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歌昇、種太郎、秀乃介が語る、「秀山祭九月大歌舞伎」

歌昇、種太郎、秀乃介が語る「秀山祭九月大歌舞伎」

 

 2022年9月4日(日)から始まる歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」に出演の中村歌昇、中村種太郎、中村秀乃介が、公演について語りました。

 初世中村吉右衛門の功績を顕彰し、生誕120年にあたる平成18(2006)年から始まった「秀山祭」。今年3年ぶりに開催される「秀山祭」は、二世中村吉右衛門の一周忌追善興行として、故人を偲び、所縁の演目を上演します。

 

歌昇、種太郎、秀乃介が語る「秀山祭九月大歌舞伎」

 

それぞれの初舞台

 第一部では『菅原伝授手習鑑』「寺子屋」が上演され、歌昇の長男種太郎と次男秀乃介が初舞台を踏みます。「秀山祭、そして何より吉右衛門のおじ様の一周忌追善公演で、長男と次男がそれぞれ初舞台をさせていただけることは、本当にありがたいことだと思っております」と、歌昇は思いを噛み締めました。種太郎は寺子屋を営む武部源蔵夫婦の主人菅丞相の息子で、寺子屋に匿われている菅秀才を、秀乃介は、松王丸の息子小太郎を勤めます。

 

 令和元(2019)年の「秀山祭九月大歌舞伎」で初お目見得をし、今回初舞台に臨む種太郎。種太郎は、曽祖父の二世中村歌昇も、父歌昇も名のっていた、播磨屋で代々受け継がれてきた名前です。「生前から吉右衛門のおじ様が私の父に、長男の初舞台で種太郎という名前を継いだらどうだ、とずっとお話してくださっていました。そこまで考えてくださっていたことに、本当に感謝しかないです」と、歌昇は神妙な面持ちで語ります。種太郎も、今回名のる名について尋ねられると、「かっこいいと思っています」と、誇らしげな様子です。

 

 

歌昇、種太郎、秀乃介が語る「秀山祭九月大歌舞伎」

 

 次男の秀乃介は、今回の公演が初舞台でありながらも、初お目見得になります。歌昇は、「僕自身が、播磨屋というものに対する気持ちがとても強いので、播磨屋のおば様に色々ご相談をさせていただくなかで、秀山祭の秀の字を頂戴して使わせていただくことになりました」と、秀乃介の名前の由来を明かします。「天真爛漫で、お調子者で、ひょうきん。お兄ちゃんのことが大好き」という歌昇の言葉の通り、秀乃介は会見でも伸びやかな笑顔を見せ、兄種太郎の答えを精一杯なぞるように話す微笑ましい場面もありました。

 

 そんな二人の姿を見て歌昇は、「この仕事をさせていただくにあたって、(自分も)兄弟がいて良かったなと思うことが多々あるので、彼らがこの道に進むと決めたときに、手を携えて、困ったときには一緒に悩み、笑えるときは一緒にたくさん笑い、楽しみながらやっていってほしいと思います」と、思いを語りました。「25日間舞台に出続けるのは本当に大変なことなので、第一部は二人のサポートに徹しようと思います。常に彼らが喜ぶものを懐に携えて、頑張って、と送り出してあげたい」と、身振りを交え笑顔で話し、父としての顔をのぞかせました。

 

歌昇、種太郎、秀乃介が語る「秀山祭九月大歌舞伎」

 

播磨屋という屋号を背負って 

 第二部では、歌昇は二世吉右衛門の当り役の名場面をつなぐ『揚羽蝶繍姿(あげはちょうつづれのおもかげ)』にて、白井権八と源義経を勤めます。「お相手なんておこがましくて言えないですが、そういう役者にならなくてはいけないと思っています。おじ様の生きている間に(お相手が勤められるような役者に)ならなくてはならなかったなと、おじ様が亡くなられてから思ってきましたし、これからもずっと思うでしょう」と、真摯な眼差しで述べました。

 

 二世吉右衛門からは、「舞台で輝くことを考えなさいということはずっと言われていました。また、肚(はら)で芝居をしなさい、そこからにじみ出るものが、顔の表情や表現につながるようにしなさいということも、僕が歌昇を襲名する前から、亡くなる前までずっと言われてました」と言う歌昇。「おじ様は命をかけて臨まれるお役もたくさんありました。そういった姿勢、自分のありとあらゆるものを犠牲にしてでも全てを舞台に出すというところは、ずっと背中を見て学んできたつもりですので、一生忘れないようにしていきたいと思っています」と、熱を込めて話します。

 

 「播磨屋という屋号を背負っている以上は、播磨屋の芸を残すことに、残った播磨屋一同、総力を挙げていかなければならないと思っています。子どもたちにもいつか、初代中村吉右衛門、二代目中村吉右衛門という偉大な方々と同じ屋号だということを誇りに思ってもらえるように、私たちが頑張らないといけない。播磨屋という屋号が残れば残るほど、おじ様たちの名が残ると思うので、自分の一生をかけて、残していきたいです」と、力強く語りました。

 歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」は、9月4日(日)~27日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

歌昇、種太郎、秀乃介が語る「秀山祭九月大歌舞伎」

 

2022/08/25