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歌六が語る、歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」
2024年9月1日(日)から始まる歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」に出演する中村歌六が、公演に向けての思いを語りました。
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秀山祭への思い
秀山祭は、初世中村吉右衛門の俳名を冠し、その功績を顕彰し、芸と精神を継承していくことを目的に上演されてきました。「今年も秀山祭ができることをありがたく思います」と、歌六は喜びを明かします。長年にわたり秀山祭に情熱を傾けてきた二世吉右衛門との思い出を聞かれると、「お兄さんは、秀山祭にひとかたならぬ思いをもっていたと思います。一番の思い出は、(三世)歌六の百回忌についてお兄さんに相談したところ、『それは秀山祭でやらないと』とお話いただき、令和元(2019)年の秀山祭で追善公演ができたことです。本当にお兄さんのおかげで、感謝してもしきれません」と、熱く感謝の気持ちを述べました。
「私は年齢が上というだけでして、皆で力を合わせて播磨屋を支えていかなければいけないと思います。これから先も力を寄せ合い、秀山祭が続いていくことを願います」と、これからの秀山祭、そして播磨屋を支えていく心境を真摯に語りました。
二度目の挑戦
歌六が『摂州合邦辻』の合邦道心を演じるのは2回目。「(四世市川)段四郎さんから、“八代目(市川)中車のおじは、初代播磨屋さん(初世吉右衛門)の合邦が好きで、メモを取りながらよく見ていたから、忠実に覚えているはず”という話を聞いたことがありました。中車のおじ様の演技が秀山様(初世吉右衛門)に一番近いのではないかと思い、その記録映像を見ながら勉強しつつ、ほかの先輩方の合邦も拝見しながら、自分なりに組み立てていきました」と、当時の役づくりを思い出します。
「合邦はとても情がある人で、娘のことは可愛いと思っているのですが、彼女の言っていることがどうしても許せず…。間違いを諭してもどうにもならずに、最終的には自ら手にかけてしまう役柄です」と、丁寧に役を分析します。演じるうえで、「前回は、畳み込むように話しながら詰める場面がなかなかうまくできなくて、もう一度やりたいと思っていました。2回目ですので少し落ち着いてできるのではないかと思います。勢いよく話しても、心理やその場の状況がきちんと伝わるように演じたい」と、新たに目標を掲げました。
多面性のある楽しい役
一方、『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』では、怪しげな老人・丹翁を勤めます。「演じていて楽しいお役でしたのでとても楽しみです。劇中劇があったりと、面白いお芝居です」と、にこやかに話します。「丹翁は、フラフラとなんとなく生きているように見えるのですが、実はものすごく筋の通った部分もあり、多面性のある役です。適当に受け答えをしているか思うと、急にぐっと声の調子を下げ、しっかりした一面を見せたりも。声の音域を幅広く使ってつくっていく役なので、役づくりが楽しいです」と、創作過程への期待も込めました。
最後にお客様へ向けて、「古典の名作である『摂州合邦辻』と、魅力的な新作『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』と、全く違ったジャンルの芝居を2本お楽しみいただけます。どちらも面白いと思いますので、ぜひお越しいただけますとうれしいです」と、穏やかな笑顔で締めくくりました。
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歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」は、9月1日(日)から25日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。