ニュース
松緑、時蔵が語る、歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」
2026年10月2日(金)から始まる、歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」第三部『義経千本桜』「渡海屋・大物浦」に出演する尾上松緑、中村時蔵が公演に向けての思いを語りました。
▼
祖父・父から受け継いだ知盛を
歌舞伎三大名作の一つに数えられる『義経千本桜』の二段目にあたる「渡海屋・大物浦」。このたびは、松緑が渡海屋銀平実は新中納言知盛、時蔵が女房お柳実は典侍の局を勤めます。松緑による知盛は、今回が3回目で14年ぶり、歌舞伎座では初めてとなります。本作は、祖父・二世尾上松緑、父・初世尾上辰之助も得意としたゆかりある作品です。
「私自身、前回の上演から、時代物の老けや敵役など、様々な経験をさせていただきましたので、今回はこれまで勤めた際とは違ったものを、そして、祖父、父にどこか近づければと思っています」と語る松緑。「祖父は時代物の大きさ、父は演じたのが若かったこともありリアルさに寄った知盛」と印象を表現しながら、「それぞれの素敵なところ、かっこいいところを取り入れながら、自分ならではの知盛をつくっていけたら」と意気込みます。
渡海屋での颯爽とした姿から、復讐の鬼となって凄まじい執念をみせる知盛の変化もみどころの一つ。知盛役を五世中村富十郎から教わったという松緑は、「最初は、多少世話物らしさのある船宿の主としての貫禄、続いて戦に向けた大将としての勇壮たる姿、そして、満身創痍の最期。それぞれの場面で異なった色を出しながらも、違うキャラクターにみえてはいけないと、初演の時に富十郎のおじさんに教わりました。気持ちの持続を大切に、富十郎のおじさんの言葉を改めて考えながら再構築したいです」と、役づくりについて真摯に話しました。
「滅びの美」が凝縮された舞台
平成27(2015)年に女房お柳実は典侍の局を初演した時蔵は、「初めて玉三郎のおじさまに習った、思い出深く大切にしているお役。『海を感じなさい』と教わりました。時代背景以上に、自然背景を感じること。それが役の心情とマッチするということだと思います」と話します。
役について、「戦に向かっていく知盛に対し、典侍の局は安徳帝をそばにおき家を守っている。母性、慈愛が必要とされるお役。少しでも諸先輩方に近づけるように、意識して勤めたいです」と語りました。「人が滅び、平家が滅んでいく、桜が散る情景に感動するような“滅びの美学”が恐縮されたお芝居です。登場人物が抱える絶望と孤独。悲劇的ではありながら、すべての要素に対して歌舞伎ならではの“美”が散りばめられた大好きな狂言です。どなたでも楽しんでいただける舞台だと思います」
ドラマチックな悲劇の物語
本作の魅力について、松緑は、「歌舞伎の時代物のなかでも展開が大きく、とてもドラマティックな作品です。初めて歌舞伎をご覧になる方や、海外の方にも分かりやすくお楽しみいただけるお芝居です。悲劇を題材にした演劇は世界各国で支持されていますが、日本を代表してお客様に喜んでいただける悲劇の物語の一つだと思います」と話し、時蔵は、「『渡海屋・大物浦』は、歌舞伎座のように間口の広い劇場ですと、また新たな世界観が広がる作品だと思います。是非歌舞伎座でご覧いただきたい演目です」と呼びかけました。
▼
歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」は、10月2日(金)から20日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。
