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渋谷・コクーン歌舞伎『三人吉三』の稽古場から

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 6月6日(金)から始まる 渋谷・コクーン歌舞伎 第十四弾『三人吉三』の製作発表記者会見が稽古場で行われ、出演の中村勘九郎、中村七之助、尾上松也と、演出・美術の串田和美が出席しました。

渋谷・コクーン歌舞伎『三人吉三』

本読み稽古で新たな気づきが
 コクーン歌舞伎3度目の上演となる『三人吉三』。前2回では十八世勘三郎、福助、橋之助が三人の吉三を勤めました。「めちゃくちゃかっこよかったので、あの空気感を出すために必死でやります」(勘九郎)、「憧れの三人、鳥肌が立ったカーテンコール。お客様に格好いいなと思ってもらえる吉三にします」(七之助)、「最後は涙を流して観ていました。今回の出演の話を聞いたときは身震いしました」(松也)と、それぞれに『三人吉三』への思いの深さを話しました。

渋谷・コクーン歌舞伎『三人吉三』
渋谷・コクーン歌舞伎『三人吉三』

 稽古はまだ始まったばかりですが、「これだけ本読みの稽古ができるのは歌舞伎ではないこと。句読点の意味を考えたり、いろんな試みができて楽しい」と勘九郎。七之助が「お嬢とお坊、プライベートの仲のよさが強みとなって本読みに表れてきています」と、同世代との共演がプラスになっていることを話すと、松也もうなずき、「全員でこれだけじっくり歌舞伎の台本を読むことが、おおいに刺激になっています。本を掘り下げることで、いい結果に結びつけたいと思います」と、手応えを感じているようでした。

21年目、第二期コクーン歌舞伎が幕を開ける
 今回は『天日坊』から2年ぶりのコクーン歌舞伎。「歌舞伎座新開場の一年は公演を休む。それをきっかけに、コクーン歌舞伎は新しいところへ行くかもしれないね。そのときは『三人吉三』がいい」。串田は十八世勘三郎がそんな話をしていたと明かしました。そして、「21年目の今年は第二期、新しいコクーン歌舞伎の始まりと思っています。新しい展開、新しい表現だけでなく、コクーン歌舞伎のあり方を探り、位置づけを考えたい」と、コクーン歌舞伎の生みの親の一人としての決意を語りました。

 第二期コクーン歌舞伎を象徴的に表す一つが、実は、ポスターに使われている写真です。撮影は渋谷のガード下で深夜、三人がそれぞれの吉三をイメージして行われました。ロケハンと演技指導もして撮影に臨んだ串田が、「一番大事なことを予感する、何か見えたいい時間だった」と満足そうに話すと、三人もおおいに納得している様子でした。

渋谷・コクーン歌舞伎『三人吉三』

新しいさまざまな試み
 「黙阿弥で下座音楽を一切使わない...。ついに来ましたね!」と、勘九郎が話を向けると串田は、「『天日坊』でも三味線を使わなかったし、不安は感じていません。歌舞伎俳優は耳に入っている音を振り払うのが大変かもしれませんが、それも稽古次第。いろいろ面白いことができると思います」と楽しそうでした。

 音楽担当は、串田演出の『桜姫』(2009年)現代劇版や『佐倉義民傳』(2010年)なども手掛けた伊藤ヨタロウで、すでにさまざまなアイディアを出しているそうです。さらに、『桜姫』現代劇版の上演台本を書いた長塚圭史も、演出助手として加わります。これには、「本読みでト書きを読む長塚さんは新鮮。緊張しました」と、勘九郎もびっくりした様子でした。

 現代演劇界の巨人ともいわれる演出家ピーター・ブルックの作品で活躍する俳優、フランス在住の笈田ヨシの参加も話題です。国際的に活躍する笈田の参加をきっかけに、「世界の人が歌舞伎という題材を、まったく違うアプローチでやってくれると面白い。それがまたこちらの刺激になるといいなと思います」と、串田もこれまでにない展開に期待を寄せました。

 渋谷・コクーン歌舞伎 第十四弾『三人吉三』は、Bunkamuraシアターコクーンで6月6日(金)から28日(土)までの上演。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹ほかにて販売中です。


勘九郎、七之助、松也が「コクーン歌舞伎」への意気込みを語る

2014/05/08