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超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで再び上演

超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで上演

 『御伽草紙戀姿絵』左より、小川陽喜、中村蝶紫、中村獅童

 2023年4月29日(土・祝)、30日(日)、幕張メッセで行われた「ニコニコ超会議2023」で超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵(おとぎぞうしこいのすがたえ)』が上演されました。

大向うも解禁

 コロナ禍による規制も緩和され、たくさんの人で賑わった今年の「ニコニコ超会議2023」。「超歌舞伎 Powered by NTT」の会場へも、多くのお客様が詰めかけました。今年の上演作は、令和3(2021)年に感染拡大防止対策のなかで初演された『御伽草紙戀姿絵』。今回はマスク越しの声出しも解禁され、技術や映像、そして演出もいっそうパワーアップした舞台になるとあって、場内はもちろんニコニコ生放送の画面内も、開幕前から期待に満ちた空気に包まれます。

 

超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで上演

 『御伽草紙戀姿絵』左より、初音ミク、中村獅童

超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで上演

 『御伽草紙戀姿絵』左より、中村獅童、獅童ツイン

 

 冒頭の『口上』で、獅童と初音ミクが登場すると、場内からは轟くように「萬屋!」「初音屋!」と、3年ぶりの思いを込めた大向うが巻き起こり、赤や緑のペンライトが瞬きました。その様子に「これが超歌舞伎!」と、獅童も大感激の面持ち。そこへNTTが研究開発を進める最新技術「Another Me®」によりデジタル空間上に再現された「獅童ツイン」が現れ、幕張での初お目見得を果たしました。獅童本人と「獅童ツイン」が対話する新たな奇跡の光景を前に、今後の技術発展への期待も込め、「電話屋!」と大声援が送られました。

 

超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで上演

 『御伽草紙戀姿絵』左より、中村獅童、中村蝶紫、中村獅一、澤村國矢

スケールアップした『御伽草紙戀姿絵』

 『御伽草紙戀姿絵』は、歌舞伎でおなじみの、平将門の遺児を描く演目群や、源頼光と忠臣たちが登場する土蜘伝説を題材とした作品。獅童が源朝臣頼光と袴垂保輔の2役、ミクが傾城七綾太夫実は将門息女七綾姫、蝶紫が山姥茨木婆、國矢が平井保昌を勤めるほか、小川陽喜の坂田怪童丸金時、獅一の奴萬平らが新しく加わり、物語を盛り上げます。

 

超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで上演

 『御伽草紙戀姿絵』小川陽喜

 全編を通して再構成された立廻り、歌舞伎味あふれるだんまりや殺し場、頼光と保輔の早替り、美しさに磨きがかかった七綾太夫の見事な拍子舞、モドリを見せる保輔と兄・保昌の悲しい別れ…と、次々にみどころが続く展開に、観客も配信画面越しのニコニコユーザーも、思い思いにペンライトやかけ声、コメントで参加します。今回新たに設けられた、金時と女郎蜘蛛の妖怪が対峙する場面では、場内がペンライトで赤く染まり、「萬屋!」「ジュニ屋!」という大向うや、ユーザーのコメントが寄せられました。

 

超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで上演

 『御伽草紙戀姿絵』上:中村蝶紫/下:澤村國矢

超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで上演

 『御伽草紙戀姿絵』左より、中村獅童、初音ミク

 

 バーチャルシンガーの鏡音リンと鏡音レンによる大薩摩が観客を沸かせ、舞台はいよいよ大詰めへ。鮮やかな紅葉のなか、七綾太夫とNTTの超高臨場感通信技術「Kirari!」の「リアルタイム被写体抽出技術(分身の術)」を使う茨木婆、そして頼光と保昌、金時たちの決戦が始まります。赤い瞳と隈取り姿の強大な七綾太夫の化生を前にした頼光。会場の白いペンライトの光、画面上に流れるコメントの力を味方に、テーマソングの「ロミオとシンデレラ」が流れるなか、七綾太夫の亡魂を三千世界の女神へと転生させるのでした。

超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで上演

 『御伽草紙戀姿絵』左より、初音ミク、澤村國矢

幕張初のリミテッド・バージョン

  30日には、幕張メッセでは初となる、リミテッド・バージョンが上演されました。こちらは本公演と配役を変え、國矢が頼光と保輔の2役を、獅一が保昌を、そして獅童が金時を勤めます。「紀伊国屋!」の大向うとコメント、ペンライトの青い光に迎えられ、口上に登場した國矢。これまでを振り返りながら國矢が口にする熱い思いと感謝の言葉に、いつまでも拍手が続きました。

 

超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで上演

 『御伽草紙戀姿絵』左より、中村獅一、初音ミク、澤村國矢

 一度きりのリミテッド・バージョンならではの熱量と勢いをもって、舞台は進んでいきます。元は恋仲だった二人が戦う哀しさをにじませながら、相対する頼光と七綾太夫。苦戦する頼光は、「数多の人の言の葉と、白き炎(ほむら)を」と呼びかけ、集まったエネルギーを助太刀に、とうとう決着をつけます。カーテンコールでは、獅童も見守るなか、國矢が「これが超歌舞伎のリミテッドだ!」と思いをほとばしらせ、それに応える力強い拍手とかけ声、コメントがあふれるなかで幕となりました。

超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』、幕張メッセで上演

 『御伽草紙戀姿絵』中村獅童

いよいよ歌舞伎座へ

 今回の公演では、客席から俳優が登場する演出が久しぶりに復活。カーテンコールで2階スタンド席から登場した獅童を、ホールを埋める色とりどりのペンライトと歓声が迎え、会場が一体となって波打つような盛り上がりを見せました。

 

 初回上演直後のインタビューで、久々に客席からの声援が復活した今回の幕張メッセ公演について、「これぞ超歌舞伎という感じがして、とてもうれしかったです」と、感慨深げな表情を見せた獅童。「(超歌舞伎は)2016年に始まり今年で8年目を迎えます。超歌舞伎を観続けてくださっているファンの皆様がここまで導いてくださいました」と、改めて感謝の思いを伝えました。12月には歌舞伎座で上演されることが決まった超歌舞伎に、ますます期待が高まります。

 

 

ニコニコ超歌舞伎2023 超歌舞伎『御伽草紙戀姿絵』タイムシフト視聴はこちらから

※ニコニコのプレミアム会員に登録していただくと、各日の公演の様子を翌月同日の23:59まで視聴可能です

 

 

「超歌舞伎」オフィシャルサイト

「ニコニコ超会議2023」オフィシャルサイト

2023/05/19