歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



愛用の逸品:蔵書がつまった三連の本棚

日本戯曲全集

黙阿弥 関連

万葉集 関連

 本はどうしても増えてしまいますね。この書斎以外にも、玄関脇の戸棚にも本を入れていますし、この家以外にも2箇所に本棚を置いています。本棚は3連のスライド式ですが、一般家庭に置くには3連くらいが重量的には限界のようですね。
 この書斎には頻繁に手に取る本ばかりを置いていますが、やはり台本類が一番多いでしょうね。『日本戯曲全集』は全冊、机の近くに並べています。雑誌『演芸画報』もいい本ですから、一冊ずつ買い集めました。それから、私は北條秀司先生の弟子でもありますから、北條先生の本も揃っています。
 万葉集関連の本も少しあります。万葉学者の犬養孝先生に私淑していて、大学時代、先生が『萬葉の風土』(塙書房 1956)という本を出される時には、お手伝いもさせていただきました。あとは能狂言や文楽関係の本。狂言が好きで、京都に通っていた時期もありました。善竹弥五郎(ぜんちくやごろう・1883‐1965)さんの『月見座頭』はよかったですね。

 松竹の社報に「三津五郎さんの代役」というタイトルで書いたことがあるのですが、実は私の本棚は、蔵書家として有名だった八代目坂東三津五郎さんの本棚の代役として、雑誌の広告ページに登場したことがあるんですよ。ある雑誌のグラビアで三津五郎さんの書棚が紹介されたのですが、その広告ページにスポンサーの商品である薬瓶を置いて撮影することになったのです。そのとき撮影を担当したのが大阪の会社だったたこともあり、東京に足を運ばずに撮影できる、大阪で演劇の本が揃った書棚を探していたようなんです。うちには演劇関係の本が少しはありますよと、協力を申し出たというわけです。この代役は、私のささやかな自慢でもあります。

ちょっと昔の歌舞伎 モノからひもとく想い出あれこれ

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