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NEWシネマ歌舞伎『三人吉三』初日スペシャルトークイベント
6月27日(土)、渋谷Bunkamuraル・シネマで、NEWシネマ歌舞伎『三人吉三』の公開初日を記念したスペシャルトークイベントが開かれ、映像監督の串田和美氏と、土左衛門伝吉役で出演した笹野高史氏が登場しました。
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「二人とも歌舞伎の人間ではないので…」と、トークは“笹野高史コクーン歌舞伎初登場のいきさつ”からスタート。勘三郎から誘われてコクーン歌舞伎『盟三五大切』(平成10年9月)の舞台に立ったものの、それからの苦労を考えると、「あのとき、否!と言えばよかった」と笹野氏は苦笑しましたが、昨年のコクーン歌舞伎『三人吉三』上演中には、「勘之丞さんが楽屋にいらして、歌舞伎の匂いがした、と。一番の褒め言葉をいただいてうれしかった」と、苦労はしっかり報われているようです。
楽屋の鏡台に「歌舞伎俳優みたいに、先祖の写真を飾っている」と串田氏にばらされてしまい、「歌舞伎俳優のDNAには勝てないので、対抗するにははったりしかない」と、自ら先祖の扮装をしてわざわざ古い写真に加工し、飾っていることも明かしました。「百日鬘で『四谷怪談』の伊右衛門みたいにして。そうしてご先祖の流れを汲んでいると自分を思い込ませないとできないので」と、ひょうひょうとした笹野流の答え方に、会場がひときわ沸き立ちます。
歌舞伎俳優が真剣に取り組んだ
コクーン歌舞伎の稽古
尽きることのないコクーン歌舞伎のエピソードですが、話は自然と『三人吉三』に。「原作を読むと、大事なのは伝吉で、伝吉がこういう因果をつくったがために息子たちがこうなったのでは、と思ったんです」と話した串田氏は、歌舞伎とはまったく違った稽古の一端を紹介しました。
「月は朧に…のせりふも、句読点の位置が違うから意味がわかりにくい、だから意味どおりの句読点で言ってみようとか。三人は長屋の外れ者、つまり社会の外れ者の話なんだから、長屋が大事。まずは長屋のリズムをつくってみようとか…」。こういう稽古ができるのも、歌舞伎だろうが現代劇だろうが、芝居を大事にする人を、最初に勘三郎さんが集めてくれたから、と串田氏は振り返ります。
「役者ってやっぱり…」出演者の反応はみな同じ?
さて、でき上がった映像のほうはどうなのでしょうか。「役者は自分のことしか見ておりません。反省ばかりでお恥ずかしい」と笹野氏が困ったような表情を見せると、「試写では吉三の三人も、自分のことしか見ていないから暗い顔してましたよ。映画はすごくよかった、でも自分はダメって。役者って作品全体は観られないものですからね」と、すかさず串田氏がフォロー。その三人が「笹野さんは素晴らしい」と絶賛していたことは ニュースでお伝えしたとおりです。
舞台中継に違和感を持っていた串田氏は、「今回、必死に、できる限りのことをしようと思いました。舞台にこんなところあったかなというところも入って、独特のものになっています。たくさんのカメラでいっぱい撮ったので、編集がさらに大変で、仮編集したものをスタッフに何度も何度もつくり直してもらいました」。そうしてでき上がったのがNEWシネマ歌舞伎『三人吉三』。
「たくさんの人たちの舞台の記憶みたいなものと、伝吉の視点、思いが見えるようにしたい」と串田映像監督の魂がこもった一作。「観る環境と作品の関係は深い。映画館で、新しいジャンルの表現と思って観て、楽しんでください」と呼びかけたところで、上映時間となりました。
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串田氏は、ヨーロッパ三大演劇祭の一つ、シビウ国際演劇祭にて、舞台芸術への貢献が認められた演劇人に贈られる「シビウ・ウォーク・オブ・フェイム」の授賞式から戻ったばかり。受賞を記念した舞台上演とともに、15日には現地で、NEWシネマ歌舞伎『三人吉三』の英語字幕版も上映され、大きな反響を呼びました。この英語字幕版の凱旋上映が決まりました。こちらもぜひ、足をお運びください。
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NEWシネマ歌舞伎『三人吉三』
英語字幕版上映
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■日時
2015年7月5日(日)・6日(月)
■上映館 ※上映時間追記
札幌シネマフロンティア(札幌) 011-209-5400
5日13:00~/6日13:00~
新宿ピカデリー(東京) 03-5367-1144
5日18:45~/6日18:30~
ミッドランドスクエアシネマ(名古屋) 052-527-8808
5日12:00~/6日12:00~
なんばパークスシネマ(大阪) 06-6643-3215
5日9:50~・15:20~/6日9:50~・15:20~
福岡中洲大洋(福岡) 092-291-4058
5日12:30~/6日12:30~
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NEWシネマ歌舞伎『三人吉三』公式サイト