歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



助け合いの精神。今の日本に一番必要なこと

  さて、このページでは公演の話題から離れてプライベートなことをうかがいます。
本連載のタイトルでもありますが、これまでで、ご自分でも「拍手したい!」と思ったこととか、「決まった!」と思った瞬間のことを教えてください。

 一番気持ち良かったのは、ダーツで32残して16のダブルで勝った時です。今流行っているソフトダーツではなく、本当の羽で刺す方です。一時凝っていましてね。あのころ(坂東)彌十郎さんとチームを作ってやっていました。
 「ダブルスタート」「ダブルフィニッシュ」と言って、501か301から入れた分だけ点を引いていく。32残すのが理想です。32残すと16のダブルに入れれば、ゼロで勝てる。例えシングルに入っても残りは16。そうすると8のダブルを狙う。8に入ると残りが8。そうすると4のダブルを狙う。4に入ってしまったら、今度は2のダブルを狙う。
 仮に38残すと19のダブルを取れずに、19を残すともう1回奇数に入れて偶数に戻さないといけない。1回に3本投げられるから、32残しておけば、一発で終わることもある。32残して16のダブルにすぽんと入った時の気持ちよさってないですね。


 今でもダーツをなさるんですか?

 いまだに"マイダーツ"を持っています。自分にちょうどいい重さと形がある。僕は22グラムでした。ダーツバーに行って、「勝ったほうが一杯おごる」ことにして友人と飲みながらやる。最後には酔っぱらっていたりして…。そのころはけっこう狙い通りに行きました。テレビドラマ『うぬぼれ刑事(デカ)』(TBS系で平成22年7月~9月に放送)の中でも1回やりました。「僕は若いころはダーツに凝っていてね」って台詞があった。脚本の宮藤官九郎さんが誰かから聞かれたのでしょうか。

 ご本業ではいかがですか?

 芝居や踊りで決まったと思うことはない。そう思ったらだめだ、と私は思っているんです。


※1:ハードダーツはやじり部分が金属製で、ソフトダーツはプラスチック製。ソフトダーツは自動計算機能をもち、手軽さが人気となっている。
501ゲーム(ファイヴ・オウ・ワン・ゲーム)はハードダーツの公式大会で行われ、他にも301点、ソフトダーツでは最も一般的な701点など、下二桁以外を自由に設定しゲームが行われている。各プレーヤーは3投ずつダーツを投げ、ヒットさせたダーツポイントが最初の持ち点より引かれてゆき、最初にちょうど0点になったプレーヤーの勝利となる。
ダーツの"的"であるボードは円を20等分してあり、外周にそのエリアにおける得点が表記されている。このエリアを横切る形で帯状の同心円が2つあり、内側のものをトリプルリング、外側のものをダブルリングという。この帯状のエリアに関しては得点がトリプルリング内で3倍、ダブルリング内で2倍となる。

坂東三津五郎

昭和31年1月23日生まれ。九代目坂東三津五郎の長男。32年3月明治座『傀儡師(かいらいし)』の唐子(からこ)で初お目見得。37年9月歌舞伎座『黎明(れいめい)鞍馬山』の牛若丸で五代目坂東八十助を襲名し初舞台。平成13年1・2月歌舞伎座『喜撰』の喜撰法師、『寿曽我対面』の曽我五郎ほかで十代目坂東三津五郎を襲名。
BS朝日で放送中の『日本の城・ミステリー紀行』では案内役を務め、各地の城を紹介。昨年11月には三月書房より「三津五郎 城めぐり」も発売。今年6月には天王洲銀河劇場を皮切りに、北九州芸術劇場 中劇場、兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで上演される『グレンギャリー・グレン・ロス』に出演する。