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愛之助が語る「第六回 システィーナ歌舞伎」
来年2月20日(金)から始まる徳島県 大塚国際美術館システィーナ・ホール 「第六回 システィーナ歌舞伎」に出演する片岡愛之助、大和悠河と、作・演出の水口一夫が、公演への意欲を語りました。
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百合若大臣とユリシーズ
「和と洋のコラボレーション」をテーマに新作歌舞伎を生み続けてきたシスティーナ歌舞伎、第六回を数える2015年は、古代ギリシア、ホメロスの英雄叙事詩『オデュセイア』に材を得た『ユリシーズ』を上演します。ユリシーズは主人公オデュセウスのラテン語名を英語読みしたものです。
今回の作品のヒントは、坪内逍遙が明治39(1906)年1月に発表した論文「百合若伝説の本源」にあったと水口は言います。歌舞伎や舞踊作品にも取り上げられている百合若大臣の物語と『オデュセイア』の類似を指摘した坪内の、「百合若物語はオデッシー(オデュセイア)の粗筋を翻案したるもの」という説は、和と洋のコラボレーションそのものというわけです。「以前から愛之助さんには、百合若大臣をと言っていたんです」と水口は続けました。
愛之助の共演者は大和悠河
第三回以来、4回目の出演となる愛之助は、「出演のたび、フラメンコやサンバに挑戦したり、アリーナスタイルの舞台ではどちらを向いて芝居をしたらいいのかなど、いろいろなことを勉強させていただきました」と言い、「いつも皆で知恵を出し合い、手づくり感満載」で新作歌舞伎に取り組んでいると語りました。今回の舞台もアリーナスタイルで、ホールに雄大なスペクタクルが展開されます。
共演者の大和は宝塚歌劇団を卒業後も舞台に出演していますが、歌舞伎はもちろん初出演。「(女性が)出ていいの?と思いましたが、新しいものに挑戦する場に出られるのがうれしい」と意欲を見せました。400年余の歴史の変遷を経て今の演劇形式になっている歌舞伎を、お国という女性のかぶき踊りという原点まで戻り、自由な発想でまた新たなものにつくりあげる…。歌舞伎の精神がいかんなく発揮されての新作誕生となります。
「宮中一の美女の役だからと、プレッシャーをかけられました」と大和が言うと、愛之助は「一緒にダンスを踊れるのがうれしい。できれば少し歌も歌わせてもらって…」と、早くも作品のイメージを広げている様子。「伝統の継承とともに、新しい歌舞伎を残す、残せる作品をつくることに挑戦し続けていきたい」と意気込みを語りました。
「かぶく心」を忘れずに
徳島県の大塚国際美術館内にあるシスティーナホールは、ミケランジェロの名画を実物大の陶板にし、ヴァチカンにあるシスティーナ礼拝堂を再現、「美術館で初めての歌舞伎を上演」した場所となりました。さらに、システィーナ歌舞伎として上演を続けることで、「今では鳴門の年間行事の一つ」(田中秋筰大塚国際美術館常務理事)になるまで広がりを見せています。
そして、どんなに新しい挑戦をしても、回を重ねても、システィーナ歌舞伎で変わらないのが「かぶく心」。愛之助はシスティーナ歌舞伎の魅力を「礼拝堂の壁画と出演する俳優、両者の魅力」と語り、大和も「礼拝堂の中の舞台ということが素晴しい」と出演を楽しみにしていました。
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大塚国際美術館 システィーナ・ホール「第六回 システィーナ歌舞伎」『百合若丸弓軍功(ゆりわかまるゆみのいさおし) ユリシーズ』は、2015年2月20日(金)・21日(土)・22日(日)の公演。チケットは12月17日(水)よりチケットWeb松竹、チケットホン松竹ほかで販売予定です。