
【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。

――第1部では松也さんは『一條大蔵譚』の鬼次郎をなさいます。こちらも、『忠臣蔵』勘平と同じく初役です。鬼次郎は源氏方の忠臣で、大蔵卿の妻となった常盤御前の真意を探ろうと館に入り込んでいます。
この芝居では以前に、女房のお京を浅草歌舞伎でさせていただきました(平成21年1月)。今回、(中村)梅玉のお兄さんにご指導を受け、いろいろお話をうかがいました。
――梅玉さんはどんなことをおっしゃいましたか。
役としてのイメージ、鬼次郎の立ち位置をきちっと考えなさいとお教えくださいました。源氏の忠実な家臣なので、気持ちをしっかりと理解し、見得もスマートにしなければなりません。
あとは心理、旧主の義朝の妻であった常盤御前に対する思いです。「怒っているのではないんだ」とお兄さんはおっしゃいました。「大蔵卿に嫁ぎ、源氏のことなど念頭にないように揚弓に興じる常盤御前の現在を見て、鬼次郎は悲しんでいる。ただ怒っているだけではだめなんだ」とうかがっています。
――中村児太郎さんが『忠臣蔵』「六段目」ではおかる、『一條大蔵譚』ではお京と、両方の演目で相手役をなさいますね。
児太郎君との夫婦役は初めてです。小さい頃から知っていた子が僕の女房になるとは…。おじさんみたいな発言ですが、時の立つのは早いです。児太郎君は子どもらしい子どもでした。本当に元気がよくて、いつも走り回っていました。
やんちゃな面は今も残っていますが、頼もしいのは芸事への向き合い方です。真面目に一所懸命に取り組み、先輩から吸収しようとする姿勢がすごくよく見えます。みるみる女方らしくなってきましたし。私はほとんどの女方を(中村)福助のお兄さんにご指導いただきました。お世話になった先輩の息子さんが自分の女房というのは感慨深いし、楽しみです。
――第1部の序幕の『娘七種』では曽我五郎を踊られます。
五郎ですので豪快に、賑やかに幕開けを飾れたらと思います。
――そして、第2部では『俄獅子』の鳶頭です。
こちらは一日の最後の演目です。悲劇の『忠臣蔵』「五段目・六段目」の後になりますから、『猩々』と『俄獅子』でお祭りムード、お正月ムードを感じていただき、お客様に、ああ楽しかったと帰ってもらえるように勤めたいですね。
これまでは先輩たちがたくさんいらしたので、胸を借りるつもりでやっていましたが、今回は一番年上で引っ張っていかなければという責任もあります。これまで浅草歌舞伎に出演し、僕らにバトンをつないできてくれた先輩方に恥じないように勤めなければと思います。
恒例の「年始ご挨拶」も、今までと違う演出ができたらと考えております。初日が開くまでにもできるだけのことをし、盛り上げて初日を迎えたいなと思っております。

お年玉<年始ご挨拶>出演日
5日(月) 12日(月・祝) 15日(木) 20日(火) 24日(土) 25日(日)
出演演目
『春調娘七草』曽我五郎/『一條大蔵譚』吉岡鬼次郎/『仮名手本忠臣蔵』早野勘平/『俄獅子』鳶頭
二代目 尾上松也
(おのえ まつや)
生まれ | 昭和60年1月30日、東京都生まれ。 |
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家族 | 六代目尾上松助の長男。 |
初舞台 | 平成2年5月歌舞伎座『伽羅先代萩』足利鶴千代で二代目尾上松也を名のり初舞台。 |

お年玉<年始ご挨拶>出演日
2日(金) 3日(土) 4日(日) 6日(火) 7日(水) 8日(木) 9日(金) 10日(土) 11日(日) 13日(火) 14日(水) 16日(金) 17日(土) 18日(日) 19日(月) 21日(水) 22日(木) 23日(金) 24日(土) 26日(月)
出演演目
『独楽売』独楽売萬造/『猩々』猩々
初代 中村種之助
(なかむら たねのすけ)
生まれ | 平成5年2月22日、東京都生まれ。 |
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家族 | 三代目中村又五郎の二男。四代目中村歌昇は兄、五代目中村米吉はいとこにあたる。 |
初舞台 | 平成11年2月歌舞伎座『盛綱陣屋』盛綱一子小三郎盛清で初代中村種之助を名のり初舞台。 |

お年玉<年始ご挨拶>出演日
5日(月) 8日(木) 15日(木) 18日(日) 22日(木) 24日(土)
出演演目
『春調娘七草』曽我十郎/『仮名手本忠臣蔵』千崎弥五郎/『猩々』酒売り
初代 中村隼人
(なかむら はやと)
生まれ | 平成5年11月30日、東京都生まれ。 |
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家族 | 二代目中村錦之助の長男。 |
初舞台 | 平成14年2月歌舞伎座『寺子屋』松王丸一子小太郎で初代中村隼人を名のり初舞台。 |
※青字は第1部、赤字は第2部
ようこそ浅草へ
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ようこそ浅草へ「新春浅草歌舞伎」、三年目の挑戦 後篇
若手の登竜門といわれる「新春浅草歌舞伎」は、芝居に対する“熱”はどこの劇場にも負けないと、毎年、新鮮な舞台を見せています。でも、それだけではありません。中心となる出演俳優が一気に世代交代して3年目の今回は「ステップアップした私たちをご覧いただけるように」と、それぞれが強い気持ちで挑みます。後篇も公開!
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ようこそ浅草へ「新春浅草歌舞伎」、三年目の挑戦 前篇
若手の登竜門といわれる「新春浅草歌舞伎」は、芝居に対する“熱”はどこの劇場にも負けないと、毎年、新鮮な舞台を見せています。でも、それだけではありません。中心となる出演俳優が一気に世代交代して3年目の今回は「ステップアップした私たちをご覧いただけるように」と、それぞれが強い気持ちで挑みます。
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ようこそ浅草へ――後編
自分たちが新しい浅草歌舞伎の幕を開ける! 熱意を舞台にぶつけ、一人でも多くのお客様に楽しんでいただきたいと奮闘する三人が、演じる役のことを語る後編です。