歌舞伎いろは

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『達陀』の群舞(平成21年7月 「第四回 勘右衛門の会」国立大劇場) 撮影:前野宏幸(協力:藤間流事務所)
 
『達陀』集慶(平成21年7月 「第四回 勘右衛門の会」国立大劇場) 撮影:前野宏幸(協力:藤間流事務所)
 
二世尾上松緑の『達陀』集慶 撮影:松竹株式会社
関西・歌舞伎を愛する会 結成三十周年記念 七月大歌舞伎
公演詳細
演目と配役
みどころ
 

祖父から父、父から自分へと受け継ぐ『達陀』

 12月の「十二月大歌舞伎」に登場する『達陀』はおじい様の二代目松緑さんが創作された舞踊です。おじい様は東大寺二月堂の「お水取り(修二会)」に取材され、修行する僧たちのさまざまな修法を踊りにした素晴らしい演目に仕上げられました。迫力ある群舞は、菊五郎劇団の踊りの力と団結力を示すものでもあります。

 昨年は、藤間流の会で流派の人間だけで『達陀』を上演することができました。これまでは菊五郎のお兄さん(尾上菊五郎さん)が中心となって上演なさっていましたが、今回の上演を自分のこれからの『達陀』を作るよい機会にしたいと思っています。また時蔵兄さん(中村時蔵さん)が「青衣の女人」(しょうえのにょにん)」として出てくださることもありがたいです。
 今回は日生劇場ですので歌舞伎座ほどの広さはありません。前回の歌舞伎座では大人数だったものをコンパクトにして、以前祖父が上演した時と同じ人数でやってみたいと思っています。藤間流の会では意思の統一がしやすく、同じ方向性にまとめやすかったのですが、今回は歌舞伎の役者さんたちとの共演です。何かあった時に同じ方向へ軌道修正することも芯を勤める僕の役割と思っています。とはいえ、わかりやすく迫力のある踊りですので、お客様には楽しんでいただきたいですね。

 今回勤められる集慶(じゅうけい)の役は、おじい様は演じられましたがお父様はなさっていません。

 そうですね。祖父や父に『達陀』を教えてもらうことはできませんでした。しかし僕はこれまで練行衆(修行僧)か堂童子の役で、菊五郎のお兄さんが演じられる集慶をずっとそばで拝見し勉強させていただきましたので、すべてとは言えないまでもある程度は理解しているつもりです。12月の最後の舞台がこの『達陀』となります。もしかすると、『達陀』が1年で最後にご覧になる舞台というお客様がいらっしゃるかもしれません。よい気分でお帰りになっていただけるよう、気を引き締めて勤めさせていただきます。

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