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歌舞伎座「四月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「四月大歌舞伎」初日開幕
 

 

 4月2日(火)、歌舞伎座「四月大歌舞伎」初日の幕が上がりました。

 昼の部、平成最後の大歌舞伎の幕開きを飾る演目は、「平成」の世をたたえる新作歌舞伎『平成代名残絵巻(おさまるみよなごりのえまき)』です。平安時代の源平の世界を題材に、福助が常盤御前で優麗な姿を見せます。児太郎がその子、遮那王を演じる親子共演がみどころのひとつです。遮那王と巳之助勤める知盛が、勢いあふれる立廻りで舞台を盛り上げると、彌十郎演じる平宗清が「治めて御代を 令和の弥栄」と、二人の争いを収めます。新元号を早速とり入れたせりふに、客席もおおいに沸きました。

 

 続いて、『新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)』です。馴染みの深い「野崎村」の場面に加え、今回はその前段にあたる「座摩社」の場面も約40年ぶりに上演されます。「座摩社」では錦之助演じる丁稚久松が、雀右衛門勤める油屋の娘お染と忍び逢おうとする折、商い銀を紛失した罪を着せられて油屋を追われるまでの経緯を喜劇的に描きます。「野崎村」で育ての親久作のもとに帰らされた久松は、かねてより久松に思いを寄せていた、時蔵演じる久作の娘お光と祝言を挙げることとなります。しかし、久松を追ってやってきたお染の覚悟を知って、お光は出家し身を引く決心をします。お光が見守るなか、お染が舟で、久松は駕籠で、両花道を使って大坂に帰っていく、悲しい幕切れとなりました。

 

 その後には、藤十郎の米寿を祝う舞踊『寿栄藤末廣(さかえことほぐふじのすえひろ)』が続きます。女帝を勤める藤十郎に、鴈治郎と壱太郎の親子三代がそろいます。1月の大阪松竹座で上演された演目ですが、今回は猿之助が亀を勤めるなど、演出も新たに、より賑やかな舞台となりました。

 

 昼の部最後の幕は、菊五郎演じる白井権八と吉右衛門演じる幡随院長兵衛という、大顔合わせによる『御存 鈴ヶ森』です。菊五郎の権八は41年ぶり、吉右衛門が歌舞伎座で長兵衛を勤めるのは、平成21年の歌舞伎座さよなら公演以来です。権八による華麗な刀さばきで、雲助たちが斬られていく立廻りは、迫力満点。長兵衛の「お若けえのお待ちなせえやし」をきっかけに、二人の運命的な出会いとなります。

 夜の部の幕開きは、時代物の名作『実盛物語』。仁左衛門が当り役の斎藤実盛を演じます。扇を用いて物語るくだりは、まさに歌舞伎らしさに満ちた場面です。また、重要な役どころである子役の太郎吉を寺嶋眞秀が勤め、その堂々たる演技に客席からは温かい拍手が送られました。

 

 続いて、舞踊劇『黒塚』です。奥州安達原の鬼女伝説にちなんだ物語は、猿之助の家の芸である「猿翁十種」のひとつ。猿之助が老女岩手実は安達原の鬼女を勤め、前半と後半で異なる姿に変化します。初世猿翁がロシアンバレエの技法をとり入れたという、芒の原の踊りでは、美しい月明かりに照らされた舞い姿に、客席が引き込まれました。

 

 最後の演目は、上方の和事味あふれる舞踊劇『二人夕霧』です。『廓文章』「吉田屋」の後日談で、鴈治郎の伊左衛門、魁春の先の夕霧、孝太郎の後の夕霧による、面白みあふれるパロディとなっています。二人の夕霧が痴話喧嘩する場面は見せ場のひとつ。最後にはめでたしめでたしと丸く収まる、気持ちのいい幕切れとなりました。

 
歌舞伎座「四月大歌舞伎」初日開幕

 歌舞伎座の木挽町広場には、桜の枝が飾られ、平成最後の歌舞伎座公演を華やかに彩っています。ご観劇の折にはぜひ、木挽町広場にもお立ち寄りください。

 

  歌舞伎座「四月大歌舞伎」は4月26日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。舞台写真は、舞台写真館(スマートフォンはこちら)でお楽しみください。

2019/04/04