歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



現在を切り開いた『選択』と前向きさ

柳家花緑(やなぎや かろく)
1971年8月2日生まれ。東京都出身。中学卒業後、祖父である故・5代目柳家小さんに入門し、戦後最年少の22歳で真打昇進し、注目を集める。現在、2003年3月に落語界の活性化を目的として結成された「六人の会」(春風亭小朝、笑福亭鶴瓶、林家正蔵、春風亭昇太、立川志の輔) のメンバー。

Information

6/12より開演!
柳家花緑さん出演の舞台「宝塚ボーイズ」。
詳細はこちら
柳家花緑公式ホームページ

 

 カメラを前にして、身だしなみを念入りに整える。ネクタイを結び直しながら「今日のネクタイはね…」と、そのエピソードを語り出した。とにかく良く通る声と、緊張感が走る場でも笑いを生む洗練された話術に、思わず高座にいるような感覚を覚えた。

 現在、花緑さんは6月公演の舞台の稽古中。本業の落語はもちろん、テレビ番組のナビゲーターなど、各メディアで活躍中だ。さぞ忙殺されていることかと思いきや、「僕にとっては全ていい意味で『遊び』ですね。全力で真剣にチャレンジできることは自分にとって『最上級の遊び』。そういう意味では落語も遊び。『仕事です』って言うと、お客さんだってシラケちゃうでしょ?」と満面の笑顔で返す。仕事の緊張やストレスはほとんどなく、いつもあるのは『最上級の遊び』への期待感。だから失敗しても落ち込まない。

 「以前はよ?く悩みました!でも、ネガティブもポジティブも、自分で『選択』できる、ということが、最近実践を通して解ってきた。今の自分はその場を思いっきり楽しむことを『選択』しているんです。だからこれから先のことも、あんまり決めない。人との縁で繋がっていきたい。そのために、目の前の人との縁を大切にしていきたい」

 巷では「落語の新ブーム」を作ったと言われる柳家花緑。大活躍の理由は、失敗を恐れない『選択』とその前向きな姿勢にあるのかもしれない。