるなか、欲望に狂った人間の業と、やがて迎える凄惨な幕切れに、観客からは大きな拍手が送られました。

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

 『らくだ』左より、中村勘九郎、片岡市蔵、松本幸四郎

 第二部の幕開き『らくだ』では、昨年11月に急逝した四世片岡亀蔵を偲び、ゆかりの出演者がそろいます。裏長屋では、河豚に当たって死んだ馬太郎(市蔵)のもとへ手斧目半次(幸四郎)が戻ってきます。通りかかった紙屑買の久六(勘九郎)を使って、家主佐兵衛(彌十郎)と女房おいく(笹野高史)を脅しにかかり…。随所に亀蔵を偲ぶ場面が盛り込まれ、客席からは笑いとともにすすり泣く声も。酒に酔った久六と半次の立場が逆転していく様子には場内は大盛り上がり。馬太郎が踊るカンカンノウには客席から手拍子が自然発生し、賑やかに幕となりました。

 

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

 『鬼神のお松』中村七之助

 続く、『鬼神のお松』は本興行では62年ぶりの上演です。夏目四郎太郎(歌昇)は、田舎娘を助け、家まで送り届けようとしますが、その娘は実は鬼神のお松(七之助)。四郎太郎は川を渡る途中に殺されてしまいます。突然豹変するお松の姿に客席は息をのみます。お松は、愛する夏目四郎次郎(尾上右近)が探す家宝の刀・暁丸の行方を捜すために、盗賊・鬼神のお松として侍を襲っているのです。多彩な面を瞬時に演じ分けるお松の姿に、客席のボルテージも上がります。やがて、牧村主水(扇雀)が登場し、お松の働きでついに暁丸を手にした四郎次郎は目が見えるようになり…。さまざまに姿を変えるお松からは、四郎次郎や我が子への愛情を感じられ、客席からは割れんばかりの拍手が送られました。

◇ 

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

 『舞鶴雪月花』中村勘九郎

 第三部は、十七世中村勘三郎(俳名「舞鶴」)に書き下ろされた中村屋ゆかりの舞踊『舞鶴雪月花』から。幕が開くと、愛らしい娘姿で艶やかな踊りをみせる桜の精(七之助)の美しさに、客席からは感嘆のため息が。月明りの下のすすき野では、幼い松虫(長三郎)と親の松虫(勘太郎)が、短い生命の運命を哀れに踊ってみせる姿に観客の心が引き込まれます。舞台は一転し雪景色の町中では、炭屋の町娘に恋する雪達磨(勘九郎)が、恋心を滑稽に踊ってみせます。やがて雪達磨は朝日に照らされて…。軽妙さのなかにもどこか切なさを感じさせる魅力あふれる踊りに客席は大いに賑わいました。

 

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

『残月』坂東玉三郎

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

『雪』坂東玉三郎

 続いては、坂東玉三郎による地唄舞『雪』です。幕が上がり、屏風の前にほのかな明かりに照らされた玉三郎が現れると、歌舞伎座の空間すべてが玉三郎に集中し、一瞬にして静寂に包まれました。上方らしい優艶さにあふれる舞に場内は、しんとした空気で満たされました。そして、『残月』。舞台に明かりが灯ると、白い衣裳に身を包んだ玉三郎の美しさに客席からはため息がもれます。磯辺の松の葉に隠れ、沖へ入る月。早くに世を去った女がひとり…。『雪』と並ぶ珠玉の本作では、見え隠れする月の情景と儚い命の面影が静かに重なり合います。繊細な玉三郎の舞と、扇子の微細な動きで情景を表現する姿に観客は魅了されました。

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

 

 歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、全国の「御菓子・老舗店フェア」を開催しています。観劇の際はぜひお立ち寄りください。

 

 歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」は、26日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

 

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

『怪談 牡丹燈籠』左より、坂東巳之助、尾上右近

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

『怪談 牡丹燈籠』上:坂東巳之助/下:尾上右近

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

『らくだ』左より、中村勘九郎、片岡市蔵、松本幸四郎

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

『鬼神のお松』中村七之助

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

『舞鶴雪月花』中村勘九郎

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

『雪』坂東玉三郎

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日開幕

『残月』坂東玉三郎

2026/08/07