歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



女方の化粧は、白・黒・赤

此本武司さん。三善の創業者であり日本のメークアップ界の草分けである中居善四郎氏に師事。さまざまな化粧品の研究開発を行いながら、多分野にわたる化粧とその文化的背景を研究している。

 「日本化粧」という言葉をご存じでしょうか。洋服に対して和服、洋髪に対して日本髪という言葉があるように、化粧にも欧米のメークアップに対して日本人が古い時代から守り伝えてきた日本化粧という言葉があるそうです。残念ながら現代の日常では、その化粧文化はかなりマイナーな存在となってしまいました。しかし、歌舞伎のなかには生き生きとした形で受け継がれています。

 そこで今回は、歌舞伎の舞台で使われている白粉(おしろい)や口紅などの化粧品を製造・販売している株式会社三善(みつよし)をおたずねしました。三善にはメークアップの研究所もあり、一般の方やプロの舞踊家、ダンサーなどを対象としたメークアップ講座が開かれています。その所長である此本武司さんに、歌舞伎の化粧の特徴について教えていただきました。

 「ご存じのように歌舞伎では、俳優さんがご自身の手で化粧をなさっています。歌舞伎の化粧は役柄によって決まり事も多いのですが、一人一人のお顔立ちが異なりますから、それぞれにずいぶん工夫をなさっているようですよ。化粧をしながら演じる役柄に入っていくとも言われ、役作りの上で化粧は特に重要なプロセスになっているようです。

 女方の化粧で使う色は、基本的に白(白粉)、黒(眉、アイライン)、赤(目元、口元)。眉や口紅の形や微妙な色合いを変えることで、さまざまな年齢、職業、身分の違いを表しています」

歌舞伎でも使われている化粧品。歌舞伎白粉、歌舞伎油(化粧下地)、トノコ(白粉に混ぜて使う)、ほほ紅など。

歌舞伎の白塗りをするための道具。御化粧皿や板刷毛、牡丹刷毛などが並び、眺めているだけでもしっとりとした気持ちになる。

三善メークアップ研究所のスタジオ内に飾られていた押隈(おしぐま)。

歌舞伎の逸品

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