歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



 
『紅葉狩』より 更科姫実は戸隠山の鬼女(平成20年8月 歌舞伎座) 撮影:松竹株式会社
八月花形歌舞伎
公演詳細
演目と配役
みどころ
 
関西・歌舞伎を愛する会 結成三十周年記念 七月大歌舞伎
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次々に続く新しい挑戦

 10月から大阪で2カ月間、「大阪平成中村座」の公演が始まります。10月は『紅葉狩』で戸隠山の鬼女を、『弁天娘女男白浪』の南郷力丸を演じられます。『紅葉狩』は歌舞伎座でもおやりになりました。

 「平成中村座」の空間には合う演目ではないでしょうか。『道成寺』となるとむずかしいかもしれませんが…。前にさせていただいたときは気合が入り過ぎて、姫と鬼女の踊り分けをはっきりさせすぎたかもしれません。今回は平惟茂と杯をやりとりするくだりのむずかしいところなど踊り始める前に、雰囲気をうまく出したいと思っています。何しろそこまでが長いので、足も痛くなってしまうんですよ(笑)。とにかく「鬼」ではなく「鬼女」であることを忘れずに勤めたいと思っています。

 南郷力丸は初役となります。とても楽しみです。弁天小僧役は弟の七之助さんですね。

 実の弟に芝居の中でも「兄貴」と呼ばれる(笑)。この二人のお役では、これまで父と三津五郎のおじさん(坂東三津五郎さん)が演じられたときの舞台が心に残っています。息が合っていて、「ああ、この二人はずっと一緒に過ごし、悪さもしてきたのだ」ということがよくわかるような芝居でしたね。まだ僕と七之助でそこまで表現するのはむずかしいかもしれませんが、目標は高く置いておきたいと思っています。

 来年1月には脚本家の三谷幸喜さんの新作『ろくでなし啄木』に出演されます。内容は決まっているのですか?

 決まっていません。藤原竜也さん、吹石一恵さんと共演することは決まっているのですが。でも、前回三谷さんのお芝居に出させていただいたときも全体が固まったのは1週間前でしたから大丈夫です。同年代の素敵な役者さんたちと共演できるので、とても楽しみです。藤原さんとは先日も朝6時までお酒を飲んでいました。ちょうど彼が井上ひさしさんの『黙阿弥オペラ』に出演するときだったので、黙阿弥のせりふ回しを教えたんですよ。「月も朧に白魚の〜」というイントネーションを何度も直したりして。最近は歌舞伎の世界でさえイントネーションがあいまいになっています。父は言葉を大事にしますので、僕も随分厳しく教わりました。それを今度は藤原さんにお伝えしたわけです(笑)。

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