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尾上右近『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』への思い

尾上右近『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』への思い

 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル ~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~』 左より、尾上右近、G2(翻訳・演出)

 7月6日(金)から紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで東京公演、8月4日(土)にはサンケイホールブリーゼで大阪公演が行われる『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル ~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~』について、出演の尾上右近と、翻訳・演出のG2が語りました。

 「やっておかねばならない作品、自分自身へのインプットにもなりうる作品。とても新たな切り口、新たな方法論、新たな感覚で書かれた戯曲」と、G2が惚れ込んで、日本初上演にこぎつけた『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』。「日本人の共感に訴える部分をクローズアップして上演したい」と意気込みを語りました。

 

 初めての現代劇が翻訳劇で、しかも主役を勤める右近。「本当に困難を極めること。稽古で途方に暮れる毎日ですが、これがきっと自分の糧になる、乗り越えなければいけない試練と思い、ぶち当たって打ち砕くつもりで挑んでいます」。慣れない稽古に満身創痍かと思いきや、「やる気の塊みたいな感じで、非常にチャレンジング。とてもよく勉強して稽古場にやってきてくれます」と演出家も認めるほど前向きで、「たくさん恥をかけることがうれしい」と本人はわくわく感にあふれていました。

 

『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル ~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~』

稽古場と物語がリンクしていく

 原作は、作者がヒスパニック系のプエルトリコ系アメリカ人で、登場するのはプエルトリコ系に加えて黒人、白人、日本人という「まさに人種のるつぼ」(G2)。住んでいる場所や描かれる場所もばらばらですが、主人公エリオットの実の母親、オデッサ(篠井英介)が運営するチャットルームでつながっています。一方、エリオットは薬物中毒のオデッサが育児放棄したため叔母に預けられ、従姉妹のヤズミン(南沢奈央)に心を許しています。

 

 「稽古ではやってみないと、わからないことが何かも、わからない。南沢さんは一番被害を被っている方だと思うんですが、きちんと受け止めてくださり、助けていただいています。それが役としてリンクしていくところが救いです」。作品自体が、心に傷を負い、闇を抱える多様な人種の人々が、ネット社会のつながりにおいて絆を感じ、他者とのつながりに光を見出し、再生していく物語。さまざまなジャンルの出演者が、チャットルームならぬ稽古場でつながっていく様子が感じられます。

 

人の心の温もりが何より伝わる芝居

 右近は作品中で、ジョン・コルトレーンのジャズの特徴である不協和音が、大事なモチーフの一つになっていることにふれ、「不協和音が入ったハーモニーが成立した、というような(音楽講師の)ヤズミンのせりふがあります。個性のまったく違う登場人物たち、不協和音かもしれない音の混じり合いが、不思議なハーモニー、新たなメロディーを生む。歌舞伎の世界から来ている身として、どこか歌舞伎の要素、現代劇の方とは違う何かが生まれたら、自分がやらせていただく意味があるんじゃないかと思っています」。

 

 どんなメロディーが生まれるかは幕が開いてのお楽しみですが、「人の心の温もりが何よりも伝わる芝居です。豊かな気持ちになっていただけたらいいなと思います」と、右近が作品の魅力を語り、G2も、「いろんな社会的問題が物語の背景にありますが、社会が悪いとつつくのではなく、弱者がいかにそこに関わり、いかに新しい明日に向かって歩き始めることができるか。ほっとはまるところもあるかもしれませんし、勇気をくれるよい作品だと思います」と続けました。

 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル ~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~』は、紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAで7月6日(金)から22日(日)、8月4日(土)にはサンケイホールブリーゼで上演されます。東京公演のチケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトほかで販売中、詳細は下記の特設サイトをご覧ください。

 

尾上右近『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』への思い

 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル ~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~』 左より、陰山 泰、葛山信吾、南沢奈央、尾上右近、篠井英介、鈴木壮麻、村川絵梨

 

『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル ~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~

2018年06月20日

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