歌舞伎いろは

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『源氏物語 浮舟』 薫大将 撮影:松竹株式会社
三月大歌舞伎
公演詳細
演目と配役
みどころ
 
 

祖父も演じた優雅な殿上人・薫大将を勤めます

 新橋演舞場の「三月大歌舞伎」では『源氏物語 浮舟』の薫大将に挑戦されます。光源氏の妻、女三の宮と柏木との不義の息子として生まれ、恋愛に対してはちょっと「堅物」というお役。前回、歌舞伎座での平成15年3月の上演では、浮舟を坂東玉三郎さん、匂宮を中村勘三郎さん(当時は勘九郎)、薫大将を片岡仁左衛門さんが演じられています。

 その時は、匂宮の供の時方をさせていただきました。先輩方が演じていらっしゃる姿を拝見しながらも、いずれ自分が薫大将をさせていただくことになるとはまったく予想もしていませんでしたね。王朝を舞台としたお芝居で、せりふも殿上人たちのものですから、自分としては気恥ずかしくなって照れてしまいそう(笑)。今回は齋藤雅文さんが演出してくださいますので、ご指導いただきたいと思います。

 王朝の若い貴族の姿はよくお似合いと思いますが? 浮舟を演じられる尾上菊之助さんとの美しいカップルも楽しみです。

 いやーとてもとても。でも、僕が気恥ずかしいと思うような言葉を当たり前に使っている世界の人を演じるわけですから、なりきって演じないといけません。祖父(初世松本白鸚)も初演の際に演じたお役、心して勤めます。

 今回は、匂宮を演じられる叔父様の中村吉右衛門さんとの共演です。吉右衛門さんにはさまざまな役のご指導をいただくこともおありとうかがっていますが、今回はどうなるのでしょう。

 こういう芝居は古典歌舞伎のような、いわゆる“真似をして”演じるものとは違いますので、自分なりに考えてふくらませたものをきっちりと演じ、叔父に相対したいと思っています。以前真山青果の『将軍江戸を去る』で徳川慶喜と山岡鉄太郎で共演させていただいた際にも、叔父から「このような芝居ではもっと自分を出していい。それをぶつけてくるように」と言われましたので、今回もそのつもりで準備します。

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