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【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。
現代では「お稽古」として認知されている茶道。形式的な作法や流派の違いなどが気になって、敷居が高いと感じてしまう人も多いだろう。しかし、お茶の真髄を表現した「一期一会」という言葉からも汲み取れるように、その場を誠心誠意楽しむことが、脈々と続いてきたお茶のあり方だ。
「もともと茶事というのは、気持ちの通い合う少人数で行うもの。閉鎖的な世界ですが、プロと素人の差がそれほどないのも事実。志さえあれば、誰でも入れる世界なのです」。
昨今、お茶がブームになりつつある。しかし、「守るべき文化」としてお茶をとらえることによって、逆にお茶が生活から遠いものになってしまう、という危惧もある。だからこそ目指すのは、形にとらわれず、茶人として魅力ある趣向や作為を追求することだ。
「今、職業としてお茶に携わる人を<お茶の先生>と呼びますが、本来は<お茶の先生>である前に<茶人>でなくてはならないと思います。単なる点前作法の教授ではなく、茶人として見識を広め、自分の美意識を高めて、内面を磨くことが大切。そうでなくては作意や趣向で楽しませることはできません」。
千宗屋さんがプロデュースした立礼卓。 シンプルでモダンな白木のテーブルは、椅子に座ってのお手前でちょうど使いやすい高さにするなど、千さんのこだわりが反映されている。
千さんは生まれたときからお茶の世界に囲まれていたが、ご両親は「二十歳になるまでお茶はやらせない」という教育方針。お茶の世界への強制は一切なかった。子供の頃は、茶道に興味がなく、仏像が大好きだった。そこから美術への関心が高まり、お茶そのものよりもまずは「茶道具」に興味を持ち始めた。平成2年(1990年)、利休が亡くなって四百年の行事で、様々なお茶の道具に触れた。「茶道具」を通して、茶の湯へ明確な意識を持ち始めた。
「『茶道具』という具体的なものから興味を持ち始めましたが、素地は自分の中にあったと思います。環境のなせる技でもありますが、義務ではなく、自分が好きだからお茶の道を選びました。
ただ、子供の頃からお茶に凝り固まらず、興味のアンテナを伸ばしてきたからこそ、様々な経験が積め、それを僕の個性として茶事に生かすことができる。茶席にいる人それぞれが、自分自身の経験を生かして思い思いに楽しむことが大事だと思います」
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