ニュース

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日に向けて

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」初日に向けて

 

 8月9日(金)に開幕する「八月納涼歌舞伎」で、出演の中村扇雀、坂東彌十郎、松本幸四郎、市川猿之助、中村七之助、市川中車が公演に向けての思いを語りました。

 今年も涼やかな浴衣姿で登場した出演者たち。「今年も8月の納涼歌舞伎がやってきた」とうれしそうに話すのは扇雀です。「1年のなかでも、毎月いろんな景色が歌舞伎座にはありますが、納涼歌舞伎ではどんどん若い子が育ってきているので、私も若かった頃を思い出して、皆に負けないように。納涼歌舞伎は古典もあり新作もあります。納涼を楽しみに来てくださるお客様が本当に楽しんでくれる内容になっていますので、また今年も納涼歌舞伎を観に来てよかったなという、いい舞台を皆でつくり上げたいと思っています」と意気込みました。

 

 平成2(1990)年に初めて歌舞伎座で納涼歌舞伎が行われたときを振り返り、彌十郎は、「(納涼歌舞伎が)始まる前に、勘三郎さんに楽屋で夜中にお会いして、納涼歌舞伎の話を聞いたことがあったんです。その時に、ああいいなあと思って。その数年後から出させていただくようになって、本当にいろんな勉強をさせていただける納涼歌舞伎を、毎年楽しみにしているうちに、こうして並んでいるなかで、何故か私が一番年上になってしまいました。まだまだ挑戦して、勉強していくつもりでしがみついておりますので、よろしくお願いします」と笑顔を見せました。

 

 平成28(2016)年から上演され、今年で4作目の上演を迎える第二部『東海道中膝栗毛』。出演する幸四郎は、「今回は、第二部を全部使って上演します。お祭り騒ぎになればいいなと思います。同じ歌舞伎座でも、8月の歌舞伎座は出演しているほうも(他の月とは)違って感じるので、そういった納涼らしさを皆さんに味わっていただきたい」。今年も『東海道中膝栗毛』に出演する息子染五郎へは「舞台に立つことが一番勉強になるので、本当にありがたいこと。何日も舞台に出ることができますので、そこで一つひとつ、積み重ねて、どんどん歌舞伎の力になっていってもらいたい」と、期待を寄せました。

 

 「うち(澤瀉屋)はだいたい7月に出演していて、8月は出ることがなかったので、未だにあまり馴れない」と明かすのは、『東海道中膝栗毛』が初めて上演された4年前に、初めて歌舞伎座の「八月納涼歌舞伎」に出演した猿之助。今年の『東海道中膝栗毛』では、猿之助は喜多八のほかに、黒船風珍を演じます。全貌は開幕するまでのお楽しみですが、前回のラストで天に召された弥次さん、喜多さんが今年はいったいどんな珍道中を繰り広げるのか、期待がふくらみます。「外にいたら熱くて、熱中症になってしまうので、ぜひ涼しい劇場へ見に来てください」と呼びかけました。

 

 今回、第一部『伽羅先代萩』で政岡を初役で勤める七之助は、「亡き三津五郎のおじ様と、父(十八世勘三郎)が立ち上げ、私も夏休みなので出していただいてたくさんの思い出が詰まっている」と話します。甥の勘太郎、長三郎との舞台での稽古を終え、「自分のことでいっぱいいっぱいなのですが、御簾が開いたときに二人の顔が見え、父のことを思い出して、久しぶりにぐっときました。二人揃っての舞台に一緒に立つというのは初舞台以来、しかも1時間弱三人だけなので、そのなかで芝居をしているということが、どこか嬉しくもあり、父がいたらどう思っていただろう」と、思いを馳せました。

 

 今年は第二部と第三部に出演する中車。第二部は、「染五郎さんともども、息子(團子)が1年ぶりに二人でそろって出させていただきますので、子どもたちがどれくらい大きくなったかを、皆さんに確認していただくいい機会になると思います」。第三部『新版 雪之丞変化』は、「大和屋のお兄様が非常に新しい試みに挑戦されており、演出も含めて本当に見たことがない舞台になってきています」と言います。そのなかで5役を勤めることについては、「大変です。ぼくの限界を超えているので…なんとか頑張ります」と、気合を入れました。

 

 第一部、第二部、第三部と、納涼歌舞伎らしいさまざまな演目が並ぶ今年の「八月納涼歌舞伎」。いよいよ、9日(金)に幕が開きます。 

 歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」は8月9日(金)から27日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

※「澤瀉屋」の「瀉」のつくりは、正しくは“わかんむり”です。

 

2019/08/07