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翫雀、亀治郎、獅童 京都・南座「三月花形歌舞伎」への想い
京都・南座では3月5日~27日まで、「三月花形歌舞伎」が上演されます。
昼の部の幕開きは『双蝶々曲輪日記 角力場』、二幕目は祖父坂田藤十郎の当り役・お初に、中村壱太郎が初挑戦し、父中村翫雀と共演する『曽根崎心中』。そして昼の部の締めくくりは中村獅童と尾上松也が勇壮な獅子の精に挑む『連獅子』。夜の部は市川亀治郎が伯父市川猿之助の当り狂言である『通し狂言 加賀見山再岩藤 骨寄せの岩藤』を七役早替りで勤めます。
上演に先立ち、中村翫雀、市川亀治郎、中村獅童が公演への想いを語りました。
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中村翫雀
若い方々と「三月花形歌舞伎」に出演させていただきますこと、大変嬉しく思っています。関西中で話題になるようなお芝居にしたいと思っています。
南座は『曽根崎心中』の徳兵衛を代役で初めて勤めた思い出深い劇場です。その南座で役柄と同じ19歳で息子の壱太郎が初めてお初に挑むというのも、とても縁の深い事だと思います。壱太郎がお初の気持ちにスッと入れるような状況を作ってあげたいと思っていますし、父の藤十郎は、常々相手が変わると新鮮な気持ちになれると申しておりますので、私も新しい発見があるのではないかと楽しみにしています。
「父を相手に恋人役を勤めるのは何ともないですか?」とよく尋ねられますが、実は父よりも兄弟(弟・扇雀)と目を見つめ合って恋人役をするほうが苦手なんです(笑)。もちろん舞台に上がればそんなことは一切ありませんが。稽古場で壱太郎の相手をするとどうなるんだろう・・・と思っています(笑)。
市川亀治郎
南座には5年ぶりの出演になります。昼夜共に大役ですので、しっかり勉強したいと思っています。
『加賀見山再岩藤』は南座で初演(※1)されて以来、上演の度に本を変え、出る場面も違ってきています。今ちょうど、南座ではどの組み合わせが一番面白いものになるか、相談を重ねているところです。南座では昭和53年以来の上演になりますが、初演の頃のように七役早替りで勤めたいと思っています。『双蝶々曲輪日記』は、猿之助主催の「春秋会」で通しで上演をしたことがあります。その時は関西型でしたが、衣裳などの違いがとても面白いものでしたので、今回は京都・南座での上演ということもあるので、改めて関西型を研究して勤めたいと思っています。
今年は1月の新春浅草歌舞伎から続けて猿之助十八番に挑戦しています。伯父の創り上げてきた作品は、お客様を1分1秒飽きさせないような時代に合った工夫をしています。ですから関わっている人は全員が大変(笑)。上演されていない作品も多いので、今後もさらに洗い上げて演じていきたいと思っています。
※1:市川猿之助が七役早替りを考案し、それまでの台本を補綴し、昭和48年に初めて上演した。
中村獅童
南座には昨年『赤い城黒い砂』で出演させていただきましたが、歌舞伎では平成12年10月以来の出演になり、とても嬉しく思っています。
『双蝶々曲輪日記』は今月の博多座では「引窓」、3月の南座では「角力場」と2ヶ月連続になりますが、濡髪長五郎のような役柄は今後自分のものにしていきたいと思っているので、大変嬉しく思っています。『連獅子』では以前仔獅子を勤めた事はありましたが、親獅子は初めてです。松也さんと踊りでご一緒するのをとても楽しみにしています。
1月は新橋演舞場で『伊達の十役』、今月は博多座で『金幣猿島郡』、そして3月は『加賀見山再岩藤』と3ヶ月連続で猿之助十八番に出演することになります。澤瀉屋さんのお芝居は、お年を召した方から小さい子供まで、ワクワクするお芝居ばかりなので、その芝居作りを亀治郎さんが受け継いでいく、それに参加できるというのは非常に嬉しい事です。今の世代の方々に歌舞伎という演劇を広げていくのも我々の仕事ですので、非常に楽しみにしています。