歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



「芸は人なり」。攻めの姿勢で挑む「伝統」

 様々な紆余曲折を経てきた落語家・柳家花緑にとって、芸とは何かを聞いてみた。

 「祖父の小さんも良く言っていけど、『芸は人なり』、人間がまず大事。芸の前に、まず人間を磨くこと。今までの名人と言われる人は全て、人柄も良いんですよ。芸だけではなく、『人間として生きる名人』になることが理想的」。

 また、代々続く柳家一門に身を置く花緑さんの考える『伝統を守る』こととは、「攻める」ことだ。

 「決して保守的にならず、攻めることが大事。新しいか古いかで判断せず、いいか悪いかで判断する。伝統だからと安心してはいけない」。

 伝統に対して攻めの姿勢で居ることによって、常に色々なものを新鮮に感じることができるという。
 人間を磨くこと。そして攻めの姿勢で伝統芸能である落語に挑むこと。常にチャレンジャーでいる彼のスタンスが、聴衆を引きつけて止まない、人気落語家、柳家花緑の揺るぎない魅力なのだ。

取材・文 山本理愛 写真 水沢竜一