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歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」初日開幕

 

 11月1日(金)、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 歌舞伎座の正面玄関に恒例の櫓が上がり、顔見世の始まりを知らせます。

 

 昼の部、最初の演目は『研辰の討たれ』。舌先三寸で世を渡る、幸四郎演じる守山辰次は、研ぎ師から侍にとり立てられたばかりにも関わらず、逆恨みした家老を騙し討ちにして追われる身となります。何がなんでも生き延びようと、必死で逃げ回る辰次の姿はどこか愛嬌があり、客席からは笑いが巻き起こりました。

 

 続くは舞踊『関三奴』です。お囃子が聞こえる江戸の日本橋を舞台に、芝翫と松緑の二人の奴が毛槍を持って勢いよく登場します。豪快な槍踊りや、女性の仕草をまねた滑稽な振りを次々と見せ、足拍子のリズムは小気味よく、軽快な踊りが目を引きます。お酒を飲んで酔態になったら、今度はゆっくりと手踊りを披露。最後に大きく毛槍を振ると、盛大な拍手が二人に送られました。

 

 昼の部の切は、『梅雨小袖昔八丈 髪結新三』。8年ぶりに菊五郎が小粋な悪党の新三を演じます。髪結の手さばきを見せながら、時蔵演じる忠七に駆け落ちをそそのかす場面は、江戸の生活感も垣間見えるみどころのひとつ。菊五郎の孫、丑之助が丁稚長松として登場すると、「音羽屋!」とあたたかい声がかかりました。左團次演じる長兵衛との面白おかしいやりとりの後、團蔵演じる源七と迫力ある立廻りを見せ、幕となりました。

 夜の部の幕開きは、初代中村莟玉披露狂言『鬼一法眼三略巻』から「菊畑」。梅丸から名を改める莟玉が演じるのは、奴虎蔵実は源牛若丸。師である梅玉が演じる奴智恵内実は吉岡鬼三太とともに、源氏再興のため秘蔵の兵法書を探し求めます。梅玉と、魁春、鴈治郎、芝翫も加わって劇中口上も行われ、莟玉が挨拶すると客席からは「莟玉!」「高砂屋!」と声がかけられました。最後は梅玉、魁春と並んで大きく見得をする莟玉。新たな門出を寿ぐひと幕となりました。

 

 続く二幕目は幸四郎と染五郎による『連獅子』です。昨年、南座での襲名披露公演ぶりに、初めて歌舞伎座で披露されます。幕が開くと、松羽目の舞台に、幸四郎演じる狂言師右近と、染五郎演じる左近がそろって登場。赤と白の手獅子をそれぞれ手に持ち、愛情ゆえに親獅子が仔獅子を谷に突き落とす様子を踊ります。間狂言の後、親子の獅子の精が再び現れ、紅白の毛を振って踊る様子は息ぴったり。迫力満点な舞踊に、拍手が鳴りやまないひと幕となりました。

 

 「吉例顔見世大歌舞伎」最後を飾るのは、『市松小僧の女』。時蔵演じる男勝りなお千代と、鴈治郎演じるすりの又吉が出会って恋に落ちます。剣術修業するお千代が、恋を知ることで外見や振舞いに変化が現れ…。池波正太郎の作・演出で一度だけ上演され、優れた新作歌舞伎に贈られる大谷竹次郎賞を受賞した作品が、42年のときを経て歌舞伎座で復活します。あたたかくかつコミカルに、江戸に生きる人々を描いた作品に、劇場の雰囲気も引き込まれました。

  

歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」初日開幕 

 歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」は25日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

 

2019/11/05