歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



ようこそ浅草へ「新春浅草歌舞伎」、三年目の挑戦 前篇

  • 尾上松也
  • 坂東巳之助
  • 中村壱太郎
  • 中村隼人

松也 巳之助 壱太郎 隼人の「新春浅草歌舞伎」のあゆみ

  • 『傾城反魂香』土佐将監閑居の場

    浮世又平後に土佐又平光起 巳之助
    又平女房おとく 壱太郎
    狩野雅楽之助 隼 人

    義経千本桜『吉野山』

    佐藤忠信実は源九郎狐 松 也
    早見藤太 巳之助
    静御前 壱太郎

    双蝶々曲輪日記『角力場』

    放駒長吉 松 也
    山崎屋与五郎 隼 人

    『御存 鈴ヶ森』

    白井権八 隼 人

    『棒しばり』

    次郎冠者 松 也
    曽根松兵衛 隼 人
    太郎冠者 巳之助
    新春浅草歌舞伎 2017(平成29)年
  • 『三人吉三巴白浪』

    お嬢吉三 隼 人
    お坊吉三 巳之助

    『土佐絵』

    不破伴左衛門 巳之助

    『与話情浮名横櫛』

    切られ与三郎 松 也

    歌舞伎十八番の内『毛抜』

    粂寺弾正 巳之助
    秦民部 隼 人

    『義経千本桜』川連法眼館の場

    佐藤忠信/忠信実は源九郎狐 松 也
    源義経 隼 人
    亀井六郎 巳之助
    新春浅草歌舞伎 2016(平成28)年
  • 『春調娘七種』

    曽我五郎 松 也
    曽我十郎 隼 人

    『一條大蔵譚』奥殿

    吉岡鬼次郎 松 也

    『独楽売』

    独楽売千吉 巳之助

    『仮名手本忠臣蔵』「五段目・六段目」

    早野勘平 松 也
    千崎弥五郎 隼 人
    斧定九郎 巳之助

    『猩々』

    酒売り 隼 人

    『俄獅子』

    鳶頭 松 也
    鳶頭 巳之助
    新春浅草歌舞伎 2015(平成27)年
  • 『義賢最期』

    九郎助娘小万 壱太郎

    『上州土産百両首』

    牙次郎 巳之助

    『新口村』

    傾城梅川 壱太郎

    『屋敷娘』

    お春 壱太郎

    『石橋』

    獅子の精 隼 人
    新春浅草歌舞伎 2014(平成26)年
  • 『寿曽我対面』

    曽我五郎 松 也
    曽我十郎 壱太郎
    八幡三郎 隼 人

    『極付 幡随長兵衛』

    出尻清兵衛 松 也
    極楽十三 壱太郎
    小仏小平 隼 人

    『毛谷村』

    お園 壱太郎

    歌舞伎十八番の内『勧進帳』

    亀井六郎 松 也
    片岡八郎 壱太郎
    新春浅草歌舞伎 2013(平成25)年
  • 『南総里見八犬伝』

    犬村大角 巳之助
    蟇六娘浜路 壱太郎
    犬江親兵衛 隼 人

    夕霧 伊左衛門『廓文章』

    扇屋夕霧 壱太郎

    通し狂言『敵討天下茶屋聚』

    早瀬源次郎 巳之助
    源次郎許嫁葉末 壱太郎
    新春浅草歌舞伎 2012(平成24)年
  • 『一條大蔵譚』曲舞・奥殿

    女房お京 松 也

    新古演劇十種の内『土蜘』

    源頼光 松 也

    『一本刀土俵入』

    船印彫師辰三郎 松 也

    『京鹿子娘道成寺』

    所化 松 也
    新春浅草歌舞伎 2009(平成21)年
  • 『傾城反魂香』

    土佐修理之助 巳之助

    『弁天娘女男白浪』

    倅宗之助 巳之助
    新春浅草歌舞伎 2008(平成20)年

チラシ画像にマウスを乗せると、演目や配役がご覧になれます。

『吉野山』は起承転結がうまくできている

 ――来年は第1部、第2部で5演目の「新春浅草歌舞伎」。順を追ってお話をうかがいます。第1部幕開きの『傾城反魂香』は、巳之助さんにとって浅草の原点だとおっしゃいました。

巳之助:初めての「新春浅草歌舞伎」出演が平成20(2008)年でした。その最初の演目が『傾城反魂香』で、修理之助をさせていただきました。自分にとっての浅草の原点であることはもちろん、それまでほとんど芝居に出ていませんでしたので、歌舞伎俳優としての第一歩がこの芝居だったと思っています。又平は勘九郎さんに教わります。

壱太郎:おとくは以前から憧れのお役の一つでしたが、父が昨年、大阪の襲名披露公演で又平を演じたとき、それまでとは違う感銘を受けました。修理之助として近くで拝見していたこともあったのかもしれませんが、猿之助のお兄さんが演じられるおとくの愛情深さに、芝居の中に飲み込まれていくようでした。それに少しでも近づけたらと、猿之助のお兄さんにお習いします。

隼 人:僕は雅楽之助を勤めさせていただきます。修理之助は2度、させていただいたことがありますが、雅楽之助は初めて。染五郎のお兄さんに教えていただきます。

 ――『吉野山』は、松也さんの佐藤忠信実は源九郎狐、壱太郎さんの静御前。そして早見藤太は巳之助さんです。松也さんは前回の浅草で『四の切』の狐忠信をなさっています。

松 也:今回も菊五郎のお兄様に見ていただきます。物語のところが僕は好きなのですが、初心者の方には馴染みにくさもあるかもしれません。ただ、身体の表現が語りとマッチしていれば、おのずと楽しんでいただけるものになると信じています。とにかくかっこいい。僕はそこが一番好きなのですが、役をきちんととらえて、たどりつければと思います。

壱太郎:静御前は永楽館でさせていただいたことがあります(平成22年11月)。印象深いのは南座で『義経千本桜』の通しがあった際(同年9月)、玉三郎のおじ様が「吉野山」と「四の切」の静御前をなさって、僕は「鳥居前」と「蔵王堂」の静御前だったのですが、玉三郎のおじ様が衣裳の着方など、さまざま教えてくださったんです。当時は掛けを着るような役はほとんど経験がありませんでしたから、女方の基本の細かな部分を教えていただいたと印象深く覚えています。

松 也:静御前は実は女武者なんですよね。そこをついつい忘れがちになるのだけれど、四天にそう言われてああ、そうだったと。

壱太郎:そうなんですよ。でも『吉野山』では見せづらい部分で…。

松 也:長刀持って登場しますか(笑)?

壱太郎:それはダメです(笑)

巳之助:それように四天、用意してもらったら、どうですか(笑)。藤太は、忠信と静御前がそれまでつくり上げてきた空気感をパッと変えて幕を閉める役だと思っています。第1部の終わりでもありますし、お客様に、明るい気分で浅草の街に出ていっていただけるようにしたいですね。

壱太郎:今、お話を聞いていたら『吉野山』はとても起承転結がはっきりしている踊りだとわかった気がします。静御前の登場で“起”こし、鼓で忠信が出て来て、その忠信の物語で“転”じ、立廻りで終わる。

松 也:本当だ、やっぱりよくできていますよ。

ようこそ浅草へ

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