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藤十郎が公演への思いを語りました~京都南座 十月大歌舞伎『墨染念仏聖 法然上人譚』
10月2日(日)初日を迎える京都・南座「十月大歌舞伎」。本年は法然上人の八百年大遠忌にあたり、ゆかりの地である京都において、大遠忌を記念して創作された新作歌舞伎『墨染念仏聖 法然上人譚(すみぞめのねんぶつひじり ほうねんしょうにんものがたり)』を上演致します。また、中村橋之助による歌舞伎十八番『矢の根』、中村翫雀、中村壱太郎親子による『連獅子』もご高覧頂きます。公演に先立ち、『墨染念仏聖』で法然上人を勤める坂田藤十郎、構成・振付を担当する花柳壽輔が舞台への思いを語りました。
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坂田藤十郎 (『墨染念仏聖』法然上人役)
法然上人というお役を頂戴し、ありがたさ、大きな責任、そして、八百年大遠忌という時に巡り合えた幸せを感じています。今は、この公演をご覧になった皆様に「ああ良かった、これから幸せになろう」と、いつまでも思っていただけるような舞台になるように立派に勤めたい・・・私にとりましても人生で忘れることの出来ない一ヶ月間になると思っています。
私は法然上人の教えを理念として作られた洛東の東山高校に通っておりました。また、昨年からは「法然上人をたたえる会」の会長にも就任させていただいております。このように有難い仏縁をいただいているからは、それをしっかりと体で受け止め、全身全霊を込めてお役に立たせていただきたいと思っています。
法然上人からは、まるで宇宙のように大きな幸せが満ちあふれている・・・自分もそうした気持ちに少しでも近づき、その思いを大勢の方々に届けることができればと願っています。そのために、私の心をよく分かって下さっている花柳先生がご協力してくさる事は本当に有難いことです。
花柳壽輔 (『墨染念仏聖』構成・振付)
様々な舞台装置、照明の新しい手法、私なりの考え、この作品が私のしてきた様々なことの集大成となるように全てを注ぎ込み、感動的な舞台を創り上げたいと思っています。
シンプルな舞台の上に、ギリシャ劇などで昔からよく使われていたコロスという、歌舞伎でいう黒衣や後見のような役を大勢登場させます。このコロス・・・劇中では墨染めの衣を着た僧侶という事になりますが、彼らが舞台上の柱を移動させながら大道具の役割を兼ねたり、また廻り舞台やセリといった南座の舞台機構を充分に使い、さらには浪布など大きな布も使って舞踊的な動きを創りたいと思っております。音楽は和楽器、三味線音楽が主体になりますが、効果音としてシンセサイザーも使って迫力のある音楽にしたいと思っています。