
【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。
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町ぐるみで盛り上がる「平成中村座」久しぶりに大阪での「平成中村座」となります。ほかの劇場でやるのと、どこが違うのでしょうか。 「平成中村座」は大劇場とは大きさが違って客席と舞台が近いということもありますが、自然の中でやるという点が特別ですね。おととしの『仮名手本忠臣蔵』のときは、ちょうど「喧嘩場」(「足利館松の間刃傷の場」)の場面で大雨になったことがありました。ものすごい雨音で、全然声が聞こえなったんです。空を飛んでいるヘリコプターの音が聞こえたこともありました。ニューヨークで『夏祭浪花鑑』をやったのはちょうど夏だったのですが、冷房音が気になってはいけないと勘三郎の義兄(あに)が楽屋の冷房を止めさせたんです。みんな汗まみれでやった思い出があります(笑)。 浅草での「平成中村座」は終演時間を早めているので、街歩きや食事を楽しめるというおまけもつきました。 僕の出番が終わって外に出ると夕暮れ時で、ちょうど「平成中村座」から漏れる芝居の音が聞こえてきて、それがまたよかったですね。町と一体になることが「平成中村座」のねらいでもあります。座元である勘三郎の義兄は常々「お客様がたくさん入ることだけではなく、町が活性化することが大事」といっています。実は次男の宗生は相撲好きで日馬富士関の大ファンでもあることから、伊勢ヶ浜親方のパーティにお邪魔したことがあるんです。その席でお会いした浅草の女将さんたちから「浅草で平成中村座をやってくださいよ。いつもよりお客様が増えるのよ」と言われた時は嬉しかったですね。 今回は大阪城のそばに「平成中村座」を建てるとうかがっています。舞台の後ろの部分をオープンにすると、大阪城が見えるそうですね。 以前名古屋で「平成中村座」の公演をやったときは、そばに名古屋城が見えたんです。それが素敵でしてね。今回は大阪城をバックにできるということで、とても楽しみにしています。大阪の方は豊臣秀吉びいき。新作の『太閣桜」は秀吉が主人公ですので、楽しんでいただけるように工夫をしたいと思っています。 もともと僕は大阪が大好きなんです。振り出しは中座でしたが、のちに大阪松竹座という立派な劇場ができ、次に「平成中村座」と、さまざまな舞台でお目にかかることができました。大阪では一時お客様がなかなか入らない時期があったそうですが、実はとても歌舞伎の楽しみ方をご存じのお客様が多いのです。今度も、ぜひ一緒に舞台を盛り上げていただければと思っています。 |
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MADE IN NIPPON! 第11回 市川染五郎
意欲的に幅広い活躍を見せる市川染五郎さんに、新橋演舞場3月の『源氏物語 浮舟』と、4月の四国こんぴら歌舞伎大芝居『鯉つかみ』を中心に抱負をおうかがいしました。
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MADE IN NIPPON! 第10回 市川亀治郎
歌舞伎の伝統を受け継ぎながら、現代性を果敢に注ぎ続ける亀治郎さんに、「二月花形歌舞伎」(ル テアトル銀座)の抱負を語っていただきました。
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MADE IN NIPPON! 第9回 片岡愛之助
生まれ育った関西発祥の上方歌舞伎、豪快な江戸歌舞伎の役柄を演じ分け、1月2日から始まる「新春浅草歌舞伎」で初役ばかり3役を演じる愛之助さんに、役に取り組む心構えや片岡家(松嶋屋)に伝わる「日本の心」についてうかがいました。
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MADE IN NIPPON! 第8回 尾上菊之助
清潔な美貌と澄んだ声、確かな演技力で人気を集める尾上菊之助さん。この12月には日生劇場の「松竹大歌伎」で、通し狂言『摂州合邦辻』の玉手御前という大役を演じます。公演を間近に控えて、心構えをうかがいました。
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MADE IN NIPPON! 第7回 尾上松緑
11月は坂東三津五郎さんと全国巡業「松竹大歌舞伎秋季公演」で『泥棒と若殿』『身替座禅』に、また、12月の日生劇場「十二月大歌舞伎」では『摂州合邦辻』『達陀』にご出演の尾上松緑さんが登場。
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MADE IN NIPPON! 第6回 中村橋之助
錦絵から立ち現れたような風貌と長身のすっきりした姿で、人気の二枚目として大活躍の中村橋之助さん。9月の巡業を経て、いよいよ10月、11月は「大阪平成中村座」に挑みます。「大阪が大好き」と語る橋之助さんに、心構えなどをうかがいました。
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MADE IN NIPPON! 第5回 中村勘太郎
9月は恒例の『中村勘太郎 中村七之助 錦秋特別公演』、そして10月、11月は大阪平成中村座にご出演。多彩な役柄を演じながらますます活躍の場を広げる勘太郎さんの心意気をうかがいました。
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MADE IN NIPPON! 第4回 市川海老蔵
結婚という人生の大きな節目を迎えた海老蔵さんが登場。東京と京都で行われる訪欧凱旋公演への意気込みをうかがいました。
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MADE IN NIPPON! 第3回 片岡孝太郎
大阪松竹座 関西・歌舞伎を愛する会結成30周年記念 七月大歌舞伎で大役の『妹背山婦女庭訓』のお三輪をはじめ、4役を勤める孝太郎にご登場いただきました。
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MADE IN NIPPON! 第2回 中村勘三郎
今度のコクーン歌舞伎は胸を打つ感動のドラマ『佐倉義民傳』。あっと驚く新しい演出や企みがさまざまに仕組まれているようです。いったいどんな舞台になるのでしょうか。
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MADE IN NIPPON! 第1回 市川染五郎
21世紀に生き、歌舞伎の「芸」と「心」を受け継いでゆく俳優たちへのインタビューを通して、「日本の心」を呼び覚ます「歌舞伎の魅力」に迫る新連載です。