歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



気持ちよく舞台に出てほしい

 今回取材にご協力いただいた松本勇さん(31歳)は、入社8年目。最初に担当したのは、市川猿之助さんのスーパー歌舞伎。そして2年前から、尾上菊五郎さんの担当を務める。

 「衣裳の世界に進もうと思ったきっかけは、2歳から日舞を習っていたからなんです」

 幼い頃から親しんできた舞台衣裳。〈それに携わる仕事がしたい!〉と、大学の教育学部を卒業後、松竹衣裳㈱に入社を決めた。入社後3ヶ月間は、帯の基本である、「はこ結び」と「角だし」、そして裃の引きなどを毎朝研修。

 「自分の着付けはできても、他人に着付けた経験なんてまったくない。ドキドキでしたが、一番最初の着付けがスーパー歌舞伎の女官役で、帯がマジックテープだったんですよ(笑)」

 担当俳優の公演中は、毎日、楽屋の衣裳部屋に詰め、昼夜出演であれば朝?夜の部終了までが勤務時間となる。空き時間には社に戻って、翌月の準備。体力も求められるハードな仕事だ。

 「大変とは思いません。役者さんに気持ちよく舞台に出てほしい。ただ、それだけなんです」

取材協力 松竹衣裳(株)、歌舞伎座
取材・文 寺田薫、写真 竹田正道、構成 児玉結(編集部)


(写真上)松本勇さん。 俳優が脱いだ衣裳は、劇場の衣裳部屋に持ち帰って、アイロンをかける。衣裳部屋にはアイロンのほか、繕いに使用する針や糸のセット(写真下)も。