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四国こんぴら歌舞伎 製作発表
第二十三回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の公演が、平成19年4月12日(木)より25日(水)までの14日間行われます。今回は231年ぶりに上方の大名跡を復活した坂田藤十郎をはじめ、豪華な顔ぶれが揃う楽しみな興行です。
旧金毘羅大芝居は天保6年(1835)に建築された現存する日本最古の本格的芝居小屋で、昭和45年(1970)に国の重要文化財の指定を受けています。
「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は昭和60年(1985)6月の初公演以来、毎年開催され、全国の歌舞伎ファンを魅了し続けています。
公演に先立ち、1月27日(土)製作発表が行われ、出演者が意気込みを語りました。
坂田藤十郎―――
こんぴらでのお芝居、色々懐かしい思い出があります。今から五十数年前に、『曽根崎心中』を初演いたしまして、地方公演でこちらの前身の金丸座にうかがいました。大勢のお客様が観てくださり、「あぁ、琴平のお客様はお芝居が好きなんだな」と、金丸座の舞台をしみじみ味わいながら勤めさせていただきました。
今回の公演で一番嬉しく思っておりますのは、上方歌舞伎の若手、私もその一員ですが(笑)、この一座で上方歌舞伎を皆様方に観ていただけることです。皆で一生懸命に芸を競い、がんばらなきゃいけないと、いつも以上に張り切っております。
この金毘羅は、琴平町・町制百周年記念の「近松座公演」にださせていただいて、それ以来17年ぶりです。当時は中村扇雀という名前でございしたが、その年に三代目鴈治郎を襲名いたしました。今回は、上方歌舞伎を作った坂田藤十郎という名前を継いでの、この「こんぴら歌舞伎」。深いご縁を感じております。
歌舞伎というのもは、我が国の大事にしないといけない伝統文化です。どういう所でやるにしても、作品の根本的な深いものを読んで大事にしながらやる、その精神は同じものでございます。金丸座でも、この精神をわすれないで、やりたいと思っております。
中村翫雀―――
14年ぶり4回目、久しぶりの琴平を大変楽しみにしております。金丸座はとてもいい劇場で、雰囲気も大変良く、揚幕から出るだけで役者も興奮するような劇場です。
14年前は息子の壱太郎がまだ小さくて琴平で一緒に過ごしました。レンタカーで一緒にレオマワールドへ行った楽しい思い出もあります。
今回の『傾城反魂香』、以前南座の顔見世で、猿之助さんの代役で勤めさせていただきました。今回は私が本役として勤めさせていただくということで決まった『傾城反魂香』でございます。これを大変嬉しく思っております。
第一部の『正札附根元草摺』では、孝太郎さんと一緒に艶やかに幕開けさせていただきたいと思っております。今から楽しみで、早く琴平に行きたいという思いで一杯でございます。
中村扇雀―――
金丸座は、昨年の勘三郎襲名で十何年ぶりに参りまして、今回で5回目ですが、いつも町ぐるみでお芝居を支えてくださってるのが、本当に印象的です。
お客様のそばでお芝居をするという役者の本来の姿、ここでは原点に戻れるような気がします。まさにお客様の目の前ですから気持ちも良く伝わり、いつも以上の力が出るような気がいたします。
今回の『葛の葉』、金丸座のような劇場で、お客様のすぐそばで、情愛を出すのにとても適した狂言だと思っております。引込みでは宙乗りをしたいと思っていますし、雰囲気を大事にした照明で勤めたいと思っています。父の代表的な演目です。父のやってきたことをなぞり、自分なりの工夫も入れ、一生懸命に勤めたいと思っております。
もうひとつの、『傾城反魂香』の狩野雅楽之助。立役のお役ですので自分でもびっくりしています。私にこの役が回ってきたということは、上方の役者は立役も女方も両方勉強しなさい、ということと思って一生懸命勤めたいと思っています。
片岡孝太郎―――
私は3回目の「こんぴら歌舞伎」になるんですが、皆さんとても暖かく“お帰りなさい”という気持ちで迎えてくださるのでいつも嬉しく思っています。
初めての金毘羅で、『松浦の太鼓』のお縫を勤めたとき、引込みの花道の途中で座るのですが、汗がポトポトと落ちるんです。そうすると花道のすぐ横のお客様が、扇いで下さった(笑)。これには感動しまして、一瞬役を忘れ「ありがとうございます」と挨拶しそうでした。お芝居をしている役者とお客様が一体になって一つの芝居ができる、そんな体験をした、ほんとに楽しい思い出です。
『正札附根元草摺』では、翫雀兄さんとご一緒させていただきます。これは以前、「新春浅草歌舞伎」で勤めさせていただきましたが、ちょうど父が大病で倒れた時でして、うわ言のように、私の舞鶴の事を考えて言ってくれたことがありました。その時は遺言になるかと思ってその言葉を聞きましたが、今回はそれを胸に勤めたいと思っています。
『男女道成寺』では、愛之助さんと2人で一生懸命踊りますので、よろしくお願いします。
片岡愛之助―――
この、「こんぴら歌舞伎」、実は私、第1回目に出させていただいているんです。その頃声変りの時だったので、声が出なかった思い出があります。
今回、『葛の葉』で安倍保名という大役を勤めさせていただきます。父の秀太郎が葛の葉をした時に、徳三郎さんが保名をなさいまして、そのとき祖父の13代目仁左衛門が手取り足取り自分の保名を徳三郎さんに移されたそうです。この保名を、そばで見ていた父が詳しく覚えているのでそれを父に習って、また、扇雀のお兄さんに教えを請い胸をお借りして、がんばって勤めたいと思っています。
『男女道成寺』、これは初役でございます。孝太郎兄さんの胸をお借りして、こちらは力いっぱい踊りたいと思っています。
中村亀鶴―――
私は10年ぶり、3度目の金丸座になります。10年前は伯父・富十郎の元に弟子入りしており、まだ少年だったような気がします。
当時、金丸座を見て、“歌舞伎のテーマパーク”って思ったんです。大好きなディズニーランドに入ったときのような、行くだけでもワクワクするというんでしょうか。古い劇場ですが僕たち若者にとっては、逆に新しくてサプライズがあって、お客様の空気を肌で感じられる“新しい場所”だと思っています。
今回、第一部では、『英執着獅子』をしっかりと、踊りたいと思っております。第二部は『傾城反魂香』、これは大好きなお芝居です。僕は歌舞伎から人生を教わる事が多いのですが、この演目もそのうちの一つです。夫婦愛だけではない人間愛にあふれたお芝居で、とても感動します。もう34歳になりましたが、修理之助というお役をこの歳でやらせてもらえると思うだけで、本当にありがたく、きっちりと勤めたいと思います。
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今年で23回目の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」。昔ながらの芝居小屋金丸座ならではの魅力あふれる「四国こんぴら歌舞伎大芝居」ぜひお楽しみください。