歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



 
左:『仮名手本忠臣蔵』七段目 大星由良之助(平成中村座 浅草・浅草寺境内。平成20年10月)
右:『法界坊』 道具屋甚三郎 (同。平成20年11月) 撮影:2点とも松竹株式会社
 
 
『夏祭浪花鑑』の劇中に、舞台後ろから外に走り出す中村勘三郎さんと橋之助さん。公園にいる一般の方から声をかけられることもしばしばだった。(平成中村座 扇町公園 平成14年10月) 撮影:2点とも松竹株式会社
関西・歌舞伎を愛する会 結成三十周年記念 七月大歌舞伎
公演詳細
演目と配役
みどころ
 

町ぐるみで盛り上がる「平成中村座」

 久しぶりに大阪での「平成中村座」となります。ほかの劇場でやるのと、どこが違うのでしょうか。

 「平成中村座」は大劇場とは大きさが違って客席と舞台が近いということもありますが、自然の中でやるという点が特別ですね。おととしの『仮名手本忠臣蔵』のときは、ちょうど「喧嘩場」(「足利館松の間刃傷の場」)の場面で大雨になったことがありました。ものすごい雨音で、全然声が聞こえなったんです。空を飛んでいるヘリコプターの音が聞こえたこともありました。ニューヨークで『夏祭浪花鑑』をやったのはちょうど夏だったのですが、冷房音が気になってはいけないと勘三郎の義兄(あに)が楽屋の冷房を止めさせたんです。みんな汗まみれでやった思い出があります(笑)。

 浅草での「平成中村座」は終演時間を早めているので、街歩きや食事を楽しめるというおまけもつきました。

 僕の出番が終わって外に出ると夕暮れ時で、ちょうど「平成中村座」から漏れる芝居の音が聞こえてきて、それがまたよかったですね。町と一体になることが「平成中村座」のねらいでもあります。座元である勘三郎の義兄は常々「お客様がたくさん入ることだけではなく、町が活性化することが大事」といっています。実は次男の宗生は相撲好きで日馬富士関の大ファンでもあることから、伊勢ヶ浜親方のパーティにお邪魔したことがあるんです。その席でお会いした浅草の女将さんたちから「浅草で平成中村座をやってくださいよ。いつもよりお客様が増えるのよ」と言われた時は嬉しかったですね。

 今回は大阪城のそばに「平成中村座」を建てるとうかがっています。舞台の後ろの部分をオープンにすると、大阪城が見えるそうですね。

 以前名古屋で「平成中村座」の公演をやったときは、そばに名古屋城が見えたんです。それが素敵でしてね。今回は大阪城をバックにできるということで、とても楽しみにしています。大阪の方は豊臣秀吉びいき。新作の『太閣桜」は秀吉が主人公ですので、楽しんでいただけるように工夫をしたいと思っています。

 もともと僕は大阪が大好きなんです。振り出しは中座でしたが、のちに大阪松竹座という立派な劇場ができ、次に「平成中村座」と、さまざまな舞台でお目にかかることができました。大阪では一時お客様がなかなか入らない時期があったそうですが、実はとても歌舞伎の楽しみ方をご存じのお客様が多いのです。今度も、ぜひ一緒に舞台を盛り上げていただければと思っています。

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