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歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」初日開幕

2026年11月1日(日)、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」の初日が幕を開けました。
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▲ 『仮名手本忠臣蔵』「大序」(Aプロ)左より、中村獅童、尾上右近、中村鴈治郎
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「大序」(Bプロ)左より、中村歌昇、中村米吉、坂東彌十郎、中村七之助
Aプロ・Bプロという二つの配役で、昼夜通して上演する『仮名手本忠臣蔵』。初日はAプロで幕を開けました。開幕前の口上人形による、配役と出演俳優の読み上げのあと、ゆっくりと定式幕が引かれると同時に客席は静まり返り、張り詰めた空気のなかで「大序」が始まります。鎌倉・鶴ヶ岡八幡宮の社頭では、足利直義(米吉)の立ち合いで兜改めが行われています。塩冶判官の妻・顔世御前(扇雀/萬壽)に横恋慕する高師直(鴈治郎/彌十郎)は傲慢な態度をとり、怒りを募らせる桃井若狭之助(獅童/歌昇)を、塩冶判官(尾上右近/七之助)がなだめてその場を収めますが…。のちの悲劇へと繋がる緊迫の場面に、客席も一気に引き込まれます。
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「三段目」(Bプロ)左より、中村七之助、坂東彌十郎
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「三段目」(Aプロ)左より、尾上右近、中村鴈治郎
続いては、殿中で起きた前代未聞の刃傷沙汰を描いた「三段目」。若狭之助の家老・加古川本蔵(橘太郎)が師直に賄賂の進物を贈ります。その後、松の間で若狭之助に平謝りした師直は、顔世への思いも叶わないと分かり、後から登城してきた判官へ執拗に八つ当たりします。師直の態度に耐えかねた判官が、ついに刀を抜いて師直に斬りかかりますが、本蔵らに止められます。師直を討ち果たせなかった無念さが痛いほどに沁みる判官の表情に、客席はただただ見入るばかりでした。
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「四段目」(Aプロ)左より、松本幸四郎、尾上右近
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「四段目」(Bプロ)左より、松本幸四郎、中村七之助
そして「四段目」。石堂右馬之丞(歌六/芝翫)と薬師寺次郎左衛門(男女蔵)から切腹を言い渡された判官は、無念の思いを直接伝えるべく大星由良之助(幸四郎)の到着を待ち望みます。腹に刀を突き立てたそのとき、ついに由良之助が駆けつけ…。上演中、客席の出入りを止める“通さん場”の緊迫感のなか、白の裃姿の判官が由良之助を待つ姿は、場内に張りつめた厳粛な空気が漂っていました。切迫した状況で父の参上を待ちわびる大星力弥(染五郎/辰之助)とのやりとりや、由良之助が主君の無念を静かに、しかし力強く引き受ける最大の見せ場では、固唾を呑んで見守る客席から涙ぐむ姿も。仇討ちの決意を固めて、由良之助が立ち去る万感迫る姿には、割れんばかりの拍手が送られました。
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「道行旅路の花聟」(Bプロ)左より、中村種之助、市川染五郎、中村時蔵
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「道行旅路の花聟」(Aプロ)左より、八代目尾上菊五郎、中村錦之助
昼の部の締めくくりは、「道行旅路の花聟」。場内は先ほどまでの張り詰めた空気から一転、春盛りの東海道で華やかな雰囲気に包まれます。主君の大事に居合わすことができなかった塩冶判官の家臣・早野勘平(錦之助/染五郎)と、顔世御前の腰元おかる(八代目菊五郎/時蔵)が人目を憚りながら京・山崎を目指すところへ、おかるに横恋慕する鷺坂伴内(虎之介/種之助)が現れます。おかるの勘平への一途な思いや、勘平の憂いに場内も見入ります。思わずくすりと笑ってしまうコミカルなやり取りや、花四天の派手な立廻りなど華やかな展開も。夜の部へと続く壮大な物語への期待を存分に高め、大喝采のなか昼の部は幕を閉じました。
