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猿之助の歌舞伎座新開場記念展「記念トークライブ」

 サントリー美術館で開催されている「歌舞伎 ―江戸の芝居小屋―」展(3月31日[日]まで)で、市川猿之助が登場する記念トークライブが行われました。同展に展示されている風俗画や役者絵などをいくつかピックアップしながら、浮世絵に詳しい猿之助ならではの視点で繰り広げられたトークを抜粋でご報告します。

歌舞伎図巻 二巻のうち下巻

――「歌舞伎図巻 二巻のうち下巻」(徳川美術館蔵:女歌舞伎の舞台とそれを見物する人々が描かれた重要文化財)
 一座のスター、釆女(うねめ)は胸元にクルスを付けていますが、これは舶来のものを取り入れた、当時最新のファッションだったのでしょう。歌舞伎役者は最新ファッションの発信者でもあったというのがよくわかりますよね。

――「歌舞伎大芝居之図」(奈良県立美術館蔵 葛飾北斎画:舞台と客席、芝居小屋の内部全体が描かれている)
 遠近法で描かれていますが、こんぴら歌舞伎にいらしたことのある方は、金丸座(旧金毘羅大芝居)にそっくりとお思いになるのではないでしょうか。桟敷席の様子や、本花道とは別に、上手側にも細い仮花道があります。『極付幡随長兵衛』で長兵衛が最初に登場するとき、今は客席上手側の通路を使いますが、実際にはこの仮花道を歩いてきたということになるのでしょう。今も上演されている芝居からも、江戸時代の歌舞伎がかなりはっきり推察できるようになっているんですよね。

――「山中平九郎の老婆黒塚と二代目市川團十郎の権五郎景政」(平木浮世絵財団蔵 鳥居清信画 重要美術品)
 鳥居派は円の中に描くというのが基本にあるそうです。ここに描かれている権五郎景政にもそれを感じ取ることができますが、実際の荒事の演技も足の先からぐるっと円を描くように動くんです。
 荒事が始まった頃は、衣裳に役者それぞれの紋が必ず入っており、それで「あれは誰それだ」とわからせるということがあったそうです。

――「『黒塚』鬼女の押隈/二代目猿之助」(松竹大谷図書館蔵)
 福山雅治さんがつくってくださった襲名の祝幕は、澤瀉屋代々の隈取を重ねたデザインなのですが、このアイディアが実現したのも、こうやって祖先の隈取が残っていたからこそです。
 ただ、伝え聞くところによると曽祖父(二世猿之助)はあまりにたくさん押隈を頼まれるものだから、お弟子さんに代わりにやらせたこともあったらしいんです。でき上がったら、サインだけ本人が入れる。...真偽はわかりませんが、押隈を取るのはけっこう大変ですから、ありえるかもしれません」

――今回の展示作品で特に注目している作品
 「三代目歌川豊国――最初は歌川国貞だった人ですが――の肉筆の作品が出品されていますので、こちらはぜひご覧いただきたいと思います。彼は1万枚の作品を残したといわれますので、世界で一番多作ということになるのかもしれませんが、肉筆はなかなか見るチャンスがない。ほかにも普段は見られない作品が多々ありますので、隅から隅までお見逃しなく、と思います。

※上記の作品は展示替でご覧になれない期間もあります。

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ご招待券プレゼント応募要項
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サントリー美術館で開催中の歌舞伎座新開場記念展「歌舞伎 ―江戸の芝居小屋―」展に、
抽選で25組50名様をご招待します。

■応募締切
応募は締切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。

■当選発表
厳正な抽選のうえ、賞品の発送をもって当選発表と代えさせていただきます。
※ご招待券の発送は3月11日(月)に行います。

2013/03/05