ニュース

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

 

 2026年10月2日(金)、歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」の初日が幕を開けました。

【大きなサイズの舞台写真は、ページ下部でご覧いただけます】

▼

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

▲ 『鯉つかみ』片岡愛之助

 第一部は、ケレン味あふれる演出が魅力の『鯉つかみ』から。舞台は大名の釣家の館。参詣の折に見初めた寺小姓に恋煩いをしている小桜姫(壱太郎)は、小姓との逢瀬を夢見ます。幻想的な夢から小桜姫が目覚めると、そこへ恋焦がれる滝窓志賀之助(愛之助)が現れ、二人はついに逢瀬を楽しみます。しかし、この志賀之助は釣家滅亡を企む鯉の精の化身だということが分かって…。「琵琶湖中鯉退治の場」では、鯉の精と本物の志賀之助が、本水を用いてダイナミックに立廻ります。巨大な鯉を相手に繰り広げられる客席まで水を飛ばすほどの大立廻りに、大きな拍手と歓声が湧き起こりました。最後は豪快な泳ぎ六方で花道を駆け抜け、迫力あふれる姿に大興奮のなか幕となりました。

 

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

▲ 『義経千本桜』「川連法眼館」左より、中村雀右衛門、七代目尾上菊五郎、八代目尾上菊五郎

 続いて、歌舞伎の三大名作のひとつ『義経千本桜』より、「川連法眼館」通称「四の切」。都を落ち延びた源義経(七代目菊五郎)が匿われる吉野山の川連法眼館へ、義経の忠臣・佐藤忠信(八代目菊五郎)が現れると、義経は伏見稲荷に預けた静御前(雀右衛門)の安否を尋ねます。しかし忠信の様子に不審を抱いた義経がその正体を問いただすと…。初音の鼓をめぐり、忠信の姿に化けていた源九郎狐(八代目菊五郎/二役)が正体を現すと、独特の台詞術を用いる“狐詞”や衣裳の早替りなど次々と見せ場が続き、狐の神秘性の中に親狐への孝行を果たせなかった悲しみ、切なさが滲みます。ケレン的要素を最小限に抑え、親子の情愛を丁寧に描き出す「音羽屋型」での上演となる今回。いつの時代も変わらぬ親子の情愛、狐と人間の物語に場内は温かな拍手に包まれました。

◇

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

▲ 『近江源氏先陣館』「盛綱陣屋」(Aプロ)前:片岡仁左衛門、後:中村歌六

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

▲ 『近江源氏先陣館』「盛綱陣屋」(Bプロ)左より、片岡愛之助、八代目尾上菊五郎、片岡孝太郎、中村梅枝、中村時蔵、中村萬壽

 

  第二部は、時代物の大作『近江源氏先陣館』「盛綱陣屋」。智勇に優れた武将・佐々木盛綱(Aプロ:仁左衛門/Bプロ:八代目菊五郎)の陣屋へ捕虜となった小四郎(梅枝)の解放を乞いに訪れたのは敵方の和田兵衛秀盛(愛之助)。これをうけた盛綱は、母の微妙(萬壽)に弟の子である小四郎を討つよう頼みます。やがて北條時政(歌六)が盛綱の息子・小三郎(秀乃介)らとともに討ち取ったという高綱の首桶を携えやってきて…。孫を手にかけることを決意する微妙、我が子への思いと武将の妻の気品をみせる篝火(孝太郎)、早瀬(時蔵)、そして極限の状況のなかで葛藤する盛綱。武士の世界に生きる者たちの苦しい思いが伝わり、観客の涙を誘います。戦乱の悲情さ、兄弟の葛藤、親子の情愛が胸を打つ物語に、万雷の拍手で幕となりました。

 

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

▲ 『山帰強桔梗』坂東巳之助

 続く『山帰強桔梗』は、いなせな江戸っ子の様子を活き活きと描き出す清元の舞踊。大山詣りから江戸へ帰る道中の大吉(巳之助)が舞台に姿を現すと、場内は一瞬で大山を望む街道の風情に。尻っ端折りの浴衣に脚袢をつけた、大人の男の色気や苦みがあふれ出す大吉が参詣に寄せた悪遊びの様子を面白おかしく語って聞かせます。麦藁細工のラッパを手にし、大道芸人を真似た踊りを踊ると、客席からは自然と笑みがこぼれ、江戸の情緒あふれる明るいひと幕となりました。

 

◇

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

▲ 『義経千本桜』「渡海屋」「大物浦」尾上松緑

 第三部は、壮大な歴史ロマンが人々を魅了する『義経千本桜』より、「渡海屋」「大物浦」。「渡海屋」では、相模五郎(亀蔵)と入江丹蔵(萬太郎)が、義経(種之助)を追うための船を用意するよう迫ります。主人・銀平が留守のため、応じるのは女房のお柳(時蔵)。二人が詰め寄るその時、颯爽と船頭姿の銀平(松緑)が戻り、力強く二人を退けます。やがて船出を待っていた義経一行が去ると、姿を現したのは先ほどまでの銀平の様子から一転、白糸縅の鎧姿となった平知盛。お安が安徳帝、お柳がその乳母・典侍の局であることも同時に判明し…。続く「大物浦」では、満身創痍の知盛が鬼気迫る執念をみせ繰り広げる壮絶な立廻りを、客席は固唾をのんで見守ります。ついには覚悟を決め、大碇を担いで海へと沈む知盛の悲壮な姿に観客は圧倒され、大迫力のうちに幕を閉じました。

 

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

▲ 『近江のお兼』中村壱太郎

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

▲ 『屋敷娘』左より、尾上眞秀、中村壱太郎

 最後は、舞踊2題で賑やかに。『屋敷娘』では、大名屋敷に奉公する二人の娘、お壱(壱太郎)とお秀(眞秀)が鮮やかな着付けで浮き浮きと晴れやかに踊ります。一瞬で着物が変わる引き抜き、手鞠唄にあわせての踊りなど、若い娘たちの初々しさを見せていく二人に、あたたかな拍手が送られました。続く『近江のお兼』では、萌葱色の着物をまとったお兼(壱太郎)が美しい様子とは裏腹に、涼しい顔で暴れる馬を見事に手懐けます。やがて現れた若い者たちを相手に、晒し布をつかって見事な立廻りをみせるお兼。最後は再びやってきた馬とともに若い者たちをあしらい、芸術の秋にふさわしい、華やかな打ち出しとなりました。

▼

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

 

 歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、全国の「御菓子・老舗店フェア」を開催しています。観劇の際はぜひお立ち寄りください。

 

 歌舞伎座「十月錦秋歌舞伎」は、20日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。

 

 

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

『鯉つかみ』片岡愛之助

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

『義経千本桜』「川連法眼館」左より、中村雀右衛門、七代目尾上菊五郎、八代目尾上菊五郎

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

『近江源氏先陣館』「盛綱陣屋」(Aプロ)前:片岡仁左衛門、後:中村歌六

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

『近江源氏先陣館』「盛綱陣屋」(Bプロ)左より、片岡愛之助、八代目尾上菊五郎、片岡孝太郎、中村梅枝、中村時蔵、中村萬壽

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

『山帰強桔梗』坂東巳之助

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

『義経千本桜』「渡海屋」「大物浦」尾上松緑

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

『屋敷娘』左より、尾上眞秀、中村壱太郎

歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」初日開幕

『近江のお兼』中村壱太郎

2026/10/06