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藤十郎、我當、秀太郎、一力亭を訪問~大阪松竹座・壽初春大歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』
左から片岡秀太郎、坂田藤十郎、片岡我當。七段目祇園一力茶屋の場の「顔世御前からの密書を受け取る由良之助」と「密書を由良之助に渡しに来た力弥」の掛け軸を前に。
赤穂浪士討ち入りの日に当たる12月14日、坂田藤十郎、片岡我當、片岡秀太郎が1月大阪松竹座、壽初春大歌舞伎『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』に登場する祇園・一力亭(京都市東山区)を訪れ、公演への抱負を語りました。
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坂田藤十郎
1月松竹座に出演させていただくことはとても幸先の良いことです。忠臣蔵で4役(大星由良之助、高師直、早野勘平、戸無瀬)を勤めさせていただきありがたい事と思っております。今回は、松嶋屋ご兄弟をはじめ上方歌舞伎の人達での公演、これはなくてはならない公演だと思っております。力いっぱい勤めさせていただきたいと思っております。また一力亭様でこのように忠臣蔵の会見が行える事に、深い縁(えにし)を感じますしありがたく思っています。
片岡我當
上方勢で初春興行ができますこと、上方の役者としてこんなに嬉しい、ありがたいことはございません。私は、今回は四段目の石堂右馬之丞と、十段目の天川屋義平をさせていただきます。十段目は、大変芝居らしい狂言で、「天川屋義平は男でござる」というセリフは、皆さんもご存知ではないでしょうか。上方勢によります初春興行、山城屋さんと一緒に、全力投球したいと思っております。
片岡秀太郎
『仮名手本忠臣蔵』は『義経千本桜』『菅原伝授手習鑑』と並ぶ最高の義太夫狂言ですが、中でも忠臣蔵のおかるは女方の象徴、大切なお役です。それを山城屋さんの勘平・由良之助で勤めさせていただき、役者としてこんなに嬉しいことはございません。10月の名古屋、11月の東京と『仮名手本忠臣蔵』が続いておりますが、上方の演出で衣裳も小道具も違いお芝居もかなり変わります。皆様には上方の忠臣蔵をぜひ楽しんでいただきたいと思っております。
---上方演出の忠臣蔵の魅力
坂田藤十郎
丸本に近い演出で上演されるのが大きな魅力の一つです。そして上方では人間というものを深く表現しています。そこは江戸の様式的なものとは少し違います。物語もスピーディーな展開の中で、一人一人の人物の情熱を深く表現している、それが上方演出の魅力の一つではないでしょうか。
片岡我當
十段目(天川屋義平内の場)は、これまで殆ど東京の俳優の方がやられていて、上方の俳優はあまりやっておりませんでした。ところが、十段目は上方が舞台、堺の商人が主人公のお芝居です。上方の味というものを出した天川屋義平を、ぜひ皆様にご覧いただきたいと思っております。
片岡秀太郎
六段目の勘平の衣裳は上方では写実に普段着のままです。幕切れでは勘平の肩に紋服をかけたりおかるの衣裳をさりげなく見せ、情感・情愛を表現します。七段目では、おかるは胴抜きという衣裳で、団扇ではなくもち紙(懐紙)を使います。そうした衣裳や小道具の違いを楽しんでいただけたらと思います。