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▲ 『仮名手本忠臣蔵』「五段目」(Aプロ)左より、中村隼人、尾上松緑
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「五段目」(Bプロ)左より、中村隼人、中村獅童
夜の部は、「五段目」から。判官の切腹に立ち会えず、討入りに加わることができなくなった早野勘平(隼人)は、おかるの親元に身を寄せています。とある夜、朋輩だった千崎弥五郎(橋之助)に遭遇し、仇討ちに加わるための金の工面を約束して別れます。一方、勘平のためにおかるが内緒で祇園町へ身を売ってこしらえた金を持って家路を急ぐ父の与市兵衛ですが、背後には、ぼろ布に身を包んだ不気味な浪人、斧定九郎(松緑/獅童)の姿が…。場内は不穏な雰囲気に包まれ、この後の展開がどうなるのかと観客を釘付けにしたまま、次の場へと続きます。
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「六段目」(Bプロ)左より、尾上右近、中村隼人
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「六段目」(Aプロ)前:八代目尾上菊五郎/後:中村隼人
一夜明けて「六段目」。祇園町の一文字屋の女房お才(時蔵/雀右衛門)が、おかる(八代目菊五郎/尾上右近)を迎えに、与市兵衛の家へ来ています。そこへ戻ってきた勘平ですが、おかるの母おかや(齊入)の話を聞くうちに、昨夜鉄砲で撃ったのは舅の与市兵衛だったのかと狼狽します。おかるの出立の場面では、別れを惜しむ二人の姿に、観客もやるせない気持ちに。そしてさまざまな不運が重なり、絶望の末に迎えた勘平の結末は、観客の涙を誘いました。
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「七段目」(Aプロ)前:松本錦吾/後:左より、松本幸四郎、八代目尾上菊五郎
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「七段目」(Bプロ)左より、尾上右近、尾上松緑、松本幸四郎、松本錦吾
続いては、「七段目」です。主君の死後、京・祇園町の一力茶屋で遊興に耽る大星由良之助(幸四郎)の元へ、息子・力弥(染五郎/虎之介)が判官の妻、顔世御前からの密書を携えてきます。そこへ遊女となったおかるの姿が。彼女は密書の中身を垣間見てしまい…。おかるの兄で足軽の寺岡平右衛門(萬太郎/松緑)が仇討ちに加わりたいと懇願しに来ますが由良之助は相手にせず、仇討ちの真意を探りに来る者にも、一切その素振りをみせません。やがて兄妹のほほえましいやりとりから一転、夫・勘平の死を知り悲しむおかる、そして妹を手にかけようと苦悩する平右衛門と、観客は固唾をのんで二人を見守ります。討入りを目前に高まる人々の期待と緊張感が場内を包み、幕となりました。
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「十一段目」(Bプロ)左より、中村梅玉、松本幸四郎
▲ 『仮名手本忠臣蔵』「十一段目」(Aプロ)全景
そして、浪士が一堂に仇討ちを目指す「十一段目」です。雪のなか、皆は陣太鼓を合図に高師直の館へ討入ります。師直家臣の小林平八郎(歌昇/鷹之資)と塩冶浪士の竹森喜多八(種之助/辰之助)の死闘をはじめ、浪士たちが繰り広げる激しい立廻りは、大きなみどころです。塩冶浪人と高家家臣が激突するも、仇はなかなかみつからず。そこにひとつの怪しい炭小屋をみつけ、ついに…。本懐を遂げた浪士たちが、亡君の墓前に首を供えるため菩提所へ向うところへ、旗本の服部逸郎(梅玉)が登場します。最後は、主君の眠る光明寺へ向けて、堂々と立ち去る由良之助をはじめとする浪士たちと、見送る服部逸郎に絶えることのない拍手が沸き起こるなか、一日にわたる壮大な物語は幕切れとなりました。
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歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、第12回「ねこ展」を開催しています。ご観劇の際は是非お立ち寄りください。
歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」は25日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。
