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こども歌舞伎スクール第一期生修了発表会で『寺子屋』
2月21日(土)・22日(日)、歌舞伎座ギャラリー内の木挽町ホールで、こども歌舞伎スクール「寺子屋」第一期生基礎コース修了発表会が行われ、助演として坂東亀三郎、中村蝶紫、澤村國矢が出演しました。
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こども歌舞伎スクール「寺子屋」の開校は昨年4月。1年近くに及ぶ稽古の成果を『菅原伝授手習鑑』「寺子屋」の冒頭部分の上演によって披露する修了発表会に、第一期生45名が臨みました。会場は歌舞伎座の木挽町ホール、舞台は第四期歌舞伎座の檜を使った、文字どおりの“檜舞台”です。努力を重ねてきた生徒さんたちは、緊張の中にも喜びを隠しきれない様子でした。
大きさこそ歌舞伎座の舞台とは異なりますが、大道具、小道具、衣裳、鬘、化粧にいたるまで、すべて実際の舞台と同じもので、義太夫の語りと三味線、黒御簾の音楽も入り、いつもに変わらぬ寺子屋の舞台となりました。出演者のご家族やお友達といった観客の皆さんが見守る中、源蔵の亀三郎、戸浪の蝶紫、涎くりの國矢といった豪華助演俳優の迫力の演技に負けじと、生徒さんも熱演を見せました。
生徒さんたちのせりふ、演技、そしてせりふのないときも緊張を保って舞台上にいる姿は、今まで一所懸命、稽古に取り組んできた証しです。発表の一場が終わり、大きな拍手に迎えられて、再び登場した生徒さんたちは、ほっとした表情でにっこりと記念写真に収まりました。
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修了発表会は2日間6回に分けて行われ、舞台稽古と合わせて合計12回、源蔵として共演した亀三郎は、終了後、生徒さんへねぎらいの言葉とともに「歌舞伎を好きでいてください」と呼びかけました。「無事に会を終えられたのは、一年間、きちんとお稽古したからでしょう。自分が頑張ったゴールとしての今日の舞台、皆さん、楽しそうでしたね。泣く子も騒ぐ子もいなくて皆さんお行儀がいい。お行儀がいいということは、とても難しいことだと思います」と、修了発表会を振り返りました。
「日本人が大事にしなければならない行儀作法など、当たり前のことが当たり前でなくなっている今、その当たり前のことを教えるスクールはとても大事ではないでしょうか。外国の方をおもてなしするにしても、まずはもてなす側がきちんとしていなければ。実際に見て、触れて、自分の体でやってみる…、体験することこそ人格形成につながると、僕は常々考えています」と話し、こども歌舞伎スクールの今後に大きな期待を寄せました。
自身も初お目見得に、祖父(十七世市村羽左衛門)の源蔵で「寺子屋」の場の寺子を演じており(昭和56年12月国立劇場)、記憶がよみがえったと言う亀三郎は、「人前で何かするのはとてもパワーのいることで、周りの協力があってこそ、達成することができます。そのことが感謝の気持ちとして残ってくれればいいですね。子どもたちにとっては今日が第一歩。スタートに立ち会えたことがうれしいです」と語りました。
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こども歌舞伎スクール「寺子屋」は今回の修了発表会をもって春期休講に入り、いよいよ4月からは基礎コース「梅」に加え、発展コース「竹」も新しくスタートします。実際の舞台出演を目指し、より実践的な稽古が始まる一方、第二期生も入校してきます。日本の伝統芸能を間近に感じながら、和の文化に触れ、和の心を学ぶという「寺子屋」は、いっそうの充実を見せて2年目を迎えます。