
【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。

――巳之助さんは第1部では、『独楽売』の千吉を勤められます。岡鬼太郎作で、大正12(1923)年の初演では七世三津五郎が振付けて、千吉を踊られた。本興行では昭和30(1955)年8月の大阪歌舞伎座以来ですね。
平成17(2005)年9月に流儀の発表会である「坂東会」で父(三津五郎)が千吉、私が萬造を踊りました。踊らせていただくのはそれ以来です。曲は残っていましたが、七代目三津五郎の振りが残っていなかったので、前回は父と(坂東)三津弥先生が一からつくり直しました。ですから限りなく新作に近い。父が振付けてからは、初めての本興行です。
――前回の思い出をお聞かせください。
今思うに、前回はまだ、作品の何かに触れるような気持ちでは勤めておりませんでした。そのとき、独楽の廻っているような道具や差し金をつくりましたので、それらをうまく使って見せられればと思います。物売りの踊りで、中身自体がお正月のものです。明るく華やかにしたい。七代目三津五郎以来の家の物を、本興行でできるのはありがたいことです。
これを機会に皆様の目に留まり、踊りをなさっている方が踊りたいと思うような、メジャーな作品になったらうれしいです。興行で踊られる曲の種類は少ない気がしますが、面白い踊りはまだまだたくさんありますので、皆さんに知っていただけたらいいなあと思います。
――ずばり、『独楽売』の魅力はどこにあるとお考えですか。
何も考えないで楽しめることです。見て楽しく、お正月らしい踊りでもありますし、全体を通しての作品の雰囲気を味わっていただけたらと思います。父も「踊りは考えるのではなく感じながら見てもらいたい」とよく言っております。ですから、頭をからっぽにして見ていただければなと思います。
しかし、それには危なげのない、確かな踊りを踊らないとお客様も作品の世界に入っていただくことはできません。そこは我々の努力次第です。
――今度の「新春浅草歌舞伎」は世代交代と言われていますが、巳之助さんご自身はどんな思いをお持ちですか。
真面目に楽しくやろうということです。大役をいただくと、若いうちはどうしても自分のことで手一杯になったり、頑張ることに集中してしまったりしがちです。「頑張っていましたね」とご覧になった方におっしゃっていただくのはうれしいのですが、そこで満足していていいわけではない。父に「頑張っていましたね」とおっしゃる方はいないでしょう?
頑張るところに甘んじていてはいけない。興行でやらせていただくのは勉強会や稽古とは違います。頑張るのは当たり前です。お客様に楽しんでいただくためには、自分が楽しんでいないといけない…。ですので、楽しむ気持ちを忘れないようにしたいと思います。
――では、最後に浅草の思い出をお教えください。
毎年、年越しには父と浅草寺で鐘をついています。蕎麦をいただいて鐘をついて家に帰ります。浅草はお世話になっている場所です。そして、お正月の浅草はなんといっても楽しく賑やか、そういう印象が強いですね。

お年玉<年始ご挨拶>出演日
2日(金) 3日(土) 4日(日) 6日(火) 7日(水) 8日(木) 9日(金) 10日(土) 11日(日) 13日(火) 14日(水) 16日(金) 17日(土) 18日(日) 19日(月) 20日(火) 21日(水) 23日(金) 24日(土) 26日(月)
出演演目
『独楽売』独楽売千吉/仮名手本忠臣蔵』斧定九郎/『俄獅子』鳶頭
二代目 坂東巳之助
(ばんどう みのすけ)
生まれ | 平成元年9月16日生まれ。 |
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家族 | 父は十代目坂東三津五郎、姉は女優の守田菜生。 |
初舞台 | 平成3年9月歌舞伎座『傀儡子』唐子で本名で初お目見得。7年11月歌舞伎座『蘭平物狂』一子繁蔵、『壽靱猿(ことぶきうつぼざる)』小猿で二代目坂東巳之助を名のり初舞台。 |
※青字は第1部、赤字は第2部
チケットホン松竹 | 0570-000-489/ 03-6745-0333(10:00?18:00) |
チケットぴあ | 0570-02-9999(Pコード:440-086) |
ローソンチケット | 0570-084-003(Lコード:32270) |
CNプレイガイド | 0570-08-9999 |
浅草公会堂、歌舞伎座、新橋演舞場、サンシャイン劇場、京都四條南座、大阪松竹座の劇場窓口、各種プレイガイドにて販売
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ようこそ浅草へ
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ようこそ浅草へ「新春浅草歌舞伎」、三年目の挑戦 後篇
若手の登竜門といわれる「新春浅草歌舞伎」は、芝居に対する“熱”はどこの劇場にも負けないと、毎年、新鮮な舞台を見せています。でも、それだけではありません。中心となる出演俳優が一気に世代交代して3年目の今回は「ステップアップした私たちをご覧いただけるように」と、それぞれが強い気持ちで挑みます。後篇も公開!
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ようこそ浅草へ「新春浅草歌舞伎」、三年目の挑戦 前篇
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ようこそ浅草へ――後編
自分たちが新しい浅草歌舞伎の幕を開ける! 熱意を舞台にぶつけ、一人でも多くのお客様に楽しんでいただきたいと奮闘する三人が、演じる役のことを語る後編です